鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」を使った鉄道旅ということで、現在、高山本線の乗車レポートを進めています。
前回は、起点となる岐阜駅から飛水峡飛騨川橋梁中山七里の車窓を堪能しつつ、下呂駅まで歩みを進めました。

今回はその続きとして、下呂~高山間をピックアップしたいと思います。

飛騨高山といえば、言わずと知れた「飛騨の小京都」。
そして日本三大祭りの一つ「高山祭」も開催される有数の観光地です。

列車から見える車窓や途中駅ももちろん良いものばかりですが、今回はそれらに加えて、市街地の観光概要にも少し触れてみましょう。

※撮影の都合上、写真の列車は上下線関係なく掲載しています



飛騨路をさらに北上

高山本線は、岐阜駅から下呂温泉飛騨高山を経由しつつ、富山駅へと至る全長225.8kmの長大ローカル線。
岐阜~猪谷間はJR東海猪谷~富山間はJR西日本の管轄にそれぞれ分かれています。

前回は、岐阜駅から一気に下呂駅まで進みました。
「日本三名泉」のひとつ、下呂温泉に浸かりたいのもやまやまですが、鉄道路線としてはこの先へ進まなければなりません。
温泉はまた今度にして、下呂駅から旅を続けましょう。
岐阜~下呂間のレポートをまだ見ていない方は、ぜひ過去記事もご覧ください。

下呂駅を発車した列車は、もう何度目かの飛騨川を渡って下呂温泉を後にします。

引き続き、列車は飛騨川と並行しながら山間部を縫って進んでいくところ。
訪れた時、紅葉の時期にはまだ早かったですが、沿線の木々の中で葉が紅くなり始めているものがいくつか見られました。

萩原宿を経て高山市へ

飛騨萩原駅のある下呂市萩原町は、かつて飛騨街道萩原宿として栄えた町。
この駅には特急「ひだ」の一部列車が停車します。

1585(天正13)年、当時の飛騨国領主となった金森長近(かなもり ながちか)が本城・高山城の支城として築いた諏訪城(萩原諏訪城)の史跡が、駅の近くにありました。
諏訪城跡は、1966(昭和41)年に岐阜県指定史跡に登録されたとのこと。

そのすぐ隣には諏訪神社もあります。

現在、高山本線と並行する国道41号線では、小坂町無数原付近から女男滝公園付近までバイパストンネルが使用されていますが、それができる前までは川沿いを大きく迂回する旧道が交通の要でした。
高山本線も、国道41号線旧道の対岸を飛騨川沿いに大きく迂回します。

国道41号線旧道が新道と合流したら、まもなく列車も飛騨川を渡り、渚駅に到達。
渚駅付近を境に、下呂市から高山市に入ります!

飛騨川と別れ宮川と出会う

飛騨川とはここまで長い道のりを共にしてきましたが、ついに久々野駅手前で飛騨川とお別れ。
久々野駅付近では、飛騨川に注ぐ八尺川と並行しつつ、農家や畑ある沿線を通ります。

八尺川とはすぐに別れ、列車は左に大きく曲がって宮トンネルへ。
宮トンネルは高山本線で最も長いトンネルとなっており、全長は2,080mなんだとか。

これを抜けると久々野町から一之宮町に出ます!
勾配緩和のため、水田地帯を大きく大きく右カーブしながら、飛騨一ノ宮駅まで降りて来ます。
一ノ宮駅到着直前で、左手遠方から流れてきた宮川を渡ります。

この、飛騨一ノ宮駅手前の大カーブは通称「宮の大カーブ」と呼ばれる名スポット!
9月後半から10月初旬ごろまで、黄金色に実った稲穂が一帯に広がり、車窓風景を彩ってくれます。

しかし、私が列車を撮影した時は、すでにいくらか収穫が終わった後。
おまけに雨天でしたが、時期と天気が合えば最高に素晴らしい景色を楽しめることでしょう。
うまくいけば北アルプス(飛騨山脈)も見えるかもしれません。

市街地に入って高山駅へ

飛騨一ノ宮駅を出たら、その次が高山駅!
ここからは宮川が並行しますが、ほどなくして右手に離れ、そのタイミングで列車は高山市街地に入ります。

市街地に入ると露骨に下り勾配になっています。
高山本線で最も標高の高い駅が久々野駅(676m)で、そこから高山駅までじりじりと下り坂を下っている様子が分かりやすいのではないでしょうか。

