11月某日、取材のために千葉県に来ており、横浜に帰るのに千葉駅を通りました。

千葉駅からは東京・久里浜方面に向かう横須賀線・総武快速線が発着していますよね。
4・5号車には2階建てグリーン車が連結されているので、追加料金を払えば普通車の混雑から解放され(るかもしれない)、リクライニングシートでゆったり過ごせます。

その一方で千葉駅には、東京駅から銚子方面へ走る特急「しおさい」と、土休日に新宿駅から内房線へ乗り入れ館山方面に向かう特急「新宿さざなみ」、外房線経由で安房鴨川駅まで走る土休日の特急「新宿わかしお」が停車します。

これらには自由席が連結されているので、比較的安い追加料金で快適かつ速達輸送にあやかれますね。

しかし、同一区間でグリーン車にも特急自由席にも乗れるんなら、どちらがお得なんでしょうか?
今回は千葉駅から横浜駅までJRに乗ったことをもとに、普通列車グリーン車特急列車自由席の料金を比較してみたいと思います。

合わせて、A特急・B特急の料金に関しても簡単に触れてみましょう。

【2023/10/28 更新】JR東日本は、2024年春から房総方面特急も全て指定席化することを発表しました。指定席化後は、座席未指定券ありの座席指定席となるので、そちらの過去記事もご参照ください。



今回は新宿さざなみで

結論から話しておきますと、今回私は千葉駅から新宿駅まで、千葉16時31分発の「新宿さざなみ2号」に乗車しました。

E257系500番台による5両編成での運転で、新宿方面に向かって前3両が指定席後ろ2両が自由席です。
土休日のみで、午前2本・午後2本が新宿~館山間で運行されています。
外房線方面の「新宿わかしお」(新宿~安房鴨川)は午前1本・午後1本です。

この日は、指定席は空いていたものの自由席が混雑気味で、乗車時もほとんどの列の窓側が埋まっておりました。

「新宿さざなみ2号」は終点の新宿駅に17時14分に到着。
千葉~新宿間の「新宿さざなみ」自由席特急券520円でした。
ちなみに乗車中は、撮影した写真をPCに取り込んだ上で少しだけ原稿を進めてました。

【2022/6/15追記】都合により、5両編成とは別の車両が使用される可能性もあります。その一例はこちら▼

普通列車グリーン車の場合は…

仮に千葉駅から横浜駅まで、横須賀線・総武快速線のグリーン車に乗った場合、千葉~横浜間のグリーン券料金800円(休日料金・事前購入)となっていました。

この日は土休日でしたが、平日の同区間は1,000円(事前料金)に。

ということは、千葉から横浜まで帰るのにあえて「新宿さざなみ」を使った私は、遠回りになるかわりに横須賀線・総武快速線のグリーン車よりも追加料金を280円安くできたことになります。

「新宿さざなみ」はB特急

なぜ「新宿さざなみ」千葉~新宿間の自由席特急料金が、千葉~横浜間の普通列車グリーン車より安くなったのか。

JRの在来線特急列車は、料金体系として「A特急」「B特急」に区分されます。
A特急はおもに幹線系統の特急に適用される基準料金で、B特急適用区間外の全部の特急と「サフィール踊り子」「成田エクスプレス」に適用されます。

B特急はおもに大都市近郊区間を走る特急や短距離の特急に適用される料金設定で、JR各社ごとに適用区間が決められています。
その指定席(JR東日本・通常期・大人)の内訳がこちら。

  • 営業キロ50kmまで⇒1,050円
  • 100kmまで⇒1,480円
  • 150kmまで⇒1,890円
  • 200kmまで⇒2,290円
  • 300kmまで⇒2,510円
  • 400kmまで⇒2,730円
  • 401km以上⇒3,070円

自由席特急料金は、上記から530円を差し引いた額になります。
こども料金はこれの半額です。
B特急料金はJR各社で異なるため、今回はJR東日本のみ取り上げます。

今回考えるべきは総武本線・中央本線になりますが、総武本線は全区間(東京・御茶ノ水~銚子間)がB特急適用区間内です。
中央本線は東京~竜王間で完結すればB特急料金が適用されます。

「新宿さざなみ」千葉~新宿間の営業キロは46,4kmで、B特急料金適用範囲内です。
営業キロが50kmを超えないので、指定席1,050円・自由席520円となりました。

B特急料金適用範囲は、JR東日本公式サイトとGoogleマップを参考に手描きでまとめました。

首都圏近郊区間

JR東日本公式サイトおよびGoogleMapを参考に筆者作成

白新線・羽越本線と磐越西線電化区間
描ききれませんでしたが新発田以北は秋田駅および、奥羽本線経由の青森駅まで有効です。

JR東日本公式サイトおよびGoogleMapを参考に筆者作成

A特急はちょい高めの基準

ついでなのでA特急の料金も簡単に触れておきましょう。
A特急はB特急よりも少しお高めに料金が設定されています。

指定席(通常期・大人)をリストアップしてみました。
JR北海道では営業キロ150kmまでなら安くなりますが、それ以外の地域では基本的に以下の通り。

  • 営業キロ50kmまで⇒1,290円
  • 100kmまで⇒1,720円
  • 150kmまで⇒2,390円
  • 200kmまで⇒2,730円
  • 300kmまで⇒2,950円
  • 400kmまで⇒3,170円
  • 600kmまで⇒3,490円
  • それ以上⇒3,830円

