2022年は鉄道開業150年!
日本全国のJRグループで様々な記念企画が行われていますが、9月現在もまだまだ続いています。
2022(令和4)年9月2日、JRグループ連名で「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」の発売が発表され、10日より発売開始しました。
価格は大人7,850円・子ども3,920円。
発売期間は9月10日から10月21日まで。
これを利用可能な期間は10月1日から10月23日までの連続する3日間です。
「秋の乗り放題パス」自体は例年発売されていますが、今年は鉄道開業150年を記念する要素も。
しかも、利用可能期間中の10月14日(鉄道の日)で晴れて鉄道開業150年を迎えることとなります!
日本全国のJR線普通列車が乗り放題なことを考えると、春・夏・冬休みの定番「青春18きっぷ」に近いようにも思いますが、それとは違うところもいろいろ。
本稿で詳しく取り上げたいと思います。
もくじ
連続3日間で普通列車乗り放題
改めまして「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」は、2022年9月10日から10月21日までの期間で発売。
同年10月1日から23日までの連続する3日間で利用可能な企画乗車券です。
価格は大人7,850円・子ども3,920円。
全国のJRの主な駅や、JR旅行センターおよび主要旅行会社にて購入可能です。
発券すると、「秋の乗り放題パス」そのものと、5枚つづりの案内券が発券されます。
本稿で説明する内容は付属の案内券にも載っているので、3日間使い終わるまでは捨てずに活用しましょう。
大型連休に発売される「青春18きっぷ」と同じように、利用期間中は日本全国のJR線普通列車・快速列車の普通車自由席や、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーを自由に乗り降りできます。
普通・快速列車の普通車指定席と首都圏近郊の普通列車グリーン車(グリーン車自由席)には、別途追加料金を支払うことで乗車できます。
また、別途ライナー券を購入すれば「ホームライナー」にも乗れます。
朝夕の東海道本線静岡地区などを楽に移動できますよね!
一方で、在来線特急列車と新幹線には乗車できません。
その場合、全乗車区間の乗車券と特急券を買わなければならないので、やむを得ない時以外は避けるほうが無難でしょう。
また、快速「マリンライナー」一部座席にあるようなグリーン車指定席も「秋の乗り放題パス」では乗れません。
この場合も全乗車区間の乗車券・グリーン車指定券が必要になります。
一例として、首都圏近郊から出発する場合、早朝の始発に東京駅・横浜駅を出られれば、その日のうちに大阪駅・神戸駅・姫路駅などにたどり着くことができますよ!
東海道本線JR東日本区間の始発である、品川4時35分発の電車を皮切りと想定し、遅れ等無しでスムーズに進めば大阪駅に14時13分に到着します。
豊橋~大垣間および米原~大阪間では、追加料金不要・転換クロスシート完備の新快速に乗りましょう。
東京駅から大阪駅まで、在来線オンリーだとだいたい9~10時間ほどかかります。
ちなみに私は2022年1月に「青春18きっぷ」を利用した際、横浜市内から1日でJR四国・松山駅に到達しました。
この時、予讃線の伊予西条駅から今治駅までは特急「しおかぜ」に乗車し、その区間だけ別途乗車券・特急券を支払ったものの、それ以外は全て普通・快速で解決できました。
四国に滞在した記録も過去記事で残していますが、特急「宇和海」には通常の乗車券・特急券で乗っています。
秋乗りミッションと各種特典
2022年の「秋の乗り放題パス」は鉄道開業150年記念ということで、「鉄道開業150年記念・秋乗りミッション!」という企画も、2022年10月31日まで同時開催されます!
WEBアプリ「TRAIN TRIP」内でデジタルスタンプ「STATION STAMP」を集める企画となっているようです。
「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」購入時に付属する案内券にミッションが掲載されており、その答えの駅で「STATION STAMP」を集めるとミッションクリアとなるようです。
クリアすると、「STATION STAMP」限定スペシャルスタンプがもらえるんだとか。
私は計画中の行程の関係でミッションはやりませんが、答えは10分前後で分かっちゃいました。
問題はそんなに難しくないので、やるやらないは別として気楽に考えてみましょう。
その他、全国の駅レンタカー営業所164ヶ所で駅レンタカーを予約した人先着合計3,280名(各営業所で先着20名ずつ)に、エコバッグをプレゼント(乗り放題パスを提示)。
「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」利用日にJRホテルグループ加盟ホテルで宿泊料金の割引などの特典があるとのことです(一部を除く)。
JRホテルグループ東京予約センターにあらかじめ申込みの上、チェックイン時に「秋の乗り放題パス」を提示することになりますので、準備をお忘れなく!
