KATO旧製品のオハ31形旧型客車をダークグリーンに塗り替え、江若鉄道オハ27形っぽい雰囲気に改造する制作工程を、ここまでに3本(番外編を入れれば4本)記事化してきました。
前回は、新しい車番と江若鉄道社紋をインレタから水転写デカールに移し替え、水転写しました。
それにより、凹凸の多い車体にも安心して表記類を転写できるようになります。
番外編も入れれば、集電非対応のオハ31形の台車に集電板を仕込んだり床板・車体に穴を開けたり銅板を組み込んだり…と、意外と大掛かりな作業だったと思います。
今回で最後にしましょう!
本稿では、KATO旧製品によくあるタイプのガラスを新しいものに交換し、真鍮線で作った保護棒を取り付けます。
ガラスを新製する方法は他の旧製品にも応用できるのではないでしょうか。
そうでなくとも江若鉄道風に改造した旧型客車が今回で完成します!
ぜひ最後までご覧くださいませ。
※鉄道模型の改造・加工は自己責任でお願いします
前回のおさらい
本題に入る前に前回のおさらいです。
前回は、新しい色を上から吹き付けた際に塗りつぶした車番を更新しました。
併せて江若鉄道の社紋も貼り付けました。
オハ31系列の車番はアルモデル、江若鉄道社紋はあまぎモデリングイデアのインレタを使用しています。
しかし、オハ31はリベットによる凹凸の多い車体だったため、インレタを上手く転写できず、カスれた文字を除去してやり直しに…。
いろいろ調べた結果、水転写デカールの透明シートにインレタを転写して移し替え、水転写化したインレタを車体に転写することに決めました。
私も初めての試みでしたが、旧型客車に車番・社紋の水転写は成功!
3両すべてに水転写を終えた後、水性トップコート(半光沢)を吹いて、外観の塗装がなんとか終わりました。
番外編の集電化・点灯化加工は本来やる必要はありませんが、見栄えがより良くなるので、組み直す前に手を加えると良いですね。
最終回となる今回でやるのは、ガラスパーツの更新と、保護棒の追加です。
ここまで来たならあと少し!
旧製品のガラスは自力で更新
最初にガラスパーツを新製します。
KATO旧製品の客車には、はめ込み式でないガラスパーツが組み込まれていました。
このガラスは意外と厚みがあるため、噛み合わせが無駄に固い原因にもなっています。
あまりにも外れなくて爪受けを割ってしまったガラスもあります。
その一方、このガラスは専用部品ではないので、新しいものを透明プラ板で自作できます。
というか、やってみたら案外作れました!
薄いプラ板で作るので噛み合わせが固すぎることもなくなります!
使うのは、0.3mm厚程度の透明プラ板なら何でも良いです。
私は過去に空箱で車両ケースを作った時の余りもの(0.3mm厚)を使いました。
まずはこのプラ板を1両につき2枚、元々のガラスパーツと同じ寸法に切り出しましょう。
次に、切り出したプラ板と元々のガラスパーツをピッタリ重ねて、マスキングテープで仮留め。
したら、元々のガラスの爪受けと同じ位置に1mm径の穴を開けてください。
屋根側は2個隣り合わせ、床板側は両端を開口して後で切り繋ぎます。
マスキングテープの仮留めを解いて、隣り合う穴同士を切り繋ぎ、四角く成型しましょう。
写真だとわかりにくいですがちゃんと四角く穴を広げました。
こうすれば、純正の分厚いガラス板を薄い自作部品で代替できます。
0.3mmという薄さのおかげで屋根・床板の爪がほど良い固さで噛み合い、純正ガラス以上に分解・メンテがしやすい車体になります。
新製ガラス板だけで十分効果を発揮するので、厚みを足すのは避けたほうが良いでしょう。
オハ31系列はドアが客室窓より引っ込んでいるので、ドアの窓ガラスは別個で切り出して独立させました。
外側から見えない位置を少量のゴム系接着剤で固定しています。
よほどのことがない限りドア窓のガラスには触れないので、こっちは接着剤で留めちゃっても良いんじゃないでしょうか。
このように、接着剤なしで爪が絶妙に噛み合い、分解もしやすいガラス板は、模型店やホームセンター、あれば100円ショップでも買える薄い透明プラ板で自作できました。
元々のガラスの爪受けと同じ位置に穴を開けることが重要です。
たぶん他の旧製品にも応用できると思うのでお試しあれ!
なんなら、グリーンマックスの未塗装キットなどでも透明プラ板1枚の窓ガラスは使用されます。
旧製品が悪いのではなく、完成品のはめ込み式ガラスのクオリティが高すぎるのです。
真鍮線で保護棒を作る
長かった改造工程もいよいよ大詰めです。
最後に、オハ27形が国鉄から江若鉄道へ払い下げられた後に増設された、客室窓保護棒を作ります。
車掌室がある側面には短め、車掌室がない側面には長めの保護棒が、実車でも取り付けられていました。
それを0.3mm径の真鍮線で再現します。
模型の車体で寸法を測り、必要な分だけ真鍮線を切り出します。
真鍮線も塗装しますが、そのまま塗っても色が定着しにくいので、メタルプライマーを吹きましょう。
それにより金属の表面に塗料が乗りやすくなります。
プライマーを乾燥させた後に塗装していきます。
今回は購入済みだったアクリルガッシュのシルバーを筆塗りしました。
スプレーを吹くよりは塗膜が厚いですが、まぁ良いでしょう。
いずれにせよ最後はトップコートで表面保護を忘れずに!
