Nゲージ鉄道模型は、スケール150分の1(新幹線は160分の1)の縮尺模型。
数ある鉄道模型の中でもそこそこスケールの小さいほうなのですが、Nゲージサイズで、車両の長さを短くしたショーティーモデルが、大手ホビーメーカー・バンダイより展開されていた過去がありました。

Bトレインショーティー」(Bトレ・Bトレイン)を覚えていますか?

Nゲージサイズの組み立てキットですが、1両の長さが半分になっており、デフォルメによるこぢんまりとしたかわいさが魅力!
それでいてNゲージとしての走行化にも対応しているので、対応パーツを組み込めばれっきとしたNゲージ鉄道模型として走れますよ。

現在はより精巧なキットとして「ますこっとれいん」も発売されてますよね。
その機運もあってか、過去に集めていたBトレイン車両を見返していたら、ちょっと再燃してしまいました。

その結果、中古品ですが新たなBトレを購入するまでに。
今回は購入したBトレを実例に、「Bトレインショーティー」の組み立てを実践します。



1両6cmの小さな鉄道模型

改めまして「Bトレインショーティー」とは、2002(平成14)年から2018(平成30)年までバンダイが展開していた、Nゲージサイズのスケールショーティーモデル
組み立てキット(黎明期には完成品モデルもあった)ではあるものの、面倒な工程はほぼ無し
基本的には各パーツをニッパーで切り離し、パチッとはめ込んでいくだけで、1両6cmのデフォルメ車両が簡単に組み上がります。

というお手軽工作にもかかわらず、製品化された車両は、首都圏通勤型車両私鉄国鉄時代の気動車・客車など、有名どころからマイナー車両まで非常に幅が広い
私は、御殿場線国鉄形気動車を中心に集めてました。

また、当時はKATOバンダイBトレ対応の動力ユニットと走行用台車を発売していました(KATOは現在も発売中だが在庫不足気味)。
元々の足回りをNゲージ対応パーツに交換すれば、Bトレインショーティーも立派なNゲージ鉄道模型

しかし、2018年に小田急ロマンスカー・GSE(70000形)と、箱根登山鉄道2000形のBトレインが発売されたのを最後に、ひっそりと公式展開は終了してしまいました。
それでもSNSを見る限り根強いファンが一定数いて、今でもNゲージの一種として重宝するアイテムになっています。

中古の鉄道模型ショップに行ってみると、今では中古品のBトレインが未開封・組立済問わず様々並んでいますよ。
もっとも、発売から長い時間が立って市場在庫が希少化した製品も多いので、プレミア価格が付いているものもありますが…。

JR西日本最後のキハ52形

さて私はこのほど、Bトレ「キハ52形・大糸線」(の中古品)を入手しました。
トレインボックス(JR西日本)が発売していた事業者限定品で、大糸線に最後まで残った個体をデフォルメして製品化されました。
標準色旧気動車色の2両セット、首都圏色大糸線・越美北線色の2両セットの2種類が発売。
私は首都圏色と大糸線・越美北線色のほうを入手しました。

キハ52は1958(昭和33)年より、勾配区間向けにエンジンを2機搭載して登場した一般形気動車。
2エンジンの気動車としては最初の両運転台車だったようです。
1年先に登場したキハ20形がベースになっていますが、あちらは1エンジンの車両でした。

大糸線には1992(平成4)年、キハ58系を置き換える形でJR西日本区間(南小谷~糸魚川間)に導入されました。
それより前は越美北線で運行しており、そこで使用されていた白地に緑ストライプの塗装がそのまま引き継がれることに。

そんな中、最後まで残った3両は晩年、朱色とクリーム色の標準色(115号)青と黄褐色の旧気動車色(125号)朱色一色の首都圏色(156号)にそれぞれ変更され、2010(平成22)年3月まで活躍しました。

現在、大糸線のJR西日本区間はキハ120形に置き換わっています。
そして引退したキハ52形のうち、125号は標準色に変更の上でいすみ鉄道に譲渡(一時期首都圏色にもなってた)、156号は標準色に変更の上、糸魚川駅で静態保存されています。

箱を開ければ工作のはじまり

実車の話はこれくらいにして、そろそろ箱を開封しましょっか!
Bトレインショーティーのパーツは、いくつかのビニール袋で小分けにされています。

ここでは2色ある中から、首都圏色を組み立ててみましょう。

床板兼台車を先に

車体を組む前に、先にディスプレイ用の台車を組み立てます。
あとでNゲージ化したら要らなくなってしまう部分ですが、せっかくなのでね。

黒いランナー(パーツの外側の円筒状の枠)に繋がれている、台車の軸受けと床板が一体化したパーツを一つに合わせます。
ニッパーを使い、これをゲート(パーツとランナーを繋いでる部分)から切り離してください。
同時にブロックパーツも切り取っておきます。

半分になってる2つの床板を、それぞれ穴に合うようにはめ合わせましょう。

ディスプレイ用のプラスチックの車輪は、説明書とステッカーが入っている袋にさらに小分けにされています。
これを1つずつ軸受けに嵌め込んでいけば、車輪の準備はOK!

今回は付属の車輪ではなく、別の車両から持ってきた余りものを転用しました。

最後に台車レリーフを切り離し、台車枠の二つの差し込み穴に差し込みましょう。
これで足回りの完成です!