自由席特急料金は上記から530円を引いた額になります。
こども料金はこれの半額です。

「サフィール踊り子」「成田エクスプレス」は、運行区間としてはB特急範囲内ですが例外的にA特急として計算します。
特定の条件下ではおトクな特急料金が適用されることもありますが、今回は関係ないので省略。

また、A特急・B特急とも指定席の発売に関しては繁忙期・閑散期が設定されています。

繁忙期は、3月21日から4月5日、4月28日から5月6日、7月21日から8月31日、12月25日から1月10日の期間で、この間は指定席特急料金が200円増しに。
閑散期は、1月16日から2月末日、6月中、9月中、11月1日から12月20日の期間で、この間は指定席特急料金が200円引きになります。

まぁあれですね、春休みとゴールデンウィークと夏休みと冬休みの間が繁忙期だと思えば間違いないでしょう。

なお「成田エクスプレス」以外で座席未指定券を発行する特急列車はまた違う料金体系となっています。

普通グリーンは曜日で異なる料金

一方、横須賀線・総武快速線、東海道本線・東北本線・高崎線、常磐線の普通列車グリーン車に関して、グリーン料金の内訳は以下の通り。【2022/8/8訂正】

  • 営業キロ50kmまで⇒780円
  • 51km以上⇒1,000円

上記は平日料金・事前購入の金額です。
土休日と12月29日~1月3日はホリデー料金となり、上記から200円引きとなります。

私が千葉駅を訪れたのは土曜日
そして千葉~横浜間の営業キロは68km

50km~100kmの乗車でホリデー料金なので800円でした。

ちなみにグリーン券を事前購入ではなくグリーン車内で購入すると、平日・ホリデー問わず事前料金に260円加算されるので注意!

今回は関係ないけどJR東日本在来線特急のグリーン料金も一応紹介します。

  • 営業キロ100kmまで⇒1,050円
  • 200kmまで⇒2,100円
  • 300kmまで⇒3,150円
  • 301km~700km⇒4,190円
  • それ以上⇒5,240円

他のJRのグリーン料金、グランクラス、「サフィール踊り子」のプレミアムグリーンは金額が異なります。

【2022/8/8追記】首都圏以外の普通列車グリーン車はこうなっています。

  • 営業キロ50kmまで⇒780円
  • 100kmまで⇒1,000円
  • 150kmまで⇒1,700円
  • 151km以上⇒1,990円

JR九州の普通列車グリーンは、50kmまでで780円、51km以上で1,000円となるようです。

ここまでの参考
JR東日本公式サイト「きっぷあれこれ」
(別タブで開きます)

【2022/8/8追記分】『JTB小さな時刻表 2022年夏号』 JTBパブリッシング 2022年

【2022/1/13追記】JR四国の特急料金については、乗車レポートと同時にまとめました



千葉~東京間でも特急自由席に軍配

以上のことから、千葉~横浜間で普通列車グリーン車に乗るより千葉~新宿間でB特急自由席に乗るほうが追加料金が安くなることが分かりました。

しかし新宿行きの特急と東京・久里浜方面の普通列車グリーン車とでは行き先が分かれるので、千葉~東京間での比較でもう一度計算してみましょう。

総武快速線千葉~東京間は営業キロ39,2km
50kmを超えていないので、B特急の自由席料金は520円普通列車のグリーン料金は780円(土休日は580円)となります。
グリーン車のホリデー料金を考慮しても、B特急自由席のほうが60円安いですよね。

そのため金額だけの単純比較なら、東京~千葉間はB特急自由席のほうが安い(おまけに速い)ことになります。
ただ、特急の時刻と自分の予定が合うかどうかは各々の都合によるので、必ずしも「狙って乗ろう」とはいえません。

でもでも、普通列車グリーン車にも良いところがあります。
E235系1000番台の登場により設備が充実し、グリーン車内で電源・フリーWi-Fiを利用可能になりました。

E217系にはないので、新型車両を引き当てる前提であえて普通列車グリーン車を選ぶのも一手かと思います。
E235系を待ってまでグリーン車に乗ることが私にも時々ありますが、電車移動をガチめなデスクワークにあてられるのでライター的にはありがたい!

また、普通列車グリーン車(グリーン車自由席)は「青春18きっぷ」使用中も利用可能で、追加料金でグリーン券を別途購入すれば着席できます。
「青春18きっぷ」では特急列車に一切乗れないので、その場合には普通列車グリーン車のほうが重宝するかもしれませんね。

さいごに

今回は千葉駅から横浜駅までの電車移動から話を膨らませ、自由席特急料金と普通列車グリーン料金の比較をしてみました。

東京駅・新宿駅から房総方面へは、普通列車グリーン車もB特急自由席も使えます。
乗車区間とその時間を合わせられれば、追加料金を払ってお得に移動できるのではないでしょうか。

B特急自由席は50kmまでの利用なら520円で済み、普通グリーン車はそれより高いけど新設備の恩恵を受けられる可能性あり。
双方に良い点があると見ました。

特急の時刻と自分の予定が上手く合った時は、普通グリーン車か特急列車のどちらかを利用してみてはいかがでしょうか。

今回はここまで!
ありがとうございました。