右手に引込線が1線見えたら、いよいよ高山駅に到着です!
高山本線の名前に含まれている通り、ここは飛騨地方の鉄道の要所。
多くの普通列車が系統分離しています。

高山駅は2016(平成28)年10月2日より橋上化され、東西の行き来が大幅にしやすくなりました。
東口は「乗鞍口」、西口は「白山口」とも呼ばれます。

普通列車だけでなく特急「ひだ」の約半数も高山止まりとなっており、飛騨古川・富山方面の「ひだ」に関しては、この駅で後ろの車両を切り離すことに。
古川・富山方面の「ひだ」は基本的に3~4両編成になります。

駅の西側には側線が多数広がっており、高確率で何かしらの車両が停まっていますよ。
改札外の自由通路には、「高山祭」にちなんだ展示が多数並んでおり、祭屋台の下段のモデルも実物大で展示されています。
一部とはいえ、祭屋台の展示は技巧的で、見ごたえがありました。

訪問・滞在時は「高山祭」が近づいていたため、駅の入口に巨大な幟と提灯も飾られていました。
駅周辺では観光客が多数見られ、その中には外国人の姿も。
新型コロナウイルス感染症の影響下から、少しずつ立ち直りつつあることがうかがえました。

直接来るならバスもアリ

高山駅東口は、高山濃飛バスセンター屋根伝いで直結しています。

高山市内周遊や、下呂温泉、古川・神岡、乗鞍、上高地、信州松本、平湯温泉・新穂高の各方面にバスが発着。
高速バスは、岐阜、名古屋、白川郷・金沢・高岡、京都・大阪、新宿の各方面に路線網が伸びています。

注目すべきは、首都圏と関西圏から飛騨高山に直接行けること。
時間は新幹線・特急よりかかるものの、費用面では圧倒的有利!
旅行の行程次第では、鉄道より便利になるかもしれません。

なお、中京圏、北陸、関西圏、首都圏方面の高速バスは予約が必要です。



旧高山城下町と高山祭

高山駅を中心に、高山市街地には実に多くの観光要素が盛りだくさん。
市街地の南東側には、国指定史跡・高山陣屋が現存しています。

宮川を渡った通り沿いに広がるは、江戸時代の面影を今に残す、旧高山城下の古い町並み
南半分の三町区域と、北半分の下二之町大新町は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているとのこと。

また、旧城下町の南端に城山公園(高山城跡)もあり、県史跡指定天然記念物となっているとか。
遊歩道も整備されているらしく、市街地東側の寺院・神社など巡ることができそうです。

画像:写真AC

市街地の西側にも、飛騨の里、松倉城跡、アルプス展望公園スカイパークなどいろいろな施設・史跡が点在していますよ。

ユネスコ無形文化遺産に登録されている「高山祭(高山祭の屋台行事)」とは、春・秋のお祭りの総称
300年以上の歴史があるらしく、祭行事は国の重要無形民俗文化財祭屋台は国の重要有形民俗文化財にそれぞれ指定されているそうです。

春は毎年4月14・15日に開催される、旧高山城下町南側の氏神とされる日枝神社の例大祭「山王祭」。
秋は毎年10月9・10日に開催される、旧高山城下町北側の氏神とされる櫻山八幡宮の例大祭「八幡祭」。
それぞれ、春は12台、秋は11台の祭り屋台が曳き揃えられます。

祭行事自体も朝から夕方まで長い時間やっているようで、その間にからくり奉納御神幸などの行事も行われます。
さらに「八幡祭」だけの行事として「屋台曳き廻し」があり、祭り屋台が町を巡るとのこと!

画像:写真AC

2022(令和4)年10月9・10日は3年ぶりに「高山祭(八幡祭)」が開催されるということで、特急「ひだ」の臨時列車(ひだ81~83号・92号)が運行されました。
9日は「ひだ81号」「ひだ82号」「ひだ83号」「ひだ92号」が運行。
10日は「ひだ81号」「ひだ82号」のみ運行。

ただし、「屋台曳き廻し」は元から中止と報じられていました。
加えて9・10日とも雨天だったため、「屋台曳き揃え」は9日12時まで実施御神幸とからくり奉納は中止になったとのこと。
獅子舞の奉納は予定通り開催されたみたいです。

