JR西日本管内では、国鉄時代から運行してきた通勤型車両がリニューアル改造を受け、令和の現代でも他の車両と遜色なく走る光景を見ることができます。
国鉄時代からの通勤電車103系でさえ、数はだいぶ減りましたが未だ現役なのが驚きです。

その中には、かつて関東では中央線快速で走っていた印象が強い201系電車もいます。
関西では現在、おおさか東線・大和路線(関西本線)普通列車としてウグイス色の201系が活躍していますが、2022年3月12日のダイヤ改正をもっておおさか東線から撤退することになりました。

今回1月4日から10日まで行っていた「青春18きっぷ」での遠征が、私にとっては最初で最後のチャンスでした。
そこで今回はおおさか東線に着目し、まもなく221系に置き換え予定の201系を1日観察、乗車レポートとします。




国鉄には珍しい電機子チョッパ制御

そもそもの201系は、1979(昭和54)年に試作車、2年後の1981(昭和56)年に量産車が登場。
国鉄では珍しい電機子チョッパ制御を採用した車両です。
また、自身のブレーキ(制動)時に発生した電気を架線に戻すことで、その電気を他の車両に役立たせる回生ブレーキの採用により、当時の既存車両に比べて省エネルギー化を実現しました。

サイリスタという半導体素子をスイッチのようなものとして利用し、1秒間に何百回の超高速で繰り返すオンオフの間隔を変化させ、主電動機を制御するのがチョッパ制御。
そのスイッチみたいな動きによる電圧変化で主電動機の回路(電機子回路)を制御するため、電機子チョッパ制御と呼ばれています。

サイリスタは高額だったらしく、私鉄だとチョッパ制御(主に界磁チョッパ制御)の車両は多いのですが、国鉄だと201系203系だけにとどまりました。

関西の201系は1983(昭和58)年より、京阪神系統の普通列車として登場し、京都方面・西明石方面と、新三田方面(1997年以降)へ乗り入れていました。
2005(平成17)年から2007(平成19)年にかけて順次、大阪環状線用の8両編成大和路線(関西本線)用の6両編成に組み替えられて両方の系統に移籍。
大阪環状線からは既に撤退しています。

2022年1月現在もおおさか東線・大和路線の普通列車として引き続き201系は活躍しています。
しかし2022年のダイヤ改正をもって、221系に置き換えられる形でおおさか東線からは撤退することが、2021年12月17日付でJR西日本より発表されました。

完全引退がいつなのかはまだ分かりませんが、少なくとも新大阪駅に乗り入れる光景は見られなくなることでしょう。

新幹線停車駅から大和路線方面へ

ということで、「乗り鉄」としては実際に乗らなきゃ満足できない!
新大阪駅から久宝寺駅に向かって201系に乗ってみましょう。

おおさか東線の列車は、関西空港・和歌山方面の特急とホームを共有する1・2番のりばから発着しているため、乗り換えの際は階段・エスカレーターの上り下りが必要です。
ちなみに駅構内のアナウンスでは「放出方面・おおさか東線経由」と案内されています。
3号車は終日女性専用車になっていました。

さて発車すると、電機子チョッパ特有の「ムゥゥゥゥ」というノイズが車内に響きます。
ちょっと嫌な例えですが、蚊が飛んでる羽音より低めの音だと思ってもらえると分かりやすいかも。

そのノイズに遅れて205系に似たモーター音が湧き上がり、速度が乗るとそれなりに唸りを上げるので、やはり201系も国鉄形の車両だということがよく分かります。

JR京都線(東海道本線)・東淀川駅の横を通過して神崎川を渡ったら、高架に上がりながら大きく右にカーブし、そのカーブの途中で南吹田駅に停車。
南吹田駅からもさらにカーブは続き、再び神崎川を渡って進路を南に取ります。

