鉄道模型専門とはいえ、電子工作の技術を少しずつ習得していることで、今まで以上にNゲージでできることが増えています。
今回は、特急形車両151系(マイクロエース製)ヘッドライト・テールライトをLEDに交換します!

古い鉄道模型とあらば、ライトに白熱電球が使用されているのは珍しくありません。
LEDが一般化した今となっては、そのままだと暗い上に発熱のリスクも伴います。
しかし、これまで行ってきたメンテナンスや今回の電飾が合わされば、古いNゲージさえも現行品に匹敵すること間違いなし!
ぜひ、その一例としてご覧ください。



マイクロエースによる特急こだま

国鉄151系は、1958(昭和33)年にモハ20系として登場しましたが、翌年に151系と改称されました。
東海道新幹線開業前の東海道本線で特急「こだま」として活躍し、新幹線開業とともに「こだま」から撤退するも、山陽本線に移ったり181系に改造されたりなどの上、活躍を続けました。

151系のNゲージはマイクロエースが2003年に発売し、後年KATOも発売。
私は親戚から譲受した関係で、マイクロエース製の個体を所有しています。

しかし、マイクロエースの151系は20年も前の製品なため、ヘッドライト・テールライトには電球が使用されています。
さすがにLEDに比べると暗いです。
さらに熱を持ちやすいため、プラスチックの部品・ボディに悪影響を及ぼす可能性もあります。

以前に動力のメンテナンスだけは済ませましたが、ブログ外で増結セットも購入しました!
LED化のノウハウが分かってきたことを踏まえ、今回ついに「こだま」のLED化にも踏み切ります。

純正ユニットを見てみる

まずは元々のライトユニットを見てみないことには始まりません。
先頭車両の内側に組み込まれている、淡い緑色のブロックをピンセットで外しましょう。

ピンセットでブロック後ろの出っ張りをつかみ、もう片方の手で車体のライト部分を抑えます。
そしたらブロックを後ろに引っ張ってください。
プリズムを折らないように、慎重に!

この外したブロックがライトケースです。
ライトユニットを組み込んでいると同時に運転台も表現されています。
内側から外しにくければ、ヘッドライトプリズムを外側から押してみるのも良いでしょう。

真ん中で二つに割れるので、開けてみましょう。

中から出てきたこれがライトユニットです!
2面とも部品がはんだ付けされており、表面にはヘッドライト用のムギ球があります。
また、チラつき軽減用と思われるチップ積層セラミックコンデンサーも取り付けられていました。

屋根上のヘッドライトも光らせる必要があるため、通常とは逆向きに電球が設置されています。
逆向きに照射した光をテープで拡散させ、前のヘッドライトと愛称板を点灯させる仕組みですね。

裏面にはテールライト用のムギ球が装備されています。
上部に導光する必要がないのでこちらは普通の向きです。

接点が3本付いている部品の正体がわからなかったため、SNSや地元の電子部品店などで相談してみたところ、3端子のダイオードである可能性が高いと思われます。



元々の基板を再利用したいが…

マイクロエースのライト基板は黒色で、白文字で部品の記号や位置が記されていますが、これだけでは電気の流れる位置が分かりません。
ですので元々の電子部品を外してみます。

はんだごてはんだ吸い取り線を用意してください。
部品を外したい部分に吸い取り線を当て、はんだごてで元々のはんだを溶かし、吸い取り線に吸着させます。

とりあえず、部品を外してみました。
はんだは十分吸い取ったつもりですがコンデンサーだけ外れなかったので、それ以外の部品を取り除きました。
電子部品を取り付ける位置に記号や数字・アルファベットが書かれています。

コンデンサー以外の外した部品がこちら。
集電板からリード線で拾った電気を3端子ダイオードで整流し、ヘッド・テールライトのムギ球を光らせていたということになりますね。

しかし、私が浅学なせいで、どこにどんな形で回路が組まれているか分かりませんでした。
できれば元々の基板を再利用したかったのですが、やめようと思います。

薄型ユニバーサル基板を新しい基板に

しかし策はあります。
基板を使いまわせないのなら、新しい基板を自分で作れば良い

そこで、ハサミで切れる薄型ユニバーサル基板(サンハヤト)を買ってみました!
従来のユニバーサル基板より薄めに作られているので、本当にハサミで切ることができます。

この基板の裏面がはんだ付け可能になっており、はんだもちゃんと流れます。

今回はこれを使って、新しいライトユニットを自力で作ってしまいましょう。
ユニバーサル基板を大ざっぱに切り出した上で、元々の基板と同じ寸法に調整します。

マイクロエース151系の純正基板は、長辺1.2cm・短辺1.1cmでした。
それに合わせてユニバーサル基板も微調整します。
最終的に、ライトケースにストレスなく収まればOK!

