KATO旧製品のオハ31形旧型客車を中古品で買い集め、江若鉄道風に改造する制作工程を進めています。
前回はスプレー塗装のやり方を解説し、トップコートを吹くまで終えました。
少し順番が逆になりましたが、今回はトップコートを吹く前に行っていたインレタ・デカールについて取り上げます。
鉄道模型に車番・表記類を加える時、インレタ(インスタントレタリング)を使用することが多いです。
が、リベットの凹凸が多い旧型客車に転写しようにも上手くいかないかもしれません。
というか私は失敗しました。
しかし、旧客車体にインレタを転写できないピンチを、インレタを水転写化させることで解決できました!
インレタ転写方法の基本だけでなく、インレタを水転写デカールに変える方法も詳しく解説します。
表記類が水転写式なキット製品も最近増えているので、そのヒントになるかもしれません。
前回の制作工程をまだご覧になっていない場合はそちらも一緒にご覧ください。
では、やっていきましょう!
前回のおさらい
前回は、1記事かけてスプレー塗装の工程を詳しくご紹介しました。
オハ31は塗装済み完成品で、他に削るようなモールドも何もなかったので、グリーンマックス「鉄道スプレーNo.37 白3号」で下地の色を整えました。
未塗装キットだったら、接着面・継ぎ目をヤスリで整えてからサーフェイサーを吹くほうが良いかも。
白の次は、大本命だった「鉄道スプレーNo33 ダークグリーンA」。
価格・名称改定前は「京阪ダークグリーン」の名前で販売されていました。
江若鉄道に渡ったオハ27形も単色なので、特に難しい塗り分けはありません。
最後に表面保護として、半光沢の水性トップコート(クレオス)を吹きました!
どの工程においても大事なのは、薄く重ね塗り!
白とグリーンは3回、トップコートは2回塗り重ねました。
あと湿度が高くない日と換気の良い環境で作業すべし!
今回解説していくのは、トップコートを吹く前に貼り付けていた、車番・社紋についてです。
白3号を吹いた時に元々の車番も一緒に塗りつぶしたため、サードパーティーのインレタを用意して自力で車番を設定しなければなりません。
よくあるインレタ転写方法
では、そのインレタを転写する方法の基本をご紹介します。
冒頭でも言った通り今回失敗して、本当にやり方を挙げるだけなのをご容赦ください。
オハ31形の車番インレタは、「W座席車2・食堂車インレタ」(アルモデル)に収録されています。
江若鉄道の車番・社紋は、あまぎモデリングイデアが販売しているインレタを使います。
今回はこの2つをで車番・社紋を転写していきましょう。
アルモデルのインレタを開封しました。
裏側が接着面になっています。
数が多くて小さいので、使う車番に表からサインしておくと迷いません。
接着面の下に敷かれている薄くてサラサラな紙が台紙になっており、インレタの保管や、転写した番号を定着させるのに使います。
捨てないように!
インレタはドライデカール。
転写シートの上から細い器具でこすって圧着させるしくみとなっています。
シートそのままでは扱いにくいので、貼りたい車番の周囲を切り取ると良いでしょう。
この時、裏面から刃を入れるとなお良いですね。
切り出したインレタは、表にセロテープを貼り、車体の転写箇所に仮留めしてください。
位置調整時に力を入れ過ぎると変な位置に転写されるので注意されたし。
そして、仮留めした上から細い器具でこすってください。
写真のバーニッシャーがあると便利ですが、つまようじや、芯を出していないペン先なども一応使えます。
本来は、この後、端からゆっくり転写シートをはがすと文字が車体に転写されています。
転写しきれていない場合は、シートを元の位置に貼り直してもう一度圧をかけてみましょう。
最後に台紙をあててもう一度こすれば転写完了です。
力の加え過ぎには注意しましょう。
そう、本来はこのような方法で車番を転写するはずでした。
でもリベットだらけの旧型客車では事情が違っていたのです。
予想外の失敗とそのはがし方
インレタの転写は、平面に均等に力を加えることで、端から端まで文字が綺麗に印字できます。
セロテープの仮留めは、粘着力を弱め過ぎない、できれば貼り付け面積を広めにとることが、切り出したインレタをしっかり固定するポイント。
オハ31の場合、縦横ともリベットの凹凸があり、リベットと干渉した両端が上手く転写できない。
おまけにテープの粘着力を弱め過ぎた(指で触り過ぎた)ために仮留めが全然留まらない。
ということで、オハ31車体へのインレタ転写は失敗です。
絶望のあまり写真を撮り忘れました。
万が一インレタ転写を失敗した場合、新しいセロテープで失敗した印字を何度もぺたぺたすると、だんだん印字がはがれていきます。
私はユニクリーナー綿棒で崩れた印字を除去しましたが、これではつぶれたインレタの色が車体に残ってしまいました。
除去したインレタの色が車体に残ってしまったら、その部分だけ色を塗り直しましょう。
これが乾燥したら振り出しに戻ります。
おかげさまでインレタ1枚買い直しになりました…。
水転写デカールシートに直接転写!
結構マジで困っていたところ、プラモデル制作でドライデカール(=インレタ)を水転写デカールにする工法があることを知りました。
この方法なら、凹凸の多い旧型客車にも新しい車番を設定できるかもしれません。
さぁ、反撃のお時間でぇす!
「クリアデカールTH」(ハイキューパーツ)というデカールシートを買ってきました!
