山手線を中心とするJR東日本の首都圏エリアは広い!
ICカードで乗り降りして、片道の運賃が1,000円を超えることもありませんか?
通勤通学は仕方ないにしても、休みの日のお出かけくらい、できれば交通費は節約したい…。

それ、行き先・経路・日程によっては叶うかも!?

JR東日本が発売しているおトクなきっぷのひとつに、「休日おでかけパス」というものがあります。
東京山手線内を中心に、割と広範囲なフリーエリア休日の1日だけ乗り放題になるきっぷです。
東京近郊の端から端まで電車移動する、純粋に乗り鉄しまくるなど、意外と便利なんですよ。

とはいえ、「青春18きっぷ」の知名度が高い分、こっちは知らないって人もいるのではないでしょうか。
今回は休日限定で首都圏のフリーエリアが1日乗り放題になる「休日おでかけパス」の使い方や、どれくらい使って元を取ったかなど、詳しく解説していきます。
下の目次からお好きな項目にジャンプしていただけます。



約3,000円で東京近郊1日乗り放題

改めまして「休日おでかけパス」とは、JR東日本が発売しているおトクなきっぷの一つです。
通年発売(←これ重要)しています。
価格は、大人2,720円・子ども1,360円です。

これを使うと、東京山手線内を中心に、神奈川・千葉・山梨・埼玉・栃木・茨城県まで広がるフリーエリアで、普通・快速列車の普通車自由席が1日乗り放題になります。
純粋な「快速」だけでなく、「快速アーバン」「ホリデー快速」「むさしの号」など固有名の列車も、普通車(追加料金がいらない)ならそのまま乗ってOK!

しかも、JR線だけではなくりんかい線東京モノレールにも乗れちゃう!

さらに、特急券・グリーン券を別途購入すれば、「休日おでかけパス」で新幹線・在来線特急・普通列車グリーン車にも乗れるようになります。

利用日についてですが、「休日」と名が付いている通り、通常は土日祝に限られます。
しかし、4月29日~5月5日7月20日~8月21日12月29日~1月3日の毎日は、平日でも「休日おでかけパス」を利用可能に!
購入時に利用日を指定するので、その1日が乗り放題になります。
各駅の指定席券売機や、各種旅行会社で購入しましょう。

東は成東駅・土浦駅・成田空港まで

フリーエリアについてもう少し詳しく説明しますね。
フリーエリアの境界駅を方角ごとに挙げていくと以下のようになります。

まずは、千葉県・茨城県側となる東端から。

  • 総武本線:成東駅
  • 成田線:成田駅・成田空港駅
  • 常磐線:土浦駅

総武本線は成東駅までOK!
日中の千葉始発の普通列車は30分に1本、成東・銚子方面に発着しており、その片方が成東行きです。
もう1本は銚子行きなので、フリーエリアを越えてしまわないよう気を付けましょう。

成田線は、佐倉~成田間、我孫子~成田間(我孫子支線)、成田~成田空港間(空港支線)がフリーエリアです。
成田~佐原~松岸・銚子間では「休日おでかけパス」が使えません。

常磐線は、都心から取手以東に行く普通列車(常磐快速線)がだいたい土浦止まりなので乗り越しリスク小ですが、土浦駅を跨ぐ列車には要注意。

西は小田原駅・大月駅まで

次に、神奈川県・山梨県側となる西端駅は以下です。

  • 東海道本線:小田原駅
  • 中央本線:大月駅

横須賀線・相模線は全線OKで、一見都内か心配になりそうな青梅・五日市線も全線フリーエリア内です。
東海道本線と中央本線で西に進む時に、途中でフリーエリアが切れます。
とはいえ、中央本線は大月駅まで大丈夫なので、それなりに範囲の広さがうかがえますね。