そしたら電子部品をはんだ付けしていくのですが、今回はヘッドライトもテールライトも点灯させないといけないので、リード線同士の直接配線もしながら進めていきます。



ヘッドライト回路を組む

まずはヘッドライトの回路から作ります。

LEDには電流制限が必須なので、定電流ダイオード「E-822」(SEMITEC石塚電子・8.2mAに制限)を使います。
それを、ユニバーサル基板表面の右側に、プラス側(アノード)の足だけ穴に通してください。

逆電圧からの保護のため、ヘッドライト回路の出口にスイッチングダイオードを組み込みましょう。
私は小信号用シリコンダイオード「1SS133」(ローム)を使いまして、マイナス側(カソード)の足だけ穴に通しました。
この片方ずつ通したリード線がライトユニットの足となり、集電板から電気を引き込むようにします。

穴に通したリード線を斜めに曲げ、その状態ではんだ付け!
そのままだと部品が不安定なので、セロテープやマスキングテープで部品本体を仮留めしながら進めるとブレませんよ。
ちゃんとはんだが乗れば部品が固定されるので、そしたらテープを外して大丈夫。

CRD(定電流ダイオード)とスイッチングダイオードの間にLEDを取り付けます。
国鉄時代の車両のヘッドライトはおそらく電球色だと思いますが、今回は列車の愛称板も光らせるため、白色LEDの「OSWA4K3131A」(OptoSupply)を使います。
光源がつば付きなので、基板等に干渉する部分は削ってくださいまし。

元々の基板と同じくLEDを逆に向けます。
光源の根元でリード線を直角に曲げ、左右のダイオードのリード線に接触させてください。
この時点で、基板からはみ出たリード線はニッパーでカットしておきましょう。

下の写真だと左側がプラスです。

LEDの位置と極性、リード線の長さに問題なければ、リード線に直接はんだを流して固定します。
これでヘッドライト側の回路ができました。

はんだ付け後は必ずテストを

部品を組み終わった時点で、LEDが焼損せずに光るか必ずテストしましょう。
フィーダーを差した線路と、CRDのアノード及びスイッチングのカソードにクリップを繋ぎ、パワーパックのダイヤルを回せば通電します。
正しい極性で正しくはんだ付けができていれば、LEDが点灯焼損も起こらないはず。

無事点灯しました!
逆方向の電気も流してみて、焼損も点灯もしなければ成功です!

ちなみに、スイッチングダイオードとして使用した「1SS133」は廃盤なので、代替品として「1N4148」などを使うと良いでしょう。



テールライトはヘッドライトと逆向きで

ヘッドライトが上手くいったので、次はテールライトの回路を作ります。

ユニバーサル基板を裏返してください。
裏返した面にも同じように、CRDを右側スイッチングダイオードを左側に置きます。
ただしテールライトの光源は正位置を向くため、光量を抑えるためにCRDを「E-562」(5.6mAに制限)に変更します。

ユニットの足になるリード線はもう固定したので、テールライト側のリード線は短く整えちゃって良いです。
このためにヘッドライトを先に作りました。

テープで部品を仮留めし、さっきはんだ付けした箇所に追加ではんだ付けしてください。

テールライトのLEDは、リード線を折り曲げながら180度反転させ、左右のダイオードに接続させます。

なお今回、光源の位置は穴1個半分前寄りにすること。
ライトケースの形状の問題で、光源を後ろに位置取らせるとケースが閉まりません。
お手持ちの車両のライトケースを見て、位置の調整、あるいは角形LEDやチップLEDもお試しください。

テールライトのLEDはそのままだと「ビカーッ」っと直線的に発光するので、はんだ付け後、拡散キャップを被せてみました。
こうすると光源の周囲を優しく照らすようになります。

点灯テストと遮光

さて、二度目のテストのお時間です。
右側にプラスの電気を流した時にLEDが正しく点灯すれば成功です。

今度も無事点灯しました!

下の写真の時、テールライトは点灯しますがヘッドライトは光りません。
その逆も正しく光って焼損もしなかったので、両方とも成功です!

