おととし、山梨県は谷村町「ぽっぽや」で知り合った鉄道イラストレーター・始発ちゃんの個展が、四国・宇和島「アトリエぱれっと」へ舞台を変え、2021年12月25日から2022年1月10日の期間に開催されました。

2年前は「ぽっぽや」で、昨年は愛媛県西予市「こけむしろ」での開催。
しかし昨年に関しては交通費・宿泊費の捻出が難しかったのと、駅から遠すぎてレンタサイクルが使えるかわからなかったことを理由に、私は泣く泣く訪問を断念…。

でもでも今回は「青春18きっぷ」を利用することで交通費を解決し、宿泊費もお安くまとめることができました。
なので私は、1月4日に横浜を発ち、人生初の四国へ乗り込んできました。

今回は宇和島市で開催された始発ちゃん個展を、ケンヤ目線でブログレポートにいたします。
おととしの様子は過去記事をご覧ください。




2年間で重ねた実績

2019年より活動を始め、鉄道駅・施設と女の子のいる作品を、緻密なタッチと可愛く暖かい雰囲気で描き上げている始発ちゃん。
2020年にはアーティスト・DAOKOさんのアルバム『ANIMA』ジャケットイラストを手掛けたことで名前を見た人は一気に増えたのではないでしょうか。

そして2021年、『鉄道ダイヤ情報 2021年1月号』にてインタビュー記事が掲載されたり、「恋する!たび鉄部」オンラインイベントではゲストに抜擢されたりと、様々なメディアに登場したのも記憶に新しいです。

また、「始発ちゃん×碓氷線プロジェクト」への参画や、北海道新聞への広告掲載作品発表(JR貨物公式Twitterアカウントより)、さらにはいすみ鉄道や富士急行でのコラボグッズ展開と、彼女ならではの作風は多くの人に知れ渡っていることかと思います。
たった2年で著しい躍進を遂げています。

正直なところ、「求められるもののレベルが高すぎて自分はそのレベルに達していない」という根拠のないマイナス思考に苛まれ、最近の私にはチャレンジを恐れていた節がありました。
しかし今回2年ぶりに始発ちゃんのもとを訪れ、「震える足をいい加減に無理矢理にでも動かさなければいけない」と、彼女の頑張りに多大な影響を受けています。

予讃線末端区間の絵画教室

2021~2022年の始発ちゃん個展は、愛媛県宇和島市「アトリエぱれっと」にて開催。
JR予讃線の北宇和島駅から宇和島方面に歩いて5分ですが、普通列車の本数が驚くほど少ないので、私は宇和島駅から歩いて向かいました。
宇和島駅から歩く場合、JR四国用地内の旧扇形期間庫を眺めながらの散策もできますよ。

「アトリエぱれっと」は予讃線の線路沿いにあるフィットネスクラブ「VISTAR」2階にあり、その入り口は正面に向かって左手奥にありました。

階段で2階に上がり、ギャラリーのドアを開けると、そこには今まで始発ちゃんが積み重ねてきた作品の数々が壁に並んでいました。

緻密な描き込みで鉄道を暖かに描く

入口から見て右側と正面の壁には鉄道関係のイラスト。

南千歳駅C58形389号機など、おととしにも見た原画をまた楽しめる!
これらの作品には、手描きのネームにタイトルやコメントが記載されていました。

その上で、2年前には見られなかった作品も。
たとえばマリメッコの装飾が特徴的な天竜浜名湖鉄道・都田駅

JR北海道・室蘭本線母恋駅
モノクロで細かく描きこまれた駅の下に見える、やさしい微笑みが分かりますでしょうか。

旧武儀駅旧碓氷線・矢ヶ崎第一閉塞信号機
前者はSNSのアイコン、後者は「始発ちゃん×碓氷線プロジェクト」参加作品として、見たことある人もいるはず。

厚別駅はJR貨物公式Twitterアカウントからも発表されていましたね。

そして愛ある伊予灘線(予讃線)下灘駅
描き込みの細かさそのままに、背景の夜空をコピックで幻想的に。

今回、私は下灘駅どころか伊予灘線自体に立ち寄れなかったので、原画で楽しめたのは非常にありがたかったです。

ジャケットイラスト原画も

入口から見て左側の壁は、『ANIMA』ジャケットイラスト原画の展示。
始発ちゃんならではの作風で描き上げられた、変わりゆく渋谷の街を見せていただきました。

今では渋谷スクランブルスクエア渋谷フクラスなど、再開発で新たな施設が誕生したり、銀座線のホームが東急百貨店3階から明治通り上に新設されたりなど、渋谷の景観は大きく変わってしまいましたよね。
私が大学に通っていた頃の、慣れ親しんでいた渋谷の風景が始発ちゃんの作品の中に残っていました。

