毎年恒例の3月ダイヤ改正に先駆けて、今回もJR各社から様々な発表が行われましたね。
その中で、JR東日本千葉支社は、2024年3月16日ダイヤ改正にて、「成田エクスプレス」で運行中のE259系総武本線特急「しおさい」に投入することを発表しました。

E259系に加え、すでに房総エリアの各方面で走っているE257系500番台も、5両編成で「しおさい」に設定されるといいます。
このため、平成初期から活躍してきた「房総ビューエクスプレス」255系定期運用から外れることになりました。
おそらく本稿が乗り納めになってしまうでしょう。

今回は、2024年3月16日ダイヤ改正で定期運用撤退予定の特急形車両255系に、特急「しおさい」で、成東駅から東京駅まで乗ってきた乗車レポートをお送りします。



海と菜の花カラーの房総特急

特急形車両255系は1993(平成5)年7月にデビューし、内房線経由「ビューさざなみ」及び外房線経由「ビューわかしお」として当初は運行していました。
外観には白色と、菜の花の黄色海を彷彿とさせる青色(というか青紫っぽい)を取り入れ、国鉄時代の車両とは一線を画す見た目になっています。

当時は国鉄民営化からそんなに時間が経っておらず、国鉄型の特急車両も今よりずっと多く残っていました。
そのため、それとの区別を図る意味もあって、255系を使用した列車に「ビュー」の名が付いていたと思われます。
さすがに今は純然たる「さざなみ」「わかしお」の名前に戻っています。

255系が総武本線特急「しおさい」で使用されるようになったのは2005年から。
「しおさい」は、東京駅横須賀・総武快速線ホームに発着し、銚子駅までの120.5kmを走破します。
終点の銚子駅では、銚子電鉄線に乗り換えができます。

2024年1月時点で「しおさい」は7往復設定されており、平日上り「しおさい4号」(佐倉7時4分発・東京8時0分着)以外は全て255系です。
途中停車駅は東京方から順に、錦糸町駅、千葉駅、佐倉駅、八街駅、成東駅、横芝駅、八日市場駅、旭駅、飯岡駅。
上記に加え、朝の下り「しおさい1号」と夕方上り「しおさい12号」は、土休日は船橋駅に停車。
早朝上り「しおさい2号」と、平日のみの「しおさい4号」「しおさい13号」は四街道駅にも停まります。

255系は9両編成ですが、E257系を使用する「しおさい4号」のみ10両編成(5+5両)で、後者にはグリーン車がありません。
また、当の255系も「しおさい」のみではなく、外房線特急「わかしお」や、土休日の臨時特急「新宿さざなみ」で使用されることもあります。

おでかけパス東端から特急乗車

今回は「休日おでかけパス」というおトクなきっぷを使って、写真を撮りながら途中駅を転々とし、成東駅まで足を伸ばしてみました。
その帰りに、同駅から「しおさい12号」に乗車します!

成東駅は、千葉県山武市内に位置する同市の主要駅。
チーバくんで例えるとうなじのあたりです。
市内沿岸部には九十九里浜が広がっており、両隣の九十九里町と横芝光町に続いています。
そのだだっ広い沿岸部を、駅から南西に徒歩20分、坂を上った所にある成東城跡公園内から眺めることもできます。

また、成東駅から南東にバスで10分くらい(徒歩約30分)のところには成東・東金食虫植物群落があり、モウセンゴケなどの群生を見られるそうです。
開放時期は春から秋までだそうな。
あまり言っていませんが、実はケンヤさん食虫植物にも割と興味があるので、次回以降は覗いてみたいですね。

それでは、成東駅17時27分発の255系「しおさい12号」で、東京まで帰りましょう!

登場時は東芝製GTO素子のVVVFインバーター制御を搭載していた255系。
加減速に合わせて変調を繰り返す個性的な音が病みつきでしたが、現在は全て日立製IGBT素子のVVVFに更新されています。
それでも、やたら力のこもったブレーキ緩解音からの、空気がこすれるような静かな立ち上がりにギャップを感じました。

ゆったり座席と落ち着いた内装

先に述べた通り、255系は9両編成
東京方から順に1号車で、銚子・鴨川方が9号車です。
指定席は1~5号車で、4号車がグリーン車6~9号車が普通車自由席となっています。

普通車の座席は、座面と背もたれ下半分がグレーで、背もたれ上半分がネイビーのリクライニングシートです。
一世代前の車両ゆえか、座ると割ともっちりした柔らかさで体を支えてくれます。
外観が青・黄色・白で明るい反面、車内はずいぶん大人しめな色使い。
と思ったら座席はやわらかい、なんとなく不思議な印象です。