ちなみにテールライト光源にも白色LEDを使用しましたが、プリズムの先端が赤く塗られているので、車体を組み戻したら赤色で光りますよ。

両方ともライトが点灯することを確認できたら、ライトユニットをケースに収めて閉じれるかも確認しましょう。
閉まらない場合は部品の位置を再調整することになります。
私は1敗しました。

また、ユニバーサル基板は黒くないため、反対側の光が思いっきり透けます。
そのため、現物合わせで黒いビニールテープを切り貼りしました。
これでも透けるところは透けましたが、気休めにはなるでしょう。

さて、ライトケースに自作ライトユニットが正しく収まり、気持ち程度でも遮光処理ができたら最後の仕上げ!
集電用の足の長さを整えましょう。
今回は、はんだ付けした面から1cmの位置でリード線を切り、先端を0.2cm(2mm)ほど緩く折り曲げました。

これで、ユニバーサル基板を切り出して作る自作ライトユニットは完成です!
このままライトケースに嵌め込んで車体を組めば光りますが、その前にもう一工夫していきませんか?



ヘッドライトを色分けするには

今回使用したLEDは白色で発光します。
愛称板はそれでOKですし、テールライトは後で赤色に光るのでこれも良し。

しかし、このままではヘッドライトも白色で光ってしまいます。
それだと雰囲気がちょっと新しすぎませんか?

ですので、ライトの光り分けをしましょう。
やり方はとても簡単です!

メーカーは何でもよいのでオレンジ色のサインペンを用意してください。
マッキーが一番分かりやすいでしょう。

そしたら、ヘッドライトプリズムの光源側に色を塗ってください。

乗務員室上部のヘッドライトも電球色になるよう、ケース内のプリズムも着色しました。
これで、ヘッドライトは電球色愛称表示は白色に分かれるようになります!

このように、プリズムの光源側に直接色を付けると、同一光源で2色の光に色分けすることができます。
151系のように、ヘッドライトと愛称表示で光の色が違う場合は特に効果が出ます。

プリズムの色分けもできたら、ライトユニットをケースに組み込み、元の位置に戻して作業終了です!

足が前より長く太くなったので車体を戻すのが難しくなりましたが、その分頑丈にもなり、電気もしっかり流れるはずです。

20年前のNゲージがLED化で明るく!

先頭車両を組み直し、いよいよヘッドライト・テールライトを点灯させます!
ライトユニットの足が集電板に正しく接していれば、電球の時より明るく光るはずですが果たして・・・?

大成功!!!

先に大阪方のパーラーカー「クロ151」を試してみたところ、思った通りにヘッドライトが点灯しました!
ヘッドライトプリズムにオレンジ色を塗ったため電球色として光っていますが、「こだま」の愛称板は白色のまま。
塗り分けも上手くいきました!

ライトのLED化に先立ち、テープLEDで作った自作室内灯を車内に仕込んであります。
写真で見るとちょっとオレンジ色が強い気もしますが、肉眼だとちょうど良い暖かみになっていますよ。

テールライトもバッチリ!
光源の向きの関係で、ヘッドライトよりテールライトのほうが、電流を抑えているのに明るく見えます。
拡散キャップを被せる前はさらにビカッとした光でした。

私にとっては問題ないのでこのまま使いますが、気になる場合は10mA以上のCRD、またはそれに相当する抵抗を使ってみてください。

東京方と夜景モード

東京方の「クハ151」も同じように光ってくれました。
こちらの室内灯には白色のテープLEDを使用しています。

愛称板の文字が光越しでもちゃんと見えますね。

部屋を消灯させるとこんな感じ。
レンタルレイアウトの夜景モードでも存在感はピカイチだと思います!

後日、近所のポポンデッタでこれを走らせてきました。
前照灯・後部灯は自分で作ったLEDライトユニットで点灯し、全車両の室内も自作室内灯でほんのり明るくなり、12両編成の迫力が復活しました!

動力の復活はもちろんですが、白熱電球のLED化も身に付ければ、古いNゲージをさらに長持ちさせられること間違いなし!
ぜひ試してみてください。
ケンヤ流の自作室内灯に関しては過去記事をご覧ください。



さいごに

今回は、マイクロエース製の国鉄151系「こだま」のヘッドライト・テールライトを、自作のライトユニットでLED化させるのに成功しました!
これまで私がやってきた、動力のメンテナンス室内灯の自作ライトのLED化
全てはこのためにありました。

親戚から譲受した当初、この「こだま」は全然動きませんでしたが、動力を修理し、フル編成化した上で、今回ライトをLED化させて室内灯も組み込んだことにより、KATOの後発品に匹敵するまでに復活させることができました。
我ながら感無量です!

このように、鉄道模型の動力の修理やライトのLED化は、習得できればあらゆるNゲージに応用できます。
状態の悪い中古品・ジャンク品も新品同然に復活できるかもしれません。
見事成功すれば、鉄道模型への理解も愛着も今まで以上に深まること間違いなし!

お手持ちの古いNゲージを復活させる手段の参考にしていただければ幸いです!
ただし改造は自己責任で!

今回はここまで!
ありがとうございました!