今回もライトユニットを自作して、「鉄道コレクション」をライト点灯化させていきます!

前回(はじめて)の鉄コレの自力点灯化は、京阪電車350型で、元々のライトレンズに直接チップLEDの光を当てる構造にしました。
今回は屋根部の構造が違うので、前回やらなかった、光ファイバーと遮光板を使った点灯方法を試してみます。

正直けっこう大変ですが、他社が製品化していない車両を自分の手でグレードアップさせるリターンは大きいです。
鉄コレを自力で点灯化させたい時の参考として、ぜひ本稿をご活用ください。
特に、ヘッドライトが天井に取り付けられている車両なら、本稿と近い方法で点灯化できると思います。


昭和の日本最北の電車

今回はこんな車両をご用意しました。
ブラインドパッケージ「鉄道コレクション第16弾」収録、旭川電気軌道モハ1001型です!

旭川市内を中心にバスを運行している旭川電気軌道ですが、実は、1973年の廃止までは軌道線が存在しました。
モハ1001型は18m級車体を有する、同社唯一の大型車両として東川線(旭川四条~東川)で運行していたそうです。

2024年7月時点で軌道線廃止から50年以上経ちましたが、東旭川農村環境改善センター(旭川市東旭川町)屋外に静態保存されているようです。

鉄コレとしてのモハ1001は、幸いにもヘッドライト・テールライトがレンズ表現になっています。
これなら、元々のレンズに導光してライトを光らせることができそう!
今回もヘッドライトのみ点灯させる方針で進めます!

車体に遮光処理しておく

今回はもう先にやっちゃいましたが、点灯化の準備工事として、車体内側にアクリルガッシュで遮光処理をしておきました。
こちらの過去記事と同じく、黒2回塗り、内装色2回塗り(2回目はジェルメディウム入り)で筆塗りしています。

窓枠に回り込んだ絵の具は、乾燥後に綿棒の水拭きで落としましょう。
それでも窓パーツが嵌め込みにくくなるので、あまりにも窓ガラスが戻せないなら、外側に出ない勘合部分を削ってください。

車体上部、ライトまわりと屋根裏側は、黒色2回塗りで遮光対策しています。
この屋根は裏から爪を押して外す仕組みでした。
しっかり留まっていたので破損に注意しましょう。

ヘッドライト後方の段差には、後述の光ファイバーを仕込むために1mm径の穴を開けておきました。
また、屋根裏に元々開いてた四角い開口部を屋根裏の端まで延長しています。

車体内側のライト周りは、絵の具だけでは遮光しきれなかったため、アルミテープも併用しました。
段差に貼り付く部分には切り込みを入れています。

前面ガラスは、ガラスとテールライトレンズが一体になっています。
これも、運転台部とテールライトで分割したほうが光漏れを抑えやすくなるでしょう。
プラスチック用ノコギリでの切断がおすすめです。

分割した断面はヤスリで整え、アクリルガッシュの黒を塗っておきます。

ヘッドライトレンズも裏から押し出して外れるしくみ(若干固め)なので、一度外し、穴に通している部分を黒く塗っておくと良いでしょう。

車体側の加工はひとまずこんな感じ。
とにもかくにも鉄コレの点灯化は遮光処理が必要不可欠
車体はもちろんのこと、前面ガラスの断面やライトレンズの外から見えない部分などもやっておきましょう。


銅テープ集電の弱点

動力ユニットは、集電板から床板側面にかけて銅テープを貼ることで、電飾用の電気を引くことができます。
集電板に貼った部分は上からマスキングテープで絶縁しました。

しかし、これで車体を組み戻そうとした時に問題発生。
車体側面下部に意味不明なふくらみが発生してしまいました。

旭川電気モハ1001型では、車体を床板に固定する爪がガラスに設計されていて、床板・動力を組みつけた際は車体・ガラス・床板でぴっちり嵌まります。
本当にピッタリなため、余計なお世話と言わんばかりに、銅テープのわずかな厚みだけでも車体下部が膨らんだと考えられます。

これでは、せっかく点灯化しても見た目が悪くなるので、このまま進めるわけにはいきません。
銅テープ集電は今回できなくなりました。

MODEMOの集電を踏襲

何か良い方法がないか考えた時、MODEMOの箱根登山鉄道が思い当たりました。
MODEMOの箱根登山鉄道モハ2形(108号)を車体と動力で分解した、下の写真を見てみてください。

黒い遮光ケースに覆われている、両先頭部のライトユニットから伸びている銅板が、動力側の集電板に接触することで電気を引っ張っていることが見て取れます。

旭川電気モハ1001も、モハ2形と同じでヘッドライトが上部に位置しています。
この方法なら、車体を無理に膨らませずに点灯化ができそうです!