南は君津駅と茂原駅まで

次に、千葉県南部のフリーエリア境界駅は以下の駅です。

  • 外房線:茂原駅
  • 内房線:君津駅

意外なことに久留里線は全線フリーエリアです!
「休日おでかけパス」で乗れる列車で数少ない非電化路線です。

内房線は、東京方面からの直通列車や千葉始発の多くが君津行きですが、たまに見かける上総湊行きは君津以南に直通します。
外房線のフリーエリアの限界は茂原駅ですが、それより南(2駅先)に行く上総一ノ宮行きの列車も多いです。

北部の境界駅いろいろ

最後に、埼玉県・栃木県側の境界駅。

  • 東北新幹線:小山駅
  • 宇都宮線(東北本線):自治医大駅
  • 水戸線:下館駅
  • 両毛線:足利駅
  • 上越新幹線:本庄早稲田駅
  • 高崎線:神保原駅
  • 八高線:寄居駅

やたら多いですがまずは新幹線から。
「休日おでかけパス」に加え、新幹線特急券を別途用意すれば、東京駅から小山駅、または本庄早稲田駅までなんと新幹線にも乗れます

続いて、宇都宮線の自治医大駅、高崎線の神保原駅は、上野東京ライン・湘南新宿ラインのアナウンスでよく聴く小金井駅(宇都宮線)、籠原駅(高崎線)よりも北にあります。
つまり、小金井行き、籠原行きであれば、フリーエリアをオーバーする心配なし!
水戸線は小山~下館間、両毛線は小山~足利間がフリーエリアです。

最後に八高線ですが、八王子~高麗川~寄居間がフリーエリアです。
八王子~高麗川間は4両編成の電車が走行し、川越線に直通しますが、高麗川以北は「休日おでかけパス」で乗れる非電化区間の二つ目です。
気動車に揺られるのは、電車とはまた違った楽しみがありますよ。

ただし高麗川以北は本数が少ないので、時間が合わない場合は別途運賃を払い、東武東上線で池袋方面へ戻ることもご検討ください。



特急券を買えば特急に乗れる!

先ほど「休日おでかけパス」で特急に乗れると話しましたね?
ただしそのためには、特急券・グリーン券は別途購入しなければなりません。

それさえ買ってしまえば、「休日おでかけパス」のフリーエリア内の新幹線・在来線特急・普通列車グリーン車に乗れるのです!
だからこそ新幹線単独駅の本庄早稲田駅がフリーエリアに組み込まれているのでしょう。

有名な「青春18きっぷ」は新幹線や在来線特急には乗れないので、ここは明確に違っています。

他にも、定期運行の在来線特急であれば、以下の区間がフリーエリア内に入ります。

  • 踊り子:東京~小田原
  • あずさ・かいじ・富士回遊:東京・新宿~大月
  • しおさい:東京~成東
  • 新宿さざなみ:新宿~君津
  • 新宿わかしお・わかしお:新宿・東京~茂原
  • ひたち・ときわ:品川~土浦
  • 草津・四万、あかぎ:上野~熊谷(あかぎは本庄まで)
  • 成田エクスプレス:大船・新宿~成田空港(全線OK)

結構多いでしょう!?
行き先次第ですが「休日おでかけパス」には特急課金の恩恵にあやかれるチャンスも多いのです。

この範囲に従って実際に特急利用してみたのが、年始に成東~東京間で乗車した「しおさい」です。
よろしければそちらもご覧ください。

ただし上記特急のうち、「あずさ」は大月駅を、「ひたち」は土浦駅を通過する列車も一部設定されています。
それに乗ったままだとあっという間にフリーエリア外に出てしまうので注意しましょう。

伊豆観光特急「サフィール踊り子」も、横浜駅を出ると熱海駅まで一切停まりません。

普通列車グリーン車も大丈夫

普通列車グリーン車についても同じこと。
きっぷかICカードでグリーン券を購入すれば「休日おでかけパス」を使っていても乗車可能です。

東海道本線・宇都宮線・高崎線横須賀線・総武快速線常磐線土浦方面4・5号車にグリーン車が連結されていますので、ゆったり座って移動しちゃいましょう。

また、快速列車の中にも、季節限定の臨時などで全車指定席の快速列車が運行しています。
快速列車の指定席指定席券を購入すれば乗れます。
停車駅には気を付けてくださいな。

