トミーテックから「TOMIX」と並行して展開されている「鉄道コレクション」(鉄コレ)は、ディスプレイモデルであるゆえ、本家Nゲージのようなライト点灯はしません。
そんな鉄コレにライトを搭載させられる点灯化キットが、イズムワークスなどのサードパーティーから多数商品化されています。

しかしそれでも、サードパーティーすら対応していない車両もあります。
そういった鉄コレを光らせたいと思ったら、全部自力でやらなきゃいけません。

「上等だ!」と言わんばかりに以前、京阪電車350型の車体内側に、アクリルガッシュの黒で遮光処理をしました。
今回は実質、その続きです!

点灯化キットの存在しない京阪350型を、ライトユニットを自作して自力でライト点灯化させました!
その作例をご紹介します。
まだアクリルガッシュで遮光した記事を見ていない場合は、そちらも併せてご覧ください。

ここで私が作った自作ライトユニットの作り方や、点灯化方針はあくまで一例です。
本稿で掲載したことだけが正解ではないことをご了承願います。
あと鉄道模型の改造は自己責任で!


アクリルガッシュで遮光できた

以前の記事では、「鉄道コレクション」京阪電車350型の車体に、アクリルガッシュの黒遮光処理をしました。
アクリルガッシュを筆塗りするため、絵の具の半分程度の希釈材(記事では精製水を使用)で伸ばしてから、2回に分けて重ね塗りで。

その後、内装が真っ黒では悪目立ちするので、実車の内装色に近いと思われる「パステルエメラルド」も重ねてみました。
この時点でもはやネタバレ気味ですが、しっかり塗装できて、光が透けにくくなりました。
アクリルガッシュで鉄コレの遮光は一応できます!

鉄コレのプラ素材では、(車種によると思うけど)遮光処理をしないと光が透過してしまいます。
すると車体自体が光っているように見えてしまい、実感的ではありません。
そのために遮光処理が必要でした。
お手持ちの鉄コレで光漏れが大丈夫かどうかは、各自ご確認ください。

これができたので、今度はヘッドライトを点灯させる加工を行っていきましょう!

ライトの位置やレンズを確認しよう

鉄コレの点灯化をするというなら、ヘッドライト(前照灯)のみ、またはヘッド・テールライト(後部灯)両方を点灯させるか、さらに動力車に仕込むかトレーラー車に仕込むかも、自分で考えねばなりません。

とはいえ私も初挑戦ですし、まずは点灯化を成功させることが大事。
京阪350型は単行(実車は晩年、351号車以外2両化)なので、必然的に動力車に組み込むことになります。
ということで、今回はヘッドライトのみ点灯で進めていきましょう。

そうと決まれば、ヘッドライトの位置や、パーツ構成を改めてチェック!
350型のヘッドライトは、前後とも前面屋根に埋め込まれています。
が、鉄コレでは、ライトカバー・プリズムにパーツ分けされていて、屋根本体から取り外すことができました。

プリズムは、外から見えない部分が下に伸びていて、屋根本体に差し込んで取り付ける方式のようです。

このしくみを応用すれば、プリズムの下から光を当てて、外側に導光させることができるのではないでしょうか?
位置も位置ですし、車内の天井にライトユニットを作って固定させれば良さそうです。


ユニバーサル基板でユニットを作る

今回もハサミで切れるユニバーサル基板(サンハヤト)で、350型専用にライトユニットを自作していきます。
マイクロエースの151系のライトをLED化した時に初めて使った薄型ユニバーサル基板ですが、扱いやすくてとても便利です。

これを、今回はコの字型に切り出します。
車内の天井に収まる寸法を測り、外周はハサミで、内側はカッターで、それぞれ基板を切り出してください(特にカッター使用時はケガ注意)。
今回は穴4つ分の幅で切り出しました。

そして、細く切り出して足になった部分に、銅テープを貼り付けます。

銅テープの端から基板の端部中央に向かって斜めに、定電流ダイオード(CRD・今回は5.6mA使用)スイッチングダイオードをはんだ付けしてください。
今回リード線付きの部品だと他の部品に干渉するかもと思い、チップタイプのダイオードを使用しました。
とんでもなく小さいですが、白い線のない側(プラス・アノード)から白い線の側(マイナス・カソード)に向かって電気を流します。

下の写真では、左がCRD、右がスイッチングダイオードです。
最終的にはダイオードがある写真の面を線路側にします。

銅テープだけで集電しづらかったら、足と同じ幅に切り出した銅板をはんだ付けし、延長してください。

ライトユニットを自作する場合はこのように、

  1. ライトユニット基板の寸法・形状
  2. ユニットを取り付ける位置
  3. 使用する電子部品と取り付ける位置
  4. ユニット取り付け時の基板の裏表

などを考えながら進めてください。
スイッチングダイオードをプラマイ逆にすると電気をせき止めてしまい、CRDを逆にすると制限が効かずに電流ダダ漏らしになります。
最悪LEDをぶっ壊すので要注意!