バンダイのBトレ動力に換装する場合この台車レリーフを使うことになるのでなくさないようにしておきましょう。
バンダイ動力はほぼ手に入らない状況だと思いますが念のため。

ランナーとゲート痕に一手間

Bトレに限らず全てのプラモデルに共通することですが、パーツをランナーから切り離す際、1ヶ所でもいいので先にランナーにニッパーで切り込みを入れると、切り離すパーツや他のパーツに余計な力が加わりにくくて助かります。

ニッパーを入れる際、そのままではどうしても外側のランナーに余計な力がかかってしまいます。
変な負荷がかかると小さなパーツなどはゆがんでしまう恐れがあるので、ランナーに切り込みを入れることで余計な力を逃がすようにしましょう。
この一手間だけで安心感が違いますよ。

そして、パーツを切り離す際は、わざとゲートを多めに残した状態でランナーから切り離すと良いでしょう。
ゲートごと切り離したうえで、残ったゲート痕(バリ)をカッター、デザインナイフ、ヤスリのいずれかで取り除く流れです。

ゲート痕を残してしまうと、後で他のパーツを組み合わせる時の邪魔になり、上手にモデルが組み上がりません。
なので最終的にゲート痕は綺麗に取り除かねばならないものです。

が、ギリギリを攻め過ぎるあまり誤ってパーツを切ってしまうやり直しがききません
なので「ゲートごとパーツを切り離す」「切り離したパーツに残ったゲート痕を取り除く」の二段構えで丁寧に作業をしましょう。



車体はブロックとガラスから

したら本格的に車体を組んでみましょう!

最初は床板のついでに切り離しておいたブロックと、今から切り離すガラスパーツを合わせます。
その次に屋根を嵌めていく流れになります。

ブロックの左右に付いている突起を、ガラスパーツの両端下部に開けられた穴に差し込み、箱型に組んでみましょう。
左右のガラスを繋ぐブロック、撮影のためにカプラーポケット付きを使っていますが、最初からNゲージ化を前提に作る場合はカプラーポケット無しを使ってください。

屋根と側面は確実に嵌め込んで

箱型に組んだガラスの上に、屋根を取り付けましょう。
屋根の裏側に取り付け穴があり、その向きは決まっているので、取り付け穴の向きを正しく合わせてはめ込み!

ちゃんと奥まで入れば「パチッ」と音が鳴ります。
硬い場合はマイナスドライバーを使ったり、突起を少し削ったりして、確実に屋根を取り付けてください。

Bトレのキハ52形はパーツが硬すぎず、ちょうど良い嵌め合わせでした。

そしたら次に側面パーツを取り付けます。
ガラスと向きを合わせて、しっかり取り付け穴の奥まで突起を差し込んでください。

これもしっかりガラスに嵌まれば「パチッ」と音が鳴ります。
片側5ヶ所ある穴全てに、側面パーツの突起を確実にはめ込みましょう。
屋根も側面も、取り付けが甘いと前面・妻面パーツが入らないので注意が必要です。

前面・妻面を取り付け台車に乗せよう

ここまでやってようやく前面・妻面パーツが入るようになります。
ブロックに開いていた穴に、前面パーツに付いている突起を差し込んで、側面パーツ両端のカギカッコみたいな切り欠きと噛み合わせましょう。

これができれば、車体の組み上がり!

最後に、最初に作っておいた床板&台車パーツに車体を乗せれば、Bトレのキハ52形がひとまず完成

実車のキハ52形は1両約21m、Nゲージ(縮尺150分の1)に換算すると約14cmの長さなのですが、Bトレインショーティーではそれがたったの6cmとコンパクトに!
実物サイズに換算すると9mってとこでしょうか。

それでいてデフォルメも無理なくまとまっていたので、製品としての完成度もかなり高いほうではないかと思いました。
もっとも、キハ52形はBトレインの中では晩年に発売したので、それだけメーカー側にもノウハウが蓄えられてたようにも思います。

さて、撮影のためを兼ねて組み立てたキハ52形ですが、当然、Nゲージとしての走行化対応も織り込み済みです。
それに加え、この段階では車体を組んだだけでステッカーを貼っていません。

長くなるのでいったんここで区切りましょう。
BトレインショーティーのNゲージ化とステッカー貼りについては次回取り上げます。

さいごに

今回はバンダイ「Bトレインショーティー」の事業者限定品、キハ52形・大糸線(首都圏色&大糸線・越美北線色)のうち、首都圏色の車両を組み上げるところまで進めました。
最終的にはステッカーも貼ってNゲージとしての走行化対応もさせますが、そこまで行くとテキストベースでは長すぎるので小休止!

パーツを組み合わせるだけで、Nゲージサイズなのに長さが短い、ちょっとかわいいデフォルメ車両が組み上がるのがBトレの面白いところ!
メーカー公式展開は約3年半前に終了しているものの、撮影目的を兼ねて組み立てたら予想以上に楽しくなって余計に再燃してます。

Bトレと同じデフォルメでさらに精巧なキット組立は新登場の「ますこっとれいん」に受け継がれましたが、Bトレも今からやっても楽しいものです。
今でも鉄道模型の中古ショップで色々見かける(新品在庫も一応あり)ので、プラモデルとしての楽しみや、普通のNゲージとは違うことをやりたくなったらぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

ランナーに切り込み入れたり、二段構えでゲート痕を除去したりなど、完成度を上げる一手間も忘れずに。

それではいったん区切ります!
ありがとうございました!