【2024/3/11 3月16日ダイヤ改正に合わせて大幅に更新しました】

本稿公開当時、取材の帰りに千葉駅から横浜駅まで何で買えるか迷ったところ、あえて新宿駅まで特急「新宿さざなみ」に乗車し、特急自由席を堪能しました。

他の特急が全車指定席化された中でも、房総方面特急「しおさい」「さざなみ」「わかしお」(新宿さざなみ、新宿わかしおも含む)には、普通車自由席が残っていました。
しかし、2024年3月16日ダイヤ改正をもって、房総特急も全車指定席化され、座席未指定券システムが導入されることになりました。

それだけではなく、普通列車グリーン車の料金体系も3月16日ダイヤ改正から変更が加わります。
特急列車と普通列車グリーン車、同一区間で両方運行しているのなら、どちらがお得なんでしょうか?
今回は、3月16日ダイヤ改正以後の普通列車グリーン車首都圏発着特急列車の料金を比較してみたいと思います。



普通列車の4・5号車が2階建て

先に、普通列車グリーン車について取り上げますね。
以下の路線を走行する普通列車には、4・5号車に2階建てのグリーン車が連結されています。

  • 東海道本線・宇都宮線(東北本線)・高崎線
  • 横須賀線・総武快速線
  • 常磐線(取手以東直通)

これらはグリーン車自由席に分類されており、乗車にはグリーン券が必要ですが、空いている座席に自由に座れるグリーン車です。
「青春18きっぷ」「休日おでかけパス」など、おトクなきっぷを利用している時も、グリーン券を買えば乗ることができますよ。

横須賀線・総武快速線のE235系1000番台では、グリーン車内に無料Wi-Fiと電源も用意されています。

距離別料金が3分割化

ところが、2024年3月16日以降、普通列車グリーン車には主に以下の変更が加わります。

  • 営業キロ101km以上の料金を設定
  • グリーン料金を通常料金(紙のきっぷ)Suicaグリーン料金に分ける
  • かわりに平日・ホリデー料金および事前・車内料金を廃止

もはや今までの面影が分からなくなるくらいガラッと料金体系が変わるみたいです。

2024年3月16日以降、普通列車グリーン車を利用する時の通常料金(紙のきっぷ)は、101km~150kmの区分が新設され、以下のようになります。

  • 営業キロ50kmまで:1,010円
  • 51km~100km:1,260円
  • 101km以上:1,810円

大人・子ども同額で、通年同じ料金です。
事前購入も車内精算も同じ金額になります。
今まで、平日でも事前購入で50kmなら1,000円かからなかったのに、ダイヤ改正以後は確実に英世が一人いなくなることになります。

紙のきっぷに対して、Suicaグリーン料金(モバイルSuicaも含む)はどうでしょうか。

  • 営業キロ50kmまで:750円
  • 51km~100km:1,000円
  • 101km以上:1,550円

こちらも大人・子ども同額かつ通年同額です。
紙きっぷでグリーン券を買うより、Suicaグリーン料金のほうが260円安価になります。

なお、Suicaグリーン料金は、Suica(JR東日本・りんかい線・東京モノレール)の他に、PASMO(関東私鉄)、Kitaca(JR北海道)、TOICA(JR東海)からも支払うことができます。

東海区間とポイント交換は

この中で例外があるとすれば、東海道本線のJR東海区間(熱海~沼津)です。

熱海駅・函南駅・三島駅・沼津駅では、紙のきっぷしか購入できません。
そのかわり、熱海~沼津間のみで普通列車グリーン車を利用する場合、紙きっぷだけど料金は750円になります。
湯河原以東から函南駅・三島駅・沼津駅までグリーン車を利用する場合、紙きっぷまたはカードのSuicaを使用することになり、モバイルSuicaが使用不可になります。

Suica・PASMO・Kitaca・TOICAを持っていて、函南以西から湯河原以東に直通してグリーン車に乗る場合は、紙のきっぷを買うと通常料金になります。
この場合、紙のグリーン券は買わずにグリーン車に乗車し、車内でグリーンアテンダントにICカード精算の旨を伝えてください。

また、「JRE POINT」に登録しているSuica・モバイルSuicaでグリーン券を買った時、支払額に応じて「JRE POINT」が貯まります。
1ポイント1円相当です。

「JRE POINT」600ポイント普通列車グリーン車のグリーン券1回分(利用日・距離問わない)に交換できますが、3月16日以降も、「600ポイントでグリーン券1回分への引き換え」は継続されるとのこと。
飛行機でいうところのマイルを貯めると、JR東日本首都圏エリアでは普通列車のグリーン券と交換できるというのは、ダイヤ改正以後も変わりません。

今までよりも値上げに

ちなみに、今までのグリーン料金(平日・事前料金)は以下の通り。

  • 営業キロ50kmまで⇒780円
  • 51km以上⇒1,000円

土休日と12月29日~1月3日はホリデー料金となり、上記から200円引きとなりました。
グリーン券をグリーン車内で購入すると、平日・ホリデー問わず事前料金に260円加算される料金体系でした。

JR東日本の2023年12月15日ニュースリリースでは、今回の普通列車グリーン車の料金変更は「よりわかりやすい料金体系に見直す」「IC化やキャッシュレス化を推進するため」と説明されていました。
実際、Suicaグリーン料金で、50kmまでの利用であれば、これまでの平日・事前料金に比べて30円おトクになるでしょう。