チップLEDをはんだ付け

したらここからが本番!
チップLEDをはんだ付けします!

他の多くのNゲージはムギ球をLEDに交換すれば良いですが、鉄コレはそうとは限りません。
今回みたいに「動力車にヘッドライトも」となると、元々の動力ユニットの都合上、電球型のLEDでも大きくて合わない可能性が高いです。

そこで使うのがチップLED
今回は、電球色の「OSMW1608C1A」(Optosupply)を使用します。
「1608」の数字が寸法を表しており、これは1.6mm×0.8mm寸法です。
下の写真だと真ん中にLED本体を置いていますがガチで小さいです。

ムギ球型がそうであるように、チップLEDにもアノード・カソードがあります。
これの場合は、緑色の矢印が向いている方向に電気を流します。
チップLEDのプラマイはメーカーや大きさによって表示方法が違うので、必ず製造メーカーのデータシートをご確認ください。

矢印が示すプラマイに従って、リード線ともども基板にはんだ付けしましょう。
あまりの小ささですぐ失くす可能性大なので、両面テープに貼りつけてから、予備はんだを流してリード線と接続させると成功しやすいでしょう。
LED本体への熱の加え過ぎにも注意。

今回のライトユニットは、写真の面を天井に向けます。

ここまでできたら、一度点灯テストをやってみてください。
片方からプラスを流して点灯し、もう片方からプラスを流したら非点灯、その上で焼損しなければ成功です。

ちなみに、チップLEDのはんだ付けは、なるべく細いリード線にすることをおすすめします。
私、手持ちの0.38mm径のリード線を使いましたが、1.6mm×0.8mm寸法のLEDにはそれでも太かったです。

初めてなのもあってか、チップLEDのはんだ付けは非常に難しかったです。
あまりにも難しくてやってられなくなったら、若干お値段張るけどリード線付きのチップLEDもお試しください。

室内灯も組み込みたいが…

今回は、1両だけで走れる鉄コレ動力車に、ヘッドライトのみ点灯するユニットを自作する、ということで進めています。
ヘッドライトが点灯できるんなら室内灯だって作れるのではないでしょうか?

実際に、通常のNゲージとほぼ同じ作り方で、集電部品を銅板に変更し、以前作ったものよりも長さを短縮しました。
下の写真は以前作ったものです。

しかし、鉄コレの動力ユニットには大型のウェイトが鎮座しているため、上の作り方ではブリッジダイオードやCRDがウェイトに干渉してしまいました。
これでは車体が床板に嵌まらないので失敗です。
鉄コレのトレーラー車ならこのやり方でも大丈夫かもしれませんが。

単行動力車だからできる荒業

悩んだ末にひらめきました。
単行運転可能、ヘッドライトのみ点灯、ライトユニットを天井に取り付け、これらの特徴を活かして、荒業で室内灯を作ろうと思います。
ヘッドライトユニットに室内灯も併設してしまえば良い!

客室内に合わせた寸法でリード線を切り出し、だいたい戸袋あたりの位置に、CRD(5.6mA)と接続したチップLEDを用意しました。
室内灯部の出口にスイッチングダイオードを取り付けつつ、左右のリード線にLEDをそれぞれはんだ付け!

ここで室内灯に使ったチップLEDは、ヘッドライト用よりは大型です。
白色点灯で、導電部分の小さいほうがアノードだと記憶してます。
チップLEDのプラマイは、メーカーのデータシートや電子部品通販ページなどでしっかり確認することを推奨します。

片方の室内灯は天井の外側に沿って配線したので、もう片方の室内灯は天井の中心を通るように、リード線・CRD・チップLEDをはんだ付けしてください。
これで、前と後ろで室内灯のLEDが互い違いになります。

電子部品の導電部分が他の導電部分と重なっても大丈夫なように、マスキングテープなどで絶縁もしておきましょう。

こうすることで、進行方向に向かってヘッドライトが点灯するのと同時に、そのユニットに併設した室内灯も一緒に点灯します。
同じ回路のライトユニットを前後ともに組み込むので、2つ併せて、どちらに走っても車内が光るようになります。

これは、単行運転可能で、ヘッドライトのみ点灯で、そのヘッドライトが天井に位置している車両だからこそできた荒業(自称)です。
全ての鉄コレで同じことができるわけではないのをご承知おきください。


動力ユニットから電気を引っ張る

車体のほうで点灯化の準備が整いつつあります!
とはいえ、この時点では電気を引き通す経路ができていないため、せっかく作ったライトユニットがうんともすんとも言いません。
ここからは、鉄コレの足回りに電飾用の導電経路を引いていきましょう。