青春18きっぷとの違い
しかしながら、「青春18きっぷ」とは似て非なるのが「秋の乗り放題パス」。
利用する上で気を付けなければならないことがいくつかあります。
乗り放題パスは一人1枚
「青春18きっぷ」の場合は、1枚のきっぷで5回分(一人1日で1回とカウント)の利用ができました。
これにより、一人で5日間「青春18きっぷ」を使うのも、2~5人一組で1日JR線を乗り回すのもできるようになっていました。
1枚の「青春18きっぷ」を複数人で利用する場合、常に同じ人数で行動しなければなりませんが。
しかし、「秋の乗り放題パス」は一人分のみ有効になります。
きっぷ1枚につき一人だけが3日間乗り降り自由になるので、1枚のきっぷを複数人で共有することはできません。
また、そうそういないとは思いますが、大人用の乗り放題パスを1枚購入し、それを子ども2人で利用するのもダメ!
「秋の乗り放題パス」を使って複数人で旅をする時は、必ず一人1枚、自分のきっぷを買っておくようにしましょう。
子ども料金の設定アリ
「秋の乗り放題パス」には子ども料金が設定されています。
前出の通り、大人7,850円・子ども3,920円です。
しかし「青春18きっぷ」は、大人・子どもに関係なく1枚(5回分)12,050円かかります。
有効期間が短いことと、一回使ったらそこから3日続けて利用しなければならないとはいえ、子ども用の値段が設定されているのは、特に家族旅行には嬉しいポイント!
自動改札機を通れる
「青春18きっぷ」は、その日の利用開始時に駅で押印してもらい、下車時にそれを降車駅の駅員(車内精算のワンマン列車では運転士)に見せる必要があるため、自動改札機は使えません。
しかし「秋の乗り放題パス」は、自動改札機に通して入場・出場することができます。
指定席券売機での購入時「自動改札機を通れます」と表示されるので覚えておきましょう。
車内精算ワンマン列車での扱いに関しては「青春18きっぷ」と同じかと思います。
窓口に寄る必要が無く、自分と近い位置の改札機にきっぷを通して入出場できるのは、「青春18きっぷ」との大きな違いですよね。
それでも何か心配なことがあれば、窓口などで相談してみてください。
発券時に利用開始日を設定
「秋の乗り放題パス」は連続する3日間で有効ということで、発券時に利用開始日を指定する必要があります。
「青春18きっぷ」は有効期間中の好きなタイミングで利用できるので、発券時に利用日を指定しなくて良いのですが、「秋の乗り放題パス」ではそうはいかず、発券時に最初の利用日を決めて購入する必要があります。
行き先にもよりますが、特に土休日は鉄道ファン以外の旅行者も多く、宿泊先の確保がしにくくなると予想されます。
「秋の乗り放題パス」で鉄道旅に出る場合は、できればきっぷ購入前に宿泊先を確保しておきましょう。
私も先にホテルを予約し、その後で乗り放題パスを買いましたので!
青春18きっぷと共通の注意
その他、利用上の注意事項は「青春18きっぷ」とほぼ共通しています。
公式のリリースを参考に、以下に書き出していきます。
第三セクターの通過利用
「秋の乗り放題パス」では基本的にJR線以外は乗れませんが、例外として、JR線に通過利用する場合に限り以下の第三セクターに乗車できます。
- 青い森鉄道の青森~八戸間
- あいの風とやま鉄道の高岡~富山間
- IRいしかわ鉄道の金沢~津幡間
青森駅、野辺地駅、八戸駅、高岡駅、富山駅、金沢駅、津幡駅での下車はできます。
しかし、上記駅以外の第三セクター線内で降りた場合、全乗車区間の運賃を別途支払うことになります。
青い森鉄道を例にするなら、青森駅から乗車して野辺地駅で降りる、JR大湊線に乗り継ぐ、八戸駅まで乗り通す、JR八戸線に乗り継ぐことはOK。
これらの状況では追加料金はかかりません。
しかし浅虫温泉駅で降りるのはNG。
青森~浅虫温泉間の運賃を別途支払うことになります。
IGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道、北越急行、えちごトキめき鉄道、しなの鉄道、伊勢鉄道、京都丹後鉄道、智頭急行、土佐くろしお鉄道、肥薩おれんじ鉄道など、上記特例が適用されない他社線にはそもそも入れません。
別途その他社線の乗車券が必要になります。
ただし、JR線に乗り入れている他社の車両にJR線内のみで乗車することはできます。
常磐線各駅停車(小田急、千代田線車両が乗り入れ)や伊東線(伊豆急車両が乗り入れ)などであり得るパターンなので、越えちゃいけないライン()をちゃんと見ておきましょう。
特急の自由席に乗れる特例
「秋の乗り放題パス」では特急列車には乗れませんが、特例として、以下の区間の相互発着に限り「秋の乗り放題パス」だけで特急列車の普通車自由席に乗ることができます。
- 奥羽本線の新青森~青森間
- 石勝線の新夕張~新得間
新青森~青森間では、全車指定席の普通・快速列車の普通車の中から、空いている座席に着席することもできますよ。
また、JR九州の以下の区間では、特急列車の普通車自由席に乗れます。
普通車指定席を利用する場合は指定席券が別途必要ですが、乗車券自体は「秋の乗り放題パス」でOK!