しかし、それ以外は基本的に値上げです。
とくに普通列車グリーン車の運行区間を乗り通すことも考えられる、「青春18きっぷ」利用者にとっては相当ダメージの大きい改定になりかねません。

もちろん、普通車が混雑していても追加料金と引き換えに快適に座って移動できる何よりのメリットは健在です。
が、特に101km以上の料金が(パッと見)かなり高いので、今後は乗車すべきタイミングを考える必要も出て来るのではないでしょうか。



首都圏発着特急の指定席

次は首都圏発着特急列車の特急料金も見てみましょう。
2024年3月15日まで、東京駅・新宿駅に発着する特急列車の中で、房総方面の特急で自由席が残っていました
が、3月16日以降は房総特急も全席指定席になります。

首都圏発着特急列車の普通車指定席の料金(事前購入)は、営業キロ150kmまでを抜粋しますと以下のようになります。

  • 営業キロ50kmまで:760円
  • 100kmまで:1,020円
  • 150kmまで:1,580円

子ども半額で、通年同額です。
車内で特急料金を精算すると上記金額に260円加算されます。
利用する座席・列車を指定しない、座席未指定券を買うこともできますが、座席未指定券も指定席特急券と同額です。

また、「踊り子」を伊豆急行線・駿豆線で、「富士回遊」を富士急行線内で乗る時は当該会社線での料金がかかりますが、本稿では省略します。
こちらの記事もご参照いただければ。
臨時特急や「草津・四万」はこちらで。

空港まで乗らない成田エクスプレスがお安く

房総特急の全車指定席化で一つありがたいことが、「成田エクスプレス」の料金も変更されること。
ダイヤ改正以降、東京~銚子の特急「しおさい」255系からE259系に置き換わるためだと思われます。

成田空港駅・空港第2ビル駅に行かない、またはそこから乗らない場合は、他の特急列車指定席と同じ料金になります。

つまり、「成田エクスプレス」利用区間に成田空港駅・空港第2ビル駅を含まない場合、「50kmまで」から順に、普通車指定席は760円・1,020円・1,580円に。
グリーン車指定席は、50kmまで1,530円、100kmまで1,790円、150kmまで3,850円です。

「成田エクスプレス」で成田空港駅・空港第2ビル駅を利用する場合特急料金が加算されます。

その場合の普通車指定席は、50kmまで1,290円、100kmまで1,730円、150kmまで2,390円。
グリーン車は50kmまで2,060円、100kmまで2,500円、150kmまで4,660円です。

「成田エクスプレス」特急料金も通年同額になります。
なお、ここまで掲載した料金は、会員登録制「えきねっとチケットレスサービス」から購入すると、紙の特急券から100円引きになるとのこと。



千葉から横浜なら特急列車が良いかも?

以前と同じように、千葉駅から横浜駅まで普通列車グリーン車特急列車に乗りたい場合を考えてみましょう。
この場合、総武快速線・横須賀線普通列車グリーン車「成田エクスプレス」のどちらにも乗れます。

千葉~横浜間の距離は、合計で68km(千葉~東京39.2km、東京~横浜28.8km)あります。
すると、普通列車グリーン車の料金は通常1,260円・Suica1,000円。
「成田エクスプレス」特急料金(普通車指定席)は、成田空港に掠りもしないため1,020円です。

金額だけを比べれば、普通列車グリーン車をSuica料金で乗るほうが、特急に比べて20円安いですよね。
紙のきっぷでは…、コメントに困る料金になってしまいました。

しかし、「成田エクスプレス」も特急列車としては本数が充実しており、場合によってはこちらが便利かつ快適ということもあるでしょう。
Suicaに十分な残高があって時間を選ばずにグリーン車を使いたいなら普通列車グリーン車、何本か待ってでも混雑を回避しやすい条件で快適移動にあやかるなら特急列車を選ぶと良いのではないでしょうか。

また、先に挙げた通り、普通列車グリーン車(グリーン車自由席)は「青春18きっぷ」使用中も利用可能で、グリーン券を別途購入すれば着席できます。
「青春18きっぷ」では特急列車に乗れないのも相変わらずのこと。
なんだかんだ言って普通列車グリーン車も今後も重宝するかもしれませんね。

さいごに

今回は2024年3月16日ダイヤ改正より変更が加わる、普通列車グリーン車特急指定席(房総特急)の料金を比較してみました。

今までのグリーン車の料金体系が嘘みたいに、大幅な料金改定となってしまいます。
紙のきっぷでグリーン券を買うこともあった私にも結構大きなダメージです…。
いろいろ思うことはあるでしょうが、徐々に慣れていきましょう。

一方、房総特急が全車指定席化することで、成田空港まで行かなければ「成田エクスプレス」は今までよりお安く利用しやすくなります。
列車の時間と自分の予定が上手く合った時は、普通グリーンか特急列車のどちらかを利用してみてはいかがでしょうか。

今回はここまで!
ありがとうございました!

参考

JR東日本公式サイト 房総特急変わります
料金・きっぷ 普通列車グリーン車
ニュースリリース 2023年12月15日
PDF 首都圏の普通列車グリーン車の料金体系を見直します