本稿は動力車のみ施工しています。
トレーラー車の通電化はまたの機会で。

鉄コレの動力ユニットから電飾用の電気を引っ張るには、動力台車に接している集電板導電部品を接触させる必要があります。

まずは、集電板と同じ長さに銅テープを切り出しました。
言ってしまえばこの方法はほぼイズムワークスの受け売りです。

大まかに切り出した銅テープを、下の写真のように成型します。
細長い部分は動力ユニットの床板側面に貼り付け、両端のコの字部分を集電板に貼り付けます。

実際に動力ユニットに貼り付けるとこんな感じ。
集電板との接地面は、少し折り返して貼り付けると良いと思います。
この後、絶縁・補強を兼ねて上からマスキングテープを貼り、ウェイトの天面もマステで絶縁しておきました。

これで、動力台車で拾った電気の通電経路が一つ増えました。
車体にも銅テープで配線し、動力側の銅テープに触れさせれば、ライトユニットに向かって電気が流れるようになります。

動力側の銅テープをあれだけ長く切り出すと、貼り付けるまでが大変ですが、ライト用の配線が実質的に両軸集電っぽくなるので、集電はたぶん良くなると思います。

車体内側も銅テープで通電

あとは車内にも銅テープを貼れば、ライト用の配線が繋がります。
そこに先ほど作ったライトユニットを固定すれば、いよいよ鉄コレの自力点灯化が実現!

車内に貼る銅テープ形状は、いろいろ考えて、L字型に決めました。
L字型・逆L字型で2ペア切り出してください。

これの縦部分を、ガラスパーツの下にある爪の直線上に貼り付けてください。
ガラスの凹凸に這わせつつ、きっちり貼り付けましょう。

天井側はこんな感じで。
テープの横部分は運転台に近づくように貼り付けると良いでしょう。

最後に、作ったライトユニットを固定しましょう!
ユニットの銅板を天井の銅テープに触れさせ、上から銅テープで補強してください。
今回は前面ガラス上部にヘッドライト光源が乗っているので、補強用テープと相まってユニット本体を固定できたと思います。

ヘッドライトと室内灯の一体型でユニットを作ったため、それが互い違いになってこんな感じになりました。
ライトユニット本体が上手く固定できなかったり、室内灯の光源が変に傾いたりするなら、リード線の曲げ癖を修正してみてください。

これを組み直せば鉄コレのライト点灯化工作はおしまい!
動力側の銅テープと車体側の銅テープが、ちゃんと接触し合うかも確認しながら組み直してくださいまし。


はじめての自作点灯化は

いろいろ苦労したけど無事に鉄コレの自作ライト点灯化までこぎつけました!
これをレールに乗せて通電させるとこうなります。

ヘッドライトは電球色室内灯は白色で、光り分けもちゃんとできています!

しかしながら、構造上どうしても光漏れは避けられませんでした。
完全に固着させれば隙間を埋められますが、そうすると分解できなくなり、メンテナンスに困ると思ったので、やむを得ずこのままにしてあります。

テールライトを非点灯のままにしたため、ガラスを分割しておらず、光を多少導光するのも気になりました。
鉄コレ動力台車の首振り範囲には隙間が空いているので、そこからも光漏れはあります。
納得いかなくなったら、テールライトレンズを前面ガラスと分割したり、遮光板を増設したりなど、各自ご対策ください。

また、今回の作り方ではコンデンサーを付けていないので、通電状況によってはチラつきやすくもなります。
コンデンサーを付ける場合も各自でご研究願います。

それでも最初は、自作したライトユニットで正しく鉄コレが光ること自体が大事!
「まず光らせる」という点においては十分な手ごたえを得られました。

ジオラマ映えも狙えるぜ!

久々に自宅レイアウトを引っ張り出していろいろ撮ってみました!

やったぜ!

比較的安価で手に入るかわりに動力別売でライト非点灯な「鉄道コレクション」(最近だいぶ値上がりしてるけど…)。
ただ走らせるだけでも十分面白いけど、こんな風に自力でライトを点灯させることができたなら、今まで以上に鉄道模型が楽しくなるでしょう!

自宅にジオラマがあれば、より一層生き生きした情景になるでしょう。

最後にもう一つ注意してほしいのは、本稿で掲載したものは、あくまで京阪電車350型に取り付ける用に作ったライトユニットです。
他の鉄コレの場合、光源の位置・配線ユニットの寸法それぞれの取り付け位置などを、車両に合わせて作っていかねばなりません。
大変な道のりだと思いますが、成し遂げた際のリターンも大きいです。

ご検討の上、ぜひお試しください!


さいごに

今回は、京阪電車350型を例にして、「鉄道コレクション」に組み込む自作ライトユニットの作例をご紹介しました。
これで鉄コレを自力でライト点灯化させることができました!

ライトユニットの寸法・形状や、各種電子部品の取り付け位置、配線方法など、自分で考えなければいけないことがたくさん。
しかし、サードパーティー製品でも対応していない車両を光らせることができた時、鉄道模型への知見もワンランク上のものになるはず。
鉄道模型をもっと面白くできるでしょう!

私はそうですねぇ…、350型以外にも点灯化させたい車両がいろいろあります。
この経験を糧に、今後もいろいろ研究していきたいです。

ということで今回はここまで!
ありがとうございました!