銅板を足にした自作ライトユニット

MODEMOの箱根登山電車を参考に、ヘッドライト専用でライトユニットを自作してみました。
大元の構造は前回の京阪電車と同じで、薄型基板の足となる部分に銅テープを巻いています。
そこに、定電流ダイオード、LED本体、スイッチングダイオード(全部チップ部品)をそれぞれはんだ付けしました。

ただし、今回は銅テープの端部に1mm幅の銅板を追加しています。
後で調整し、はんだ付けする長さは2~3mm、下に伸ばす長さは12mm(1.2cm)にしました。

ライトユニットを組んだら点灯テストも忘れずに!
片方からプラスを流して点灯、もう片方からプラスを流して非点灯、かつ焼損しなければ成功です。

今回は、定電流ダイオードは10mA、LEDは電球色にしています。
直接レンズに光を当てるわけではないので、5.6mAよりは強くても良いかなと思った次第です。

定電流・スイッチングのチップダイオードは、白い線が引かれている側に向かって電気を通します。
チップLEDのアノード・カソードは、使用する種類によって表示方法が違うので、データシートや通販サイトの商品ページをご確認ください。


鉄コレにおける光ファイバー

天井と屋根の間に光源を設置する関係上、前のように直接ライトレンズに光を当てることができません。
光源とレンズのわずかな隔たりを埋めるため、今回のテーマでもある光ファイバーを使ってみましょう!

光ファイバーは、透明度の高いガラスまたはプラスチックで作られた透明繊維。
インターネット回線の光回線で使われたりしますが、鉄道模型においても、光を導光してライトを点灯させることができます。

今回は、東京・巣鴨の「ギャラリーショップさかつう」が販売している模型用光ファイバーの1.0mm径を使っていきます。

とはいえ、そんなに長く切り出す必要はありません。
ライトレンズとライトユニットの隙間に合うよう、現物合わせでカット。
気休め程度に黒のアクリルガッシュも塗っときました。

これを、最初に穴を開けたヘッドライト後ろに挿入します。
爪楊枝で差したところに光ファイバーが入っています。

ここにライトユニットを設置して通電すれば光るはずですが、このまま組み直しても室内に光ダダ漏れになりそう。
そこで、今からもう一工夫加えていきましょう。

プラ板から遮光板を作る

そこで今日のもう一つのテーマ、遮光板を作っていきます!
そうすれば光漏れを抑えやすくなるでしょう。

プラ板(本稿は0.3mm厚を使用)を、前面形状に近い形で2枚切り出してください。
タミヤが販売している普通のプラ板でOKです。

取り付けイメージとしてはこんな感じ。
見えなくなった部分がライトケースっぽくなります。

したら、ヘッドライト側を黒で、室内側を内装色(今回は白)で塗ります。
絵の具を2回塗りした後、黒く塗った面の車端部側にアルミテープを貼り付けました。

アルミテープの表面は通電します。
一面全てをアルミテープで覆うと、ポリウレタン銅線の通電部分が触れた場合にショートする可能性があるため、導光先の空間だけアルミテープで遮光するようにしました。

そしたら、これを正しい向きで屋根上に貼り付けてください。
取り外しやすさを考慮して両面テープを使いました。

上から見るとこう。
屋根裏でLEDが固定される部分は、黒で遮光するように色分けできました。

なお、アルミテープの接着面が通電するかは、使用する製品によって異なると思われます。
そのアルミテープの製品スペックをメーカー公式サイトなどでご確認願います。


微調整しながら固定して完成

作業もだいぶ終わりに近づいてきました。
先ほど貼り付けた遮光板のすぐ後ろに、両面テープなどでライトユニットを固定しましょう。

下から見るとこんな感じ。
組み戻した際、床板に伸びている銅板が動力ユニットの集電板に触れることで、ライトユニットに電気を通す仕組みになっています。

この方法で集電する場合、足となる銅板は基板の両端にはんだ付けを強く推奨します。
中央に寄せ過ぎると台車の首振りを妨害するかもしれません。

ライトユニットを貼り付けたら、組み直す前にもう一度点灯テストをしておきましょう。
LEDの光が光ファイバーで導光されて、ライトレンズから正しく放たれれば成功です。
下の写真も良い感じです!

