江ノ島電鉄グループ系列の江ノ電エリアサービスは、「鉄道コレクション 江ノ島電鉄800形」(標準カラー・チョコ電カラー)を発売しました。
12月17~19日に先行販売会を行い、20日より通信販売も開始しています。

価格は、標準カラー・チョコ電どちらも4,200円(税込)です。

江ノ電初の鉄コレであり、まだどのメーカーも製品化していなかった800形が模型化されたということで、私個人も非常に楽しみにしていました!
楽しみ過ぎて担当者に取材に行ったほどです。
寄稿記事に関しては本稿末尾に掲載しています。

そして、先行販売会にももちろん参加しました!
当サイトでは久しぶりの購入記録として、鉄コレの江ノ電800形(標準カラー)を個人的にレポートします。



フラップには懐かしの写真

では、箱から見ていきましょう。
パッケージはフラップ式で、閉じた状態では懐かしの写真が大きく掲載されてます。
それを開くと実車の解説・写真が載っており、窓越しに鉄コレの実物が見えるようになっています。

箱を開けると入っているのは、鉄コレ本体と、動力用台車枠(グレーのブリル)、ステッカー。
台車枠とステッカーに関してはチョコ電も同じ内容です。

パッケージの解説によると、江ノ島電鉄800形は、もともとは山梨交通電車線のモハ7形(モハ7・8)で、同線廃止後は上田丸子電鉄(現・上田電鉄)2340形(2341・2342)として活躍した経歴があります。

この車両が江ノ島電鉄(当時の社名は江ノ島鎌倉観光)にやって来たのは1971(昭和46)年のこと。
江ノ島鎌倉観光が上田丸子電鉄2340形を譲受し、800形(801・802)と番号を改めました。
さらに、江ノ電カラーに塗装変更2両固定編成化連結器の交換も行ったそうです。
登場時は2ドアでしたが、1975(昭和50)年より3ドアに改造されました。

晩年は江ノ電カラーから青電、そしてチョコ電へとカラーリングが変わり、1986(昭和61)年に登場した1500形置き換わる形で廃車となりました。
廃車後も、801号が山梨県南巨摩郡富士川町の利根川公園に静態保存されていますよ。

江ノ電では、2両の連結部分を台車で支える連接車が主流ですが、800形はボギー台車の2両で編成を組んでいた連結車です。
元東急80型である600形ともども、連結車は江ノ電にとっては珍しい存在だったのかなと思います。

そんでもってこの鉄コレですが、前照灯を前面窓下に移設し2灯化、1981(昭和56)年に両端のドアを鋼製ドアに交換した仕様の江ノ電標準カラーとなっています。
しかし、翌年1月には青電カラーに、その後はチョコ電カラーに塗装が変更されたため、この形態の江ノ電カラーはたった3ヶ月ほどしか見られなかったといいます。

さすがにそのものズバリな写真が無かったのか、パッケージ表紙の写真の800形は両端のドアが木製のままでした。
その右下には「写真はイメージです」との注釈もあります。

小型車体を的確再現、床下は流用

前置きが長くなりましたが、ここからは1両ずつ観察していきましょう。
まずは801号。

増設された真ん中のドアは、位置が若干乗務員室側にズレており、なかなかのアンバランス感。
ドア窓の違いが模型にも良く表れています。

窓の上にも緑色の塗装が入っており、塗り分けも良好です。
チョコ電の場合は上半分がクリーム色、下半分がチョコレート色の純然たるツートンカラーです。

801号の最大の特徴といえば、パンタグラフの移設された形跡でしょうか。
乗務員室側にパンタグラフが移設されています。

屋根を見れば、ベンチレーターが全くない部分がお分かりいただけるはず。
元々はその部分にパンタグラフが設置されていたと思われます。
移設された側のベンチレーターの上にはランボードが被っているみたいですが、どうやらこれで正しいのだとか。

次は802号。
屋根以外には801号との違いはありません。

台車と床下機器ですが、801号・802号とも実車とは異なります。
実物の台車はブリルではなかった(これはこれでアリ?)ようですが、価格を抑えるために既存パーツの流用になったとのこと。
チョコ電に関しても同じです。

802号の屋根は801号と違い、パンタグラフの移設は行われていません。
パンタグラフ位置はそのままで、その反対側にベンチレーターが並んでます。

ちなみに屋根の丸みも強い車両だったようなので、Rの深さも十分に再現されていますね。

両者の前面です(左・801号、右・802号)。
窓下に前照灯・後部灯が2灯取り付けられ、行き先サボが前面中央にセットされる、現在の305号にも通じる顔立ちですね。
標準カラーの窓サッシには、木枠としてクリーム色が印刷されていますが、チョコ電はアルミサッシのため銀色に変わっています。