指定席券売機で自力で買える

「休日おでかけパス」は、JR東日本各駅の指定席券売機旅行会社で購入できます。
私は指定席券売機で買いました。

メニュー画面の「おトクなきっぷ」をタッチし、続いて「フリーパスタイプ」を選んでください。
ページをめくって出てきた「休日おでかけパス」をタッチすると、大人・子どもや枚数選択、利用日の指定を行います。
きっぷ利用日より前に事前購入もできるし、お出かけ当日に買ってその日中に使い始めるのも大丈夫!

こんな感じのきっぷ本体説明書が発券されます。
券面にもフリーエリアが印刷されているので、ド忘れした時はきっぷを見直しましょう。

「休日おでかけパス」は自動改札機を通過できます。
自動改札機のある駅では、自動改札機にきっぷを通して通行してください。

都市型ワンマンなどの無人駅はそのまま通って大丈夫だと思いますが、心配なら、防犯カメラに「休日おでかけパス」が映るように手に持っていれば誤解を防げるのではないかなと。
間違ってもきっぷ回収箱に「休日おでかけパス」を入れないでくださいね。



出発駅から元が取れる駅

フリーパスタイプということは、指定されたエリアの路線が、指定した利用日中は乗り放題になるということ…。
なら、どこまで行ったら元が取れるのかも気になりませんか?

単純往復で考えると、出発駅から片道1,520円以上かかる駅まで行って帰ってくると元が取れます。
東京駅を起点にした時に片道運賃が1,520円に達するフリーエリア対象駅は以下の通り。

  • 東海道本線:鴨宮駅・小田原駅
  • 宇都宮線:小山駅
  • 高崎線:岡部駅・本庄駅・神保原駅
  • 内房線:君津駅
  • 中央本線:鳥沢駅・猿橋駅・大月駅
  • 八高線:小川町駅・竹沢駅

横浜駅を起点にした時に運賃が1,520円に達するフリーエリア対象駅はこちら。

  • 宇都宮線:東鷲宮駅・久喜駅
  • 高崎線:北鴻巣駅・吹上駅・行田駅
  • 総武本線・成田線:佐倉駅
  • 成田線(我孫子支線):小林駅・安食駅
  • 外房線:誉田駅・土気駅
  • 内房線:五井駅・姉ケ崎駅
  • 中央本線:猿橋駅・大月駅
  • 八高線:越生駅・明覚駅

実際は単純往復だけでなく、いくつかの駅を転々と移動することが多いと思います。
なので、出発駅から目的地まで1,000円分の距離を往復し、当該エリアで何度かJR線に乗り降りした上で地元に帰るのが一番元を取りやすいのではないでしょうか。

ケンヤはどれだけ乗り降りしたか

参考までに、私が総武本線で「しおさい」を撮ってまわった、先日の行程は以下の通り。
通常の運賃も添えておきます。

  1. 横浜→幕張本郷:950円
  2. 幕張本郷→千葉:180円
  3. 千葉→物井:240円
  4. 物井→八街:240円
  5. 八街→南酒々井:200円
  6. 南酒々井→佐倉:190円
  7. 佐倉→成東:420円
  8. 成東→東京:1,340円
  9. 東京→横浜:490円

沿線各地で列車を撮るためにいろんな駅に降りるので、自然とこうなります。
これを全部合計すると4,250円(特急料金含めず)です。
「休日おでかけパス」1枚が2,720円ですので、実に1,530円お得に乗れました!