画像:写真AC

足元にはバータイプのフットレストが設置され、ひじ掛けの中に飲み物と文庫本を置ける程度のインアームテーブルが収納されています。
ただし、背面テーブルや電源が備わっていないので、どうしても現代環境では設備が劣るかも。
グリーン車には背面テーブルがありますが、座席のモケットが普通車とほぼ同じなため、違いが分かりにくいかもしれません。

総じて現代水準ではないものの、座席の感触に限れば個人的に新型車両よりも好きな部類です。



町と田園風景の単線を行く

さて、私は3号車の4D(東京方面に向かって右の窓側)に着席しました。
この号車は窓側を中心に、半分くらいの座席が埋まっていました。
特にこの日、小学校のスポーツチームが試合(または練習?)から帰るのとタイミングが被ったため、別の号車にその生徒、私と同じ号車に引率の先生が乗っていたようです。

お酒を片手に先生らが談笑にひたる一方で、大型の荷物を持っていたり、お休みしてたりな人も。
夕方の特急列車ということで、お疲れモードな利用者をゆったり乗せて西へ向かいます。

総武本線は、佐倉以西は複線で、佐倉以東は単線区間
上り「しおさい12号」は、左右に迫ったなだらかな丘陵地帯を抜け、落花生で有名な八街駅に停車します。
ここで下りの普通列車とすれ違いました。

配線上、駅に差しかかるとポイント通過のため減速し、ところどころ割と揺れるのですが、その揺れやジョイント音が、夕方の特急列車だと妙に心地良く感じます。

このあたりの沿線は、駅周辺こそ住宅街ですが、そこを離れると田園風景に。
榎戸駅を通過し、左右を木々に挟まれた地帯を抜けると、眼下いっぱいに水田の広がる築堤上に出ます。
冬なので何もありませんでしたが、夏から秋は黄金色の車窓になるんじゃないかなぁと。

しばらく築堤を進むとまた雑木林に挟まれ、カーブしながら線路が分岐したら南酒々井駅を通過。
開けた土地の後に一瞬で木々に迫られるので、ここだけ秘境駅っぽくなりました。

ちなみに先ほどの築堤下には、上勝田第一アーチ橋という陸橋(JR東日本歴史的建造物)もあります。
1897(明治30)年5月に総武鉄道が佐倉~成東間を開通(同年6月に銚子延伸)させた際に建設されたもので、レンガ造りが大きな特徴です。
南酒々井駅から多少離れていますが、おそらく総武鉄道時代から使われていると思いますので、訪ねてみるのはいかがでしょう。

11万石の城下町に停車

南酒々井駅を通過したら再び築堤に出まして、進行方向右手に成田線が合流します。
さらに左手に保線基地が見えたら、まもなく11万石の城下町、佐倉駅に到着です。

JR佐倉駅北側から京成佐倉駅南側のエリアは、西端の佐倉城址公園武家屋敷群旧堀田家(藩主)住宅、東端の旧佐倉順天堂(診療所兼蘭医塾)にかけて、江戸時代に城下町だった面影を色濃く残しています。
歴史的価値の高さは言うまでもないですが、成田空港に近い立地上、外国人観光客にとっても江戸文化を体験しやすい町といえるでしょう。

画像:写真AC

また、佐倉を城下町と位置づけ、門前町・成田、商家の町・佐原、港町・銚子と合わせ、「北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み」として、千葉県初日本遺産に認定されました。
日本遺産とは、各地の有形無形文化財を一つのストーリーにまとめ、その地域の魅力を発信する目的で文化庁が認定しているものです。

ちなみに、JR佐倉駅北側の高崎川南公園には、機関車時代の佐倉機関区に所属していた8620形58684号機が静態保存されています。
歴史散策のついでにいかが?



モノサクを越えて千葉駅へ

17時48分に「しおさい12号」は佐倉駅を発車。
線路も複線になったところで引き続き255系に揺られましょう。

佐倉駅の次は物井駅を通過します。
物井~佐倉間は、鉄道ファンの撮影スポットとして超有名ポイントになっていて、「モノサク」の名で呼ばれることもあります。
トンネルを抜け、田園地帯に入ると電車は大きく左カーブしていくのですが、このカーブの内側は列車を1編成まるごと画角に収めやすく、カーブも相まって迫力満点!