2022年1月現在のダイヤではだいたい15分程度の間隔で運行しているため、南吹田駅か、南吹田~JR淡路間の神崎川橋梁で上下線がすれ違うことが多いです。

この先、途中の放出駅までは、2019(平成31)年の全線開業の際に新設された区間。
おおさか東線は、貨物専用だった通称・城東貨物線を旅客化することで、まず2008(平成20)年に放出~久宝寺間が開業。
次に2019年新大阪~放出間が開通することで全線開業を果たしました。
以降は新大阪~久宝寺間、20,2kmを結んでいます。

二度目の神崎川を渡ると吹田貨物ターミナルからの線路と合流。
続いて東海道新幹線の高架と阪急電車の建設中の鉄橋をくぐり、JR淡路駅、城北公園通駅、JR野江駅と続いて停車。
JR淡路駅は阪急電車の淡路駅、JR野江駅は京阪電車の野江駅と、大阪メトロ(Osaka Metro)谷町線・野江内代駅との乗り換えがアナウンスされます。

私が思うに、おおさか東線は関東で例えると東急大井町線に似ているように見えます。
あちらは溝の口駅・二子玉川駅で田園都市線に、自由が丘駅で東横線に、大岡山駅で目黒線に、旗の台駅で池上線に接続していますが、おおさか東線のほうが他社線も含め、乗り換え可能路線が圧倒的に多くて内心ビックリしてます。

学研都市線と合流、難読駅続く

JR野江駅を発車後、踏切を越えると大きく左にカーブし、学研都市線(片町線)と合流。
運が良いと鴫野~放出間で両方の電車が並行することもあります。
その瞬間は個人的にむっちゃテンション上がりました。

さて、鴫野駅では京橋・尼崎方面に乗り換えられます。
難読駅ですよね「鴫野」って。
「しぎの」と読みます。

鴫野~放出間は学研都市線と並行。
学研都市線・松井山手方面の線路が左に跨いでおおさか東線を挟みます。
ここだけ京浜東北線と山手線みたい。

そして放出駅に到着です。
まーたここも難読駅で、「ほうしゅつ」と言ってはいけない。
「はなてん」と読みます。

この駅で乗務員の交代が行われるほか、久宝寺方面と松井山手・木津方面への接続が取られます。
発車まで少し待たされることもあるので、お急ぎの場合は注意。

お正月休み終わりかけの土曜日に乗っているものの、割と座れるレベルで空いていました。
ただ、201系撤退を聞きつけた鉄道ファンは少しずつ増えているようで、車内では、ドア開閉や車窓の変化を撮影するファンの姿も見られました。

木津方面と分かれ南へ行く

放出駅を出発すると学研都市線とお別れ。
第二寝屋川を渡った所から東大阪市に突入します。

この先、終点の久宝寺駅までは2008年の暫定開業時に旅客営業を開始した区間。
松之町踏切を越えた先から再び高架に上がっていきます。

高井田中央駅では大阪メトロ(Osaka Metro)中央線に乗り換え可能。
メトロの中央線は隣の長田駅から近鉄けいはんな線乗り入れ、生駒方面までそれ1本!

JR河内永和駅では近鉄奈良線に、JR俊徳道駅では近鉄大阪線にそれぞれ乗り換え可能になっています。
近鉄側はどっちも各駅停車しか停まりません。

鉄道ファンの姿はホームにも見られ、取材中は河内永和駅のホーム先端に撮影者を多く見かけました。

大和路線に合流すれば終点

JR長瀬駅の次は衣摺加美北(きずりかみきた)駅に停車。
ホームが東大阪市の衣摺地区と大阪市平野区加美北の双方にまたがっているためか、そのまんまな名前が付いています。

衣摺加美北駅の先、貨物線と分かれる正覚寺信号場を左に曲がると、そのカーブの途中で新加美駅に停車。
大和路線(関西本線)の加美駅にほぼ隣接しており、久宝寺駅まであと一駅!
そして新加美駅発車後、すぐに高架から地上に降りて大和路線に合流。

ちなみに正覚寺信号場で右に分かれた貨物線は、大和路線の東部市場前~平野間で旅客線に隣接する百済貨物ターミナルに通じているようです。
規模も西日本最大級なんだとか。