より遮光を徹底するため、光源の上からさらにアルミテープで覆うことをおすすめします。
光源に当たる位置は、セロハンテープ裏貼りで部分的に絶縁しました。

最後に車体を動力ユニットに組み直し、ライトユニットの銅板と動力ユニットの集電板が触れ合っていることを確認できたらおしまい!!
組み直した状態で通電して光らなかったら、もう一度ライトユニットを見直してみてください。

また、不意にライトユニットが外れる銅板が当たってショートする可能性を減らすため、動力ユニットに元々付いているウェイトは、マスキングテープなどで絶縁しておきましょう。

少しなら室内灯も搭載可能

これで、MODEMOに似せた構造で「鉄道コレクション」のライト点灯化ができました。
今回施工した旭川電気軌道モハ1001型は大型車体ですので、実はまだ天井に空きスペースが残っています。

…となればやることは一つ!
室内灯も付けちゃいましょう!

もはやおなじみになった自作ライトユニットですが、今回はテープLED(1灯17mm間隔)を3灯分切り出して作りました。
ただし、モーターに干渉しないよう5mm厚のプラ板に貼り付けました。
プラ板の厚さ、テープLEDの長さ、ブリッジダイオードの入力部分以外は、こちらの過去記事と同じ工法で室内灯を作ってます。

通常のNゲージのような床板パーツが鉄コレ動力には存在しないので、まずブリッジダイオードの入力部分(「~」の字が書かれている)には銅板をはんだ付け。
その上で、室内灯の集電用銅板がライトユニットの集電用銅板に触れるように固定しました。

室内灯本体の接着も両面テープ。
部分的にごく少量のゴム系接着剤で補強もしています。
モーターの出っ張りに光源やその他部品が干渉してしまった場合は、集電用銅板を軽く折り曲げたりして位置を調整してみてください。

本稿の集電方式による自作室内灯は、鉄コレの中でも比較的大型な車体だからできた構造です。
これより短い動力ユニットでは同じ方法で作れない可能性があることをご承知おきください。


鉄コレが一層カッコよくなった!

ということで、「鉄道コレクション」旭川電気軌道モハ1001型を自力でライト点灯化できました!
そして室内灯も付けました!
これをジオラマで走行させても同じように光ってくれるでしょうか。

大成功!!

レイアウト上でも無事に点灯しました!
今回は大型車体で、ヘッドライトが埋め込み型で、屋根のパーツ構成も京阪350型とは異なっていましたが、元々のレンズと光源の間に光ファイバーを介する方法で、光漏れを抑えつつピカッと光るヘッドライトが実現しました。

手塩にかけたのもあると思いますが、本ッ当にカッコいい!

今回のライトユニットは、ライトユニット本体から動力ユニットの集電板に向かって銅板を伸ばす、MODEMOの箱根登山電車の構造を踏襲しました。
それにより動力ユニット本体は加工不要になり、車体のふくらみも解消しました。

ただし、この方法にも欠点はあります。
両運転台車両の車端部天井をライトユニットで占有したために、室内灯の点灯範囲が中央に偏ることに。
下の写真だとそれがよくわかると思います。

室内灯の点灯範囲だけでなく、接着を両面テープに頼っている場合は落下の可能性もあります。
そうなると、通電部分がウェイトに当たってショートの可能性も。

思いつくあたりこれらのリスクはありますが、自力で作ったライトユニットが正しく点灯したことがまず大事!
今後も鉄コレの点灯化をやりながら、いろいろ改良していきたいですね。

さいごに

今回は、光ファイバーと自作遮光板を使った自作ライトユニットで、「鉄道コレクション」旭川電気軌道モハ1001型を点灯化する作例を解説しました。

車両が超マイナーなので「何の役に立つんだ」と思われそうですが、ヘッドライトが天井に設置されている車両なら、本稿と同じか近い方法で点灯化できるかもしれません。
銅テープを床板側面に巻かなくても、ライトユニット本体から集電用銅板を伸ばせば、そっちには無加工で点灯化ができるはずです。

ただし、この方法は動力車を点灯化する場合を想定して解説しています。
トレーラー車だとまだ事情が変わることをご了承ください。

今回はここまで!
ありがとうございました!