渋谷駅西口にあった東急旧5000系「青ガエル」保存車は渋谷を離れ、現在は秋田県大舘市に移設されています。
見てるうちに懐かしささえこみ上げて来ました。

なお、全ての作品は取り上げていません。
もっと知りたい場合は始発ちゃんの公式サイトやSNS等もご覧ください。

ゲスト出展もあるよ

今回の始発ちゃん個展では、彼女自身の作品に加え、ゲスト作家による作品の出展も行われていました。
その一つが、NEKOPLA斎藤さんが制作した下灘駅のジオラマ

瀬戸内海の絶景を拝めるあのホームを、屋根からベンチ、そして電柱や駅名標など細かく再現!
写真では伝わりにくいかもしれませんが、実物さながらの汚れ具合も的確に表現されていました。

Nゲージの縮尺より大きめに見えたので、車両の乗り入れは妄想で楽しめると良いかな~と。

ハンドルネーム「kihakiha」さんによるファンメイドのフォトブック
ここには、始発ちゃんの作品で描かれた駅を訪問した写真が多数掲載されていました。

駅長・山本留吉さんによる、岩井支線廃線紀行というものもありました。
国鉄時代に五日市線・武蔵五日市駅から武蔵岩井駅(現在は廃駅)まで伸びていた支線です。

書籍で名前を見る程度でしか廃線跡に触れられていない私には、このように自らの足で実地を訪ねる人の取材力に大いに敬意を表しております。

私とて西寒川支線は昨年訪ねましたが、それだけで満足していてはいけないね。

肝心の始発ちゃん本人は、入って左手前のカウンターで受付をやってました。
カウンターの壁には「十勝晴駅・小さな鉄道博物館」より寄贈された、北海道のキハ40の写真も飾られていましたよ。

訪問日の他の来訪者は、地元民が中心。
地元のおばあちゃんや、現代アートに興味のあるお兄さん、ご家族が絵の勉強をしているというお母さん、さらには「VISTAR」会員の人々も訪れており、始発ちゃんも丁寧かつ熱心に応対。

それでも人が空く時はあったので、その場合はお互いの近況報告とか情報交換とか雑談とかしてました。

新型コロナウイルス感染対策のため、カウンターにはアクリル板を立て、入室時に手指消毒、室内ではマスクを着用の上で進行しております。




駅ノートとワークショップ

中央のテーブル2台のうち、片方は読書スペース。
先ほどのゲスト作品をはじめ鉄道関係冊子などが置かれていたほか、駅ノートも用意されています。
2年前から現在に至るまでに多くのファンが残したメッセージ、私も拝読しました。

もう片方のテーブルはワークショップの作業台。
ここでは「宇和島にあったら良いなと思う建物」をテーマに、参加者が自由な発想で工作を行っていたようです。
作った作品は壁の奥の線路に持って行って並べてありました。

帰り際にちょっとだけ見せてもらいましたが、そこにライトを載せた機関車を走らせお部屋を消灯すると…?
参加者らの作った建物が暗闇に浮かび上がり、その影は壁に映し出されるステキな光景が!

中には架線柱を立ててあったセクションもあり、壁に現れた架線柱の影が動いていく様子は、Nゲージでも真似したくなるほどエモーショナルな場面でした。

さいごに

今回は、宇和島市「アトリエぱれっと」で開催された始発ちゃん個展を私目線でブログにさせていただきました。

これまでに制作されたイラスト原画、ワークショップ、ゲスト作家の出展作品がギャラリーに並び、始発ちゃんのイラストレーターとしての実績の積み重ねやレールのつながり(人脈の広がり)を感じる素晴らしい1日でした。

「青春18きっぷ」を手に取り、横浜4時54分発の東海道本線を始点に、在来線だけでひたすら西へ旅に出た見返りは、十分すぎるほどに得られたんじゃないかなと。

そろそろ私も自分に進行信号を出します。
ご拝読ありがとうございました!

ちなみに当日、個展にお邪魔する前に卯之町駅で撮影しようと思っていたのに、大寝坊ぶちかまして伊予吉田駅までしか行けませんでした

 
スペシャルサンクス
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始発ちゃん
公式サイト⇒始発ちゃんのお店
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NEKOPLA 斎藤
Twitter⇒@kawausokawauso
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駅長 山本留吉
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kihakiha
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