大和路線と並行しながら大阪府道2号線・近畿自動車道26号線(天理吹田線)をくぐったところで、おおさか東線の201系は終点・久宝寺駅に到着しました。

おおさか東線の普通列車は基本的に久宝寺止まり
大和路線・加茂方面と隣り合う2番のりばに到着し、降車終了後に引き上げ線に回送されてしまいます。
そんでもって始発電車は大和路線・天王寺方面と隣り合う3番のりばに入線し、天王寺方面からの接続を待って新大阪駅へ発車していく流れとなります。




置き換え後は221系に

国鉄通勤型車両の中でも珍しい電機子チョッパ制御を維持し続けていた201系ですが、2022年3月12日のダイヤ改正をもっておおさか東線からは撤退することが発表されています。
201系の撤退後、221系が普通列車に充当されるとのこと。

221系は1989(平成元)年の登場以降、JR琵琶湖線・京都線・神戸線(東海道・山陽本線)の新快速・快速として活躍してきましたが、225系の導入に合わせて他線区への転属が進んでおり、現在は嵯峨野線(山陰本線)奈良線大和路線にいるほうがよく見かけるほど。
「青春18きっぷ」使用中も、米原~網干間で221系を見る機会はそんなに多くありませんでした。

221系への置き換えにより、ドアは4ドアから3ドアになるかわりに座席が転換クロスシートに、車内はトイレ付き(先頭車両にある)になるため、快適性の向上が見込まれます。
201系も、ロングシートとはいえ良い乗り心地でしたがね。

直通快速は変化なし?

普通列車の一方、おおさか東線には、大和路線の奈良駅まで直通する直通快速も運行しています。
おおさか東線内の停車駅は放出駅、高井田中央駅、JR河内永和駅、久宝寺駅と絞られており、時間が合えばスムーズに移動できてそれはお得なこと。

新大阪~放出~奈良間の直通快速には現在、207系321系が使用されていますが、12月17日付のダイヤ改正のリリースに直通快速に関しての記載はなかったので、こちらの変更はとくに無いと思われます。

鉄道ファン的には、これでダイヤ改正後、普通列車は3ドア転換クロスの近郊型車両で、直通快速は4ドアロングシートの通勤型車両という逆転現象が起こることがやたら気になります。

横浜の人間である私には、そう気軽に関西に飛んでいける機会は少ないですが(ましてや今はコロナ禍でもあるし)、関東から引き続き、京阪神ネットワークの動向にも注目していたいです。

さいごに

今回は京都線(東海道本線)の新大阪駅から大和路線(関西本線)の久宝寺駅まで、おおさか東線で撤退予定の201系を1日じっくり観察しました。

電機子チョッパ制御の音がなかなかユニークで、音鉄としても面白い201系。
国鉄時代からの通勤型車両が、令和の現代に開業した高架区間を行く光景がおおさか東線にはありました。

乗り換え可能路線も非常に多く、地上や高架で交差する私鉄各線、さらには鴫野~放出間で並行する学研都市線(片町線)に、久宝寺駅手前で合流する大和路線と、乗っているだけでいろんな鉄道を見ることができます。
乗り鉄的にも良い感じに楽しかったです。

しかしホームや沿線に人が増えれば、他の利用者や鉄道関係者に迷惑をかけてしまう可能性も大きくなり得ます。
こんな時だからこそ、身の安全とマナーを重んじた行動を強くお願いします。

今回はここまで!
ありがとうございました!

 
参考

『鉄道の基礎知識』著:所澤秀樹 創元社 2010年
『JR全線 読みつぶし・乗りつぶし』著:恵知仁 白夜書房 2008年
『鉄道手帳 西日本編』監修:今尾恵介 東京書籍 2009年
『【図説】日本の鉄道 東海道ライン 全線・全駅・全配線』(第9巻 奈良・東大阪) 著:川島良三 講談社 2009年
『鉄道ジャーナル 2022年1月号』発行:鉄道ジャーナル社

JR西日本公式サイト 2022年春ダイヤ改正について
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