このように、感染症だけでなく、天候によっても祭行事に影響が出ることがあります。
詳細は高山市などの関連サイトをご参照ください。

普通列車の本数は

【2023/3/18更新】下呂~高山間の普通列車ですが、朝は上下とも1時間に1本は出ています。

下りの下呂7時52分発(高山8時58分着)上りの高山7時14分発(美濃太田9時38分着)が発車すると、次の下りは下呂9時ちょうど発(岐阜6時52分発・高山10時5分着)、上りは高山10時24分発(美濃太田13時7分着)まで待つことに。

その後、下りは下呂11時35分発高山行き(美濃太田9時55分発・高山12時34分着)、上りは高山12時45分発美濃太田行き(美濃太田15時9分着)が、2023年3月18日ダイヤ改正にて新設されました。
さらにそれ以降も、上下とも約2時間に1本程度の運行となります。

全体的な本数の少なさは相変わらずですが、ダイヤ改正により普通列車の空白時間帯が改善されました!

その一方で、早朝の高山4時44分発(岐阜7時29分着)と、深夜の岐阜21時46分発(高山0時27分着・下り美濃太田以北終電)は取り止めとなり、下呂始発・終着に変わりました。

3月18日以降、下呂~高山間の上り初電は高山5時24分発岐阜行き(岐阜8時28分着)
下り終電は下呂22時26分発高山行き(岐阜21時19分発・高山23時28分着)となります。

深夜の下り終電が1時間早まったため、乗り遅れ・乗り間違い・乗り越しなどに注意してください。
特急通過駅はともかく、特急停車駅に急ぎたい場合は、そちらに乗ったほうが良いかと思います。

下呂~高山間は路線バスも

しかし、下呂~高山間は、濃飛バス高山・下呂線で代替できます。

高山濃飛バスセンター(高山駅東口)からは、8時5分発の下呂バスセンター行き(9時28分着)を皮切りに、終バスの高山19時35分発・下呂20時54分着まで1時間に1本
下呂バスセンターからは、5時58分発の高山濃飛バスセンター行き(7時24分着)を皮切りに、終バスの下呂16時58分発・高山18時27分着まで1時間に1本、それぞれ運行しています。

そんでもってこのバスは、高山本線と並行する国道41号線を通り、鉄道駅付近にも立ち寄りながらこまめにバス停に寄っていきます。

運賃は下呂バスセンター~高山濃飛バスセンター間乗り通しで大人1,060円
JRの下呂~高山間大人990円なので、あまり変わらない金額で利用できます。

実際に私、宿泊先で寝坊して困り果ててたところをバスに救われました。
普通列車に乗りたくてもすぐに来なくて困ったら、路線バスを探してみてはいかがでしょうか。

西日本区間へ続く

岐阜駅から高山駅までは136.4km。
高山本線の半分を通って来て、その次は富山方面に続きます。
ですが、ここでいったん区切りをつけましょう。

下呂温泉を発った後も、飛騨川と国道41号線と並行しながら山間を進んできましたね。
飛騨街道宿場町の趣きもこの区間では感じられます。

もちろん、高山駅は観光の要地としていろんな人が行き交っていました。

特急でゆったり来るのも、普通列車でのんびり来るのも、どちらも良さそうですよね。
ただし、1日の運行本数は少ないので、接続や乗り遅れに十分注意してください。

いよいよ高山~富山間を残すのみとなりましたが、その時、特急「ひだ13号」に乗車したので、その感想も交えながら紹介したいと思います。

今回はここまで!
ありがとうございました!

実は高山駅に最初に降りた日の夜、偶然にもキヤ95形を見たのですが、タイミングが合わず撮影に失敗しました…。

参考

『鉄道手帳 西日本編』 監修:今尾恵介 東京書籍 2009年9月

『日本鉄道旅行地図帳 7号 東海』 監修:今尾恵介 新潮社 新潮「旅」ムック 2008年11月

『【図説】日本の鉄道 中部ライン全線・全駅・全配線 第6巻加賀温泉駅―富山エリア』 編著:川島令三 講談社 2010年9月

『JTB小さな時刻表 2022年季刊夏号』 発行:JTBパブリッシング 2022年7月

『飛騨高山観光ガイドブック』 発行:高山市飛騨高山プロモーション戦略部観光課 2022年3月

リーフレット『秋の高山祭 2022年10月9日・10日』 監修:高山祭協賛会

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濃飛バス公式サイト トップページ

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