自宅のプリンターで水転写デカールを作れるというアイテムです。
これはレーザープリンター用ですが、インクジェットプリンター用もあります。
このシートに、Nゲージの車番・社紋インレタを直接転写してしまいます!
必要な分だけ転写したら大まかに切り出し、念のため水性トップコートで保護しておきましょう。
1回吹き、心配なら2回吹きし、乾燥したら次に進みます。
デカール水転写の準備とマークセッター
水転写デカールの転写作業には、ピンセット、小さめの容器に溜めた水、タオル、綿棒(乾いたものと濡らしたもの1本ずつ)を用意してください。
デカールの切り出しに使う定規は、裏面にマスキングテープを貼って、デカールを傷つけないようにしましょう。
それと、お役立ちアイテムをもう一つ用意してみました。
デカール軟化・接着剤「Mr.マークセッター」(クレオス)です。
デカールを少し軟化させつつ、より強固に接着してくれます。
キャップがそのまま刷毛になっているので、開ければすぐ塗れるようになっています。
今回はリベットの間の平面にデカールが収まるので、「マークセッター」だけ用意しました。
凹凸にまたがってデカールを水転写する場合は、デカール軟化専用「Mr.マークソフター」もご検討ください。
そうすれば、より良く段差に追随できるようになります。
デカールを水転写する
では始めます!
まずは車番を一つずつ、ギリギリの寸法まで切り出してください。
印字を傷つけないために定規は外側に当てましょう。
水に浸してからがスピード勝負なので、車番・社紋は面倒でも一つずつ切り出していきます。
切り出したデカールのフチをつまむと、ピンセットで持っても印字を傷つけにくくて済みます。
次は、デカールを水に浸しましょう。
だいたい20~30秒浸せば十分です。
浸し過ぎると糊が溶け過ぎてしまいます。
最大30秒程度で水から引き揚げたら、続いてはデカールをタオルの上に置き、余計な水分を取り除いてください。
これも30秒くらいで良いと思います。
かなり小さくて分かりにくいですが、下の写真だと中央にデカールを置いています。
タオルに余分な水を吸わせている間に、車体に「マークセッター」を塗布しましょう。
Nゲージの車番のサイズなら少量でOK!
ビンの空洞で余計な液を落とし、筆先を車体にちょっと乗せるとこのとおり。
水を含んだデカールシートは剥離紙からスライドできるようになっています。
「マークセッター」を塗った箇所から少し離れた位置にデカールを持ってきて、濡らした綿棒を当てて剥離紙上から転写位置までスライドさせてください。
しっかりデカールを接着するとはいえ、「マークセッター」は水溶性です。
乾燥していないのに動かせなくなったら、ほんの少し水を足してみてください。
位置調整中のデカールに触る場合も指先を少し濡らすと良いでしょう。
狙い通りの位置までデカールをずらすことができたら、最後に、乾いた綿棒を転がして空気と水分を抜き取りましょう。
デカールの中央からゆっくり乾拭き綿棒を転がすと成功しやすいです。
左右片方ずつ、両側ともやりましょう。
ただし、綿棒を転がさずその場で回転させるのはいけません。
せっかく貼れたデカールにダメージを負わせてしまいます。
このようにして、車番・社紋を3両分全て水転写させました。
思った通り、水転写デカールなら凹凸が多い車体にも表記類を貼りやすいと感じました。
水に浸したデカールの位置調整には濡れ拭き綿棒、位置固定には乾拭き綿棒という、綿棒の使い分けも重要です。
とはいえ水転写は私も初めてだったので多少の反省点はありましたが、それでも十分。
インレタがやりにくい車両にも表記類を転写できる方法がある、これが分かっただけ大きな進歩です。
なお、空気を抜ききれないまま乾燥してしまった場合は、例えば透明部分を針でつついた後に「マークソフター」で軟化させて面に沿わせるなどご対策願います。
さいごに
今回は、KATO旧製品のオハ31形旧型客車を江若鉄道風に改造する制作工程で、車番・社紋インレタの水転写化と水転写デカールの転写方法を解説しました。
3両全てに表記を水転写した後、水性トップコート(半光沢)で車体全体をコーティングして、ようやく外観の塗装が完成です。
通常のインレタはしっかり平面に仮留めして、細い器具でよくこすって圧着させれば大丈夫。
でも今回みたいなリベット付きの車体では、そう思い通りにいかない可能性もあります。
そうなったら、透明なデカールシートにインレタを転写した上で、改めて水転写する策をお試しください。
2024年11月時点では、マイクロエースが発売している組立キットシリーズ「MA’s CRAFT」や、2025年2月にホビーセンターカトーが発売予定「TORO-Q」トロッコ車両タイプキットの情報がありますよね。
あれらも表記類は水転写デカールだと聞いています。
車番・社紋インレタを水転写化させて、中古品に自力で転写ができたなら、「MA’s CRAFT」も「TORO-Q」トロッコ車両も絶対にできる!
本稿が参考になったなら、ぜひとも市販のキット制作に活かしていただけたら嬉しいです。
前回をまだご覧になっていない場合はそちらもぜひどうぞ!
次回は、大幅にタイトルが違うけど実質的に本稿の続編です。
KATO旧製品のオハ31系列はデフォルトだとライト非点灯なのですが、それを自力で点灯化させます!
ということで今回はここまで!