最後に、車体の接着位置に、少量のゴム系接着剤で保護棒を接着すれば完成です!
本来は真鍮線と同じ径の穴を車体に開ければ良いですが、ドリルが小さすぎて上手く開けられなかったので、ゴム系接着剤での点留めに切り替えました。
繰り返しですが、集電化・点灯化加工は別記事で解説しています。
車体を塗り替えるだけなら無理にやる必要はありませんが、走行時の見栄えが段違いに良くなるのでぜひお試しあれ。
部品は違いますが「鉄道コレクション」も近い要領で行けると思います。
ダークグリーンの私鉄旧客が完成!
さぁ、これでオハ31形旧型客車・江若鉄道タイプが完成しました!
実車はオハ27形だったので3連窓のオハ31形ではないものの、それっぽい雰囲気は表現できたんじゃないでしょうか。
さらに、3両全部を集電化し、自作室内灯(電球色)を組み込んでいます。
新たに設定した車番は「オハ31 193」「オハ27 58」「オハ31 287」です。
アルモデルのインレタに収録されていた番号をそのまま使いました。
実在しなかった形態だから車番のつじつま合わせはしてません!
機関車と連結または最後部に来る連結面は「KATOカプラーN」、中間に来る連結面は「KATOカプラーNJP」(ジャンパ栓付き)で連結します。
その場合は連結相手となる機関車のカプラーも合わせておきましょう。
編成両端に来る連結面の、向かって左側下部には貨物用の反射板(KATO)を取り付けました。
反射板を設置した側の側面には、実車だと車掌室があったため、保護棒を短めにしています。
ちなみに、実車のダブルルーフには天窓があったのですが、江若鉄道への譲渡後に埋められたそうです。
なので模型の天窓は開口しないままにしました。
レイアウト上でもすごい存在感
久々の自宅レイアウトで撮影しました。
連結相手はもちろんDD13形!
来年はそちらも塗り替えたいですね。
DD13形とオハ31形3両の計4両編成で、京阪京津線800系とほぼ同じ編成長にまとまりました。
うちのレイアウトだと800系と並んで最長です。
DD13形は14m級、オハ31系列は17m級車体なので、R140のミニカーブも通過可能!
急カーブを曲がれる客車編成がまさかの実現!
20m級客車だとできないので、ミニレイアウト的にもオハ31形はありがたい存在です。
もともと海をイメージして作った海岸線ですが、江若鉄道を走らせると湖岸っぽい?
実車当時の白鬚神社付近がしのばれます。
自力で作った集電機構も悪くないです。
暖色の光が灯った旧型客車はとってもエモい!
しかもその室内灯まで自分で作ったので、完成した喜びもひとしお。
ただし、銅板・銅テープの微調整がかなり難しかったため、チラつきを避けられませんでした。
「鉄道コレクション」の集電化にあたっての課題ですね。
離合相手ももちろん江若鉄道の気動車。
鉄コレでキハ12(ブラインド第22弾)、キニ9・キハ14(事業者限定品)が製品化されています。
もっとこだわるなら、マイクロエースのキハ07を塗り替えたり、あまぎモデリングイデアの真鍮キットを組み立てたりすると面白そうです。
写真を撮り出したらキリがなくなるので、名残惜しいですが今日はここまでにします。
あとは自宅やレンタルレイアウトを問わず、撮影外で存分に楽しんでいきますね。
さいごに
今回は、KATO旧製品のオハ31形旧型客車を江若鉄道風に改造する制作工程の最終回!
ガラスパーツの作り換えと真鍮線の保護棒設置をしました。
これにてオハ31形江若鉄道タイプの制作工程はおしまい!
ガラスパーツを透明プラ板で自作して交換するのは、他のKATO旧製品でもできるのではないかと思います。
元々のガラスより薄くなり、パーツ同士の噛み合いが固すぎることがなくなります。
ここまでやってきたように、中古品・ジャンク品を塗り替えるだけでも学びは多かったです。
集電化や部品の交換・増設などもやってみれば、既製品のままでは表現できなかったオリジナリティも生まれるかもしれません。
今回偶然の思い付きでここまで作ってみて、私も非常に楽しかったですし、今後の課題も見つかりました。
これらの成功体験や創作意欲が重なり、より高難度な塗装済み・未塗装プラキット、からの真鍮キット、果てにはフルスクラッチもできるようになっていくのでしょう。
なんならサードパーティーの未塗装部品に色塗って交換するだけでも全然OK!
お好きな範囲からキット制作・車両改造に挑戦してみてください。
今回はここまで!
お読みいただきありがとうございました!