これよりも銚子方面に行ったらもう少し交通費はかかりましたが、成東駅まででも十分に距離はあります。
乗換・運賃検索も併用しながら、お得に乗れそうなプランを練ってみてください。

フリーエリア外と行き来する時

「休日おでかけパス」が使えない範囲についてですが、まずフリーエリア外の路線・駅まで同パスだけで乗ることはできません。

一例として、おでかけパスで東海道本線に乗車し、境界駅(小田原駅)を通り過ぎて熱海駅まで行ってしまった場合を考えてみましょう。
その場合、小田原~熱海間の普通運賃420円を別途支払うことになります。

逆に、フリーエリア外の駅から乗車してエリア内に進入する場合も、乗車駅からフリーエリア境界駅までの運賃が別途必要です。
フリーエリア外と行き来することを考えて、現金やICカードもちゃんと用意しておきましょう。

続いて、JR東日本・りんかい線・東京モノレール以外の鉄道会社線の利用は当然できません。
当該会社線の運賃を別途支払いましょう。

落とし穴かもしれませんが東海道新幹線と御殿場線利用不可です。
どちらもJR東日本ではなくJR東海の管轄ですからね。

新幹線で誤乗車はめったにないと思いますが、国府津駅からの御殿場線は気を付けてくださいな。



実はあの私鉄車両には乗れる

JR線・りんかい線・東京モノレール以外の路線は利用できないことを説明しました。
小ネタですが、実は、フリーエリアのJR線内で他社車両に乗れちゃうところがあります。

それが、相鉄・JR直通線
相鉄12000系
羽沢横浜国大駅から新宿駅までは間違いなくJR線なので、相鉄の車両が来ても大丈夫です!
羽沢横浜国大駅から西谷・海老名方面に行ったらアウトなので間違えないように。

他にも、常磐線各駅停車(綾瀬~取手)には東京メトロ千代田線16000系小田急4000形が乗り入れてきますが、JR線である綾瀬~取手間ならメトロ・小田急車両にも乗れます。
綾瀬駅から北千住方面に行ったらアウトです、ご注意ください。

乗車中に日を跨いだ時は

あまりないかもしれませんが、「休日おでかけパス」で列車に乗っている状態で日付が変わる場合があります。
その場合、改札を出るまでパスは有効です。
午前0時を跨いだ後に改札を出場したら、そこでおでかけパスはおしまい!

東京電車特定区間内では終電まで有効です。

取手駅・千葉駅が東端大船駅・高尾駅が西端久里浜駅・千葉駅・千葉みなと駅が南端大宮駅が北端となります。
成田線、川越・八高線は対象外です。

利用日変更・払い戻し条件は

最後に、利用日変更及び払い戻しについてです。
どちらもみどりの窓口で対応してもらえますが、有効期間内で、一度も使っていないことが前提条件になります。

その上で、有効期間開始日を1回だけ変更できます。
おでかけパスを使う意志はあるけど、やむを得ずその日に使えなくなった場合などには、窓口で相談してみてください。

払い戻しも有効期間内かつ未使用に限り対応してもらえます。
この時に手数料220円が差し引かれるため、実際には大人2,500円・子ども1,140円が払い戻しされます。

一度でも入場記録の付いた券や有効期間が終わった券は、日時変更も払い戻しもできません。
買い間違えたり予定変更を強いられたリした場合は、きっぷを使う前に窓口で相談してみることをおすすめします。



さいごに

今回は、JR東日本の首都圏エリアが1日乗り放題になる「休日おでかけパス」について、いろいろ解説しました。
フリーエリアが意外と広いですよね!

土日祝日は通年使えますし、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始なら平日も使えるようになります。
これに特急券・グリーン券を追加すれば当該区間の新幹線・在来線特急・普通列車グリーン車も利用OK!

お住まいの町から遠いエリアを観光するもよし、私以上に乗り鉄しまくるのもよし。
大人2,720円・子ども1,360円でどこまで行くかはアナタ次第!
おトクなきっぷをより良く知って、お安く楽しく旅をしてみませんか?

今回はここまで!
ありがとうございました!

参考

JR東日本公式サイト
おトクなきっぷ 休日おでかけパス