- 佐世保線の早岐~佐世保間
- 宮崎空港線(宮崎~田吉~宮崎空港)
いずれの場合もグリーン車は利用不可です。
万が一特例区間を越えて特急列車に乗ってしまった場合、全乗車区間(佐世保線と宮崎空港線は特例区間外)の運賃と特急料金が必要になりますのでご注意を!
最終日に0時を過ぎた場合は
有効期間最終日(3日目)に翌日にまたがって乗車する(乗車中に午前0時をまわった)場合、乗っている列車が0時を過ぎて最初に停車する駅まで「秋の乗り放題パス」を使うことができます。
東海道本線の静岡県区間で例えて、静岡23時18分発の浜松行き(浜松0時27分着)に乗るとしましょう。
その場合、0時2分に到着する掛川駅まで「秋の乗り放題パス」が有効です。
東京・大阪の電車特定区間内では終電まで使えますよ。
とはいえ、万が一これほど遅い時間まで電車に乗らなければならない場合、宿泊予定のホテルや、駅まで迎えに来る家族には事前に連絡を入れましょう。
絶対に事前連絡しましょう。
家族が相手なら怒られるだけで済むかもしれませんが、ホテルの場合はドタキャンと見なされ、泊まらなくても宿泊料金を全額請求されます。
自分も相手も良い思いをしないこと間違いないので、予定の時間に遅れそうなら事情の説明を絶対に忘れずに!
本州・北海道間はオプション券で
本州・北海道間を鉄道で渡る場合、北海道新幹線しか使える手段がありません。
渡ったところで、並行在来線である木古内~五稜郭間は第三セクター・道南いさりび鉄道の管轄に。
そのための救済措置として「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」があります。
発売期間は2022年9月10日から10月23日まで。
値段は大人2,940円・子ども1,240円。
全国のJRの主な駅や旅行センター、主要旅行会社で購入可能です。
これを「秋の乗り放題パス」と併用することで、北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間と道南いさりび鉄道(木古内~五稜郭)に、片道1回ずつのみ乗れるようになります。
この時、木古内駅・五稜郭駅でのみ下車が可能になりますが、北海道新幹線で木古内駅に着いた後、いさりび鉄道に続いて乗車することが条件となります。
北海道新幹線では普通車自由席の空席に座りましょう。
奥津軽いまべつ駅との在来線の乗換駅は、津軽線の津軽二股駅です。
津軽線で青森駅から北上し、蟹田駅で三厩行きに乗り換えてアクセスします。
が、蟹田~三厩間は上下線とも1日5本しかなく、新幹線との接続は良いとはいえないと思ってください。
公式リリースによると、9月2日現在、津軽線蟹田~三厩間は大雨による線路設備被害のため運転を見合わせており、運転見合わせ区間では代行・振り替え輸送を行っているようです。
詳しくはJR東日本の公式サイトでご確認ください。
北海道新幹線で奥津軽いまべつ~木古内間を越えたり、木古内駅と五稜郭駅以外で降りたりした場合は、新幹線または道南いさりび鉄道の全乗車区間の運賃・特急料金がかかるので注意してください。
ちなみに「北海道新幹線オプション券」も「青春18きっぷ」との併用時は大人・子ども同額となります。
さいごに
今回は、2022年9月10日から10月21日まで発売、同年10月1日から23日まで利用可能な「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」を詳しく見てきました。
発券時に指定した連続する3日間で、JR各線の普通・快速列車に乗り放題!
連続する3日間以外にも、子ども用の設定あり、自動改札機を通れるなど、「青春18きっぷ」との違いはあれど基本的にはそれに近い要領で活用できそうですね。
一部第三セクター区間、特急列車の一部区間に乗車可能な特例や北海道新幹線のオプション券もありますが、区間外乗車には十分注意しましょう。
私も先日「秋の乗り放題パス」発券してきました。
これを軸に計画を練りたいと思います!
今回はここまで!
ありがとうございました!
【2022/10/27追記】
「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」を使った鉄道旅として、高山本線に乗車してきました。
区間ごとに分けて乗車レポートを掲載していますので、こちらもぜひよろしくお願いいたします。
- 岐阜~下呂間
- 下呂~高山間
- 高山~富山間 特急「ひだ」(通常の乗車券・特急券を使用)
参考
JR西日本 2022年9月2日(別タブで開きます)
「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」及び「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」の発売について
『JTB小さな時刻表 2022年季刊夏号』 発行:JTBパブリッシング 2022年