私が訪れた時も、255系目当てに大変多くの鉄道ファンが。
前の人の頭が写り込んでいたのに気づかなかった程度には人が集まっていましたね。

このあたりは道幅が狭いので、通行人の道は適宜開けるように努めてください。
また線路と公道との境目も分かりにくいので、極力アスファルトから外れないことをおすすめします。
赤い杭より内側には入らないでくださいまし。

次の四街道駅にかけても田畑と雑木林が入り交じる地帯を駆けていきます。
住宅が見え始めたら駅に近づいた証拠。
先行していた209系の普通列車を追い抜きました。

この後は住宅街と田園風景が続き、千葉駅に近づくにつれて市街地に。
街の明かりが増えてきたらまもなく右急カーブで千葉駅に到着です。
中央・総武線各駅停車房総各線の普通列車京成千葉線・千原線千葉都市モノレールはここで乗り換えになります。

ホームは中央・総武線各駅停車(1・2番線)外房線・内房線(3~6番線)総武本線・成田線(7~10番線、しかも急カーブ)で分かれています。
その中で特に問題なのが総武快速線
東京・大船・久里浜方面は同じでも、総武本線・成田線から来たのと外房線・内房線から来たので発着ホームが全然違うので、発着番線をよく見てお乗り換えください。

横須賀・総武地下ホームに到着

18時0分、255系「しおさい12号」は千葉駅を発車。
ここまで来れば東京駅はあと少しです。
中央・総武線各駅停車も並走するので、快速線はその横を追い抜いていきます。

幕張駅から幕張本郷駅にかけて、総武快速線の下り線が離れていくと、JR東日本幕張車両センターの横を通過します。
普段は千葉以北に入線しない車両もここまでは回送されるので、留置中の209系やE131系を見られますよ。
そんな広大な車両基地を横目に、「しおさい12号」はどんどん都心方面へ。

乗車日は休日だったので「しおさい12号」は船橋駅に停車。
その後は江戸川を渡って東京都に入り、東京スカイツリーがあと少しのところで錦糸町駅に停まります。

最後に列車は総武緩行線の両国駅手前で地下区間に入り、18時31分に「しおさい12号」は終点・東京駅に到着しました!
横須賀・総武線地下ホームに入線したので、地上に上がって改札を出たらもうすっかり夜。
丸の内駅舎が綺麗にライトアップされており、駅前は写真や動画を撮ってる観光客でいっぱいでした。

成東駅から東京駅まで76.9km、今回の所要時間は1時間4分。
指定席特急券は1,880円(1,480円+最繁忙期400円)でした。

1月の初週に行ったので最繁忙期料金になってしまいましたが、ダイヤ改正情報が発表された以上、乗れる時に乗って記録を取っておくのは大切なことです。
しかし、後述する全席指定席化によって、改正後は特急料金がもう少しお安くなることが見込まれます。



255系の波動化とダイヤ変更

平成初期から都心と房総半島を結ぶ特急列車を担ってきましたが、2024年3月16日ダイヤ改正255系は定期運用から離脱します。
3月16日以降、「しおさい」にはE259系、またはE257系500番台が使用されるとのこと。

E259系は専ら「成田エクスプレス」として使用されていましたが、先頭車両の新塗装化が進んでおり、ダイヤ改正で銚子駅にも足を伸ばすようになります。
座席でスマホやPCの充電が可能で、Wi-Fiも利用できます。
空港アクセス専用だった特急形車両を汎用的に使用するようになるので、大型の荷物を持っていても利用しやすくなるんじゃないでしょうか。

使用車両だけでなく、「しおさい」のダイヤにも変更があります。
まず現在運行している「しおさい」の、下りは以下の通り。

  • しおさい1号:東京7時37分発・銚子9時34分着
  • しおさい3号:東京10時11分発・銚子11時57分着
  • しおさい5号:東京13時38分発・銚子15時29分着
  • しおさい7号:東京15時39分発・銚子17時26分着
  • しおさい9号:東京18時49分発・銚子20時35分着
  • しおさい11号:東京20時10分着・銚子22時3分着
  • 【平日のみ】しおさい13号:東京21時43分発・成東22時45分着

2024年3月16日ダイヤ改正では以下のように変更が加わります。

  • しおさい1号:東京7時37分発・銚子9時32分着
  • しおさい3号:東京10時10分発・銚子12時0分着
  • しおさい5号:東京14時39分発・銚子16時39分着
  • しおさい7号:東京18時49分発・銚子20時35分着
  • 【平日のみ】しおさい9号:東京19時45分発・銚子21時41分着
  • 【平日のみ】しおさい11号:東京20時45分発・佐倉21時33分着
  • 【平日のみ】しおさい13号:東京21時41分発・成東22時46分着

「しおさい9号」以降は全て平日のみの運行になります。
午後の運行時間が全体的に繰り下がり、成東~銚子間の特急は「しおさい9号」(土日は7号)が最終になるので時間ミスに気を付けてください。

次に、上り特急の現行は以下の通り。

  • しおさい2号:成東6時5分発・東京7時17分着
  • 【平日のみ】しおさい4号:佐倉7時4分発・東京8時0分着
  • しおさい6号:銚子7時42分発・東京9時34分着(土日は9時33分)
  • しおさい8号:銚子11時21分発・東京13時9分着
  • しおさい10号:銚子13時21分発・東京15時10分着
  • しおさい12号:銚子16時38分発・東京18時30分着(土日は18時29分)
  • しおさい14号:銚子18時36分発・東京20時33分着(土日は20時31分)

これがダイヤ改正後はこうなります。

  • 【平日のみ】しおさい2号:成東6時5分発・東京7時17分着
  • 【平日のみ】しおさい4号:佐倉6時52分発・東京7時43分着
  • 【平日のみ】しおさい6号:佐倉7時4分発・東京7時59分着
  • しおさい8号:銚子7時42分発・東京9時34分着
  • しおさい10号:銚子10時11分発・東京12時7分着
  • しおさい12号:銚子12時22分発・東京14時7分着
  • しおさい14号:銚子17時35分発・東京19時29分着

こちらは朝の3本が平日のみの運行になる上、「しおさい10号」以降は全体的に繰り上がるみたいです。
銚子駅に18時ぐらいまでいても特急に乗れていたのが、今後は1時間早まるようなので帰りを急ぐ場合は注意!
上下線とも、ダイヤ改正以降は全列車が船橋駅に停車し、「しおさい7号」「しおさい8号」「しおさい9号」は四街道駅にも停まるようになります。

これだけではなく、従来の特急券(指定席・自由席)で乗れていた「しおさい」「さざなみ」「わかしお」も、3月16日から全車指定席化することに。
ダイヤ改正以降は、指定席特急券・座席未指定券のシステムで特急券を購入することになります。

普通車指定席(大人・きっぷで事前購入)の内訳は、50kmまでで760円、100kmまでで1,020円、150kmまでで1,580円。
これが通年同額です。

今回の成東~東京間で比べれば、通常期の普通車指定席で1,480円だったところ、改正後は1,020円となり、460円安くなります!
自由席がなくなるかわりに、指定席利用の負担が少し軽くなると思います。

座席未指定券については過去記事で詳しく触れています。
こちらも近日リライトしようと思います。

定期運用から退くものの、車両そのものは2024年3月16日時点ではなくなりません。
ダイヤ改正以後も、土日の臨時特急「新宿さざなみ」で255系が使用されることがあります。

というか、蓋を開けてみれば255系は6月いっぱいまでは「わかしお」でごくわずかに運用に入っているらしく、確かに「しおさい」からは撤退したけど完全に消えたわけではないようです。
どのみち完全引退はそう遠くないので、お早目の来訪をおすすめします。

さいごに

今回は、2024年3月16日ダイヤ改正で定期運用から撤退する255系で、特急「しおさい12号」に成東駅から乗ってきました。
一回は乗っておきたかったので、目標がひとつ叶いました!

平成生まれな私からすれば世代ドストライクな車両で、機器更新も行われて現在まで活躍を続けましたが、登場から30年、定期列車としてはE257系・E259系に枠を明け渡すことになりました。
車両置き換えだけでなく、細かなダイヤや料金体系にも変更が加わります。
JRの公式サイトも併せてご参照ください。

また、ホームや沿道から列車を撮影する際も、くれぐれも他の人や鉄道関係者の迷惑を避けて行ってください。
常磐線沿線で貸切列車を撮らんがために線路内に立ち入り、列車を止めて帰ってった不届き者がいたそうですが、あんなのもってのほかですからね。
撮影・乗車は安全とマナーを守って楽しみましょう。

今回はここまで!
ありがとうございました!

参考

『JTB小さな時刻表 2023年季刊秋号』発行:JTBパブリッシング 2023年10月
『国鉄・JR 列車名大事典』著:寺本光照 中央書院 2001年7月
『JR全線 読みつぶし・乗りつぶし』文・写真・イラスト:恵知仁 白夜書房 2008年7月
『鉄道手帳 東日本編』監修:今尾恵介 東京書籍 2009年9月

JR東日本公式サイト
房総特急変わります
臨時列車のお知らせ
ニュースリリース 2024年1月16日
PDF 2024年3月ダイヤ改正について(千葉支社)

NPO法人 山武市観光協会公式サイト
成東・東金食虫植物群落を守る会公式
佐倉市公式サイト 煉瓦造りアーチ橋
佐倉市ローカルメディア「さくらぶ」
2019年3月11日 【ガチのSLがある公園】高崎川南公園 佐倉市 表町2丁目(JR佐倉駅周辺)
Wikipedia しおさい(列車)