妻部はこんな感じ(左・801号、右・802号)。
江ノ電での2両固定化にあたり、2両ともこちら側の運転台は撤去されました。
ライトも外され、なんかのっぺりな雰囲気(笑)。

座席パーツもたぶん何かの流用なのでしょうか…?
片側には無くて良いはずの運転台表現がなされています。
叡山電車デナ21型の座席パーツがこんな感じだった気がします(間違ってたらごめんなさい)。

ここまで見た感じ、車体の再現はお見事でした!
「江ノ電といえば」な顔立ちとカラーリングで、車体全体から細部まで様々な再現がなされていましたね。

その分、台車と床下機器の部品共用が少々残念でしたが、これは致し方ありません。
台車・機器類も新規金型を起こしていた場合、間違いなく価格が上がっていたことでしょう。

そんな苦心がうかがえつつも、江ノ電初の鉄コレとして大いに満足できる製品でした。



動力化は14m級Cで

江ノ電800形の動力化には、箱根登山電車の鉄コレにも使う「TM-22(14m級C)」を使用します。
床下スペーサーには、最も短いスペーサーNSを使ってください。

トレーラー化する車両には「TT-04」を使用します。
「TT-04」を使わない場合も、カプラーはグレーのものがあると良いでしょう。

パンタグラフについては、TOMIX推奨品としては「PG16」が案内されていますが、個人的にはグリーンマックスの「PT42N(私鉄向け・2本ホーン)」のほうが似合うと思います。

動力ユニット用の台車枠には、江ノ電800形に付属しているグレーのブリルを使います。
しかしそのまま嵌めると割と固いので、裏の突起をわずかにカットしてしまっても良さそうです。
その場合、後で台車枠を取り外すときに突起が折れてしまわないように注意しましょう。

床下スペーサー、ダミーカプラー、床下機器、パンタグラフ、動力化台車枠、どれも程良い固さで嵌まってくれますが、心配な場合はごく少量のゴム系接着剤で取り付け部を補強してやってください。

ちなみに、N化対応のアーノルドカプラーに交換しても連結間隔は長めです。
用意があれば他のカプラーに交換してみても良さそうですね。

行き先ステッカーは高難度

ステッカーは、車両の前面に取り付ける行き先サボ(鎌倉―藤沢)チョコ電用のさよならヘッドマークに加え、おまけで青電用のサボ江ノ電開業120周年記念ヘッドマークが丸型と四角形の2種類収録されています。

標準カラーについては特に装飾は少ないので、前面の行き先だけで良いんじゃないかな。
しかしステッカーも貼り付け位置も小さく、難易度は高めです。

何はともあれ準備ができました!

14m車体2両は意外と迫力アリ

今回は掲載を急ぐため、試走台でのみ撮影しました。

最高ですねコレ。
見方によってはかなり迫力が出て猛烈にカッコよくなります!
一般的な20m級車体に比べて小柄な14m級車体ですが、それでも連接車よりは大型です。

そして、TOMIXのスーパーミニカーブ・C103まで通過可能です。
その場合は連結間隔を短縮せず、アーノルドカプラーのままで走らせるほうが良いでしょう。

実は、当日の予算的に標準カラーかチョコ電のどちらかしか買えず、販売会の待機列に並ぶギリギリまでどちらを買うべきかめっちゃ悩みました。
最終的に、自宅レイアウトで京阪電車と並べたかったので標準カラーを選びましたが、この選択は間違っていなかった!

もちろん、チョコ電カラーも素晴らしい一品なので、お好きなほうを選択、または両方買ってみてはいかがでしょうか。

さいごに

今回は、2022年12月17~19日に先行販売された「鉄道コレクション 江ノ島電鉄800形(標準カラー)」を購入し、撮影してみました。
これは買って大正解でした!
本稿公開時点で通販も行われているはずです。

MODEMOからも製品化されなかった800形ですが、江ノ島電鉄(江ノ電エリアサービス)が自社オリジナル商品として模型化したことにより、形式上はほぼ全ての江ノ電がNゲージで製品化されたことになります。
Nゲージで江ノ電をあまり集めていないとしても、800形は別のローカル鉄道で活躍した経歴があるので、そこは自分の妄想の世界観でカバーできると思います。

急カーブを通過しても何ら違和感が無いのもありがたいですよね。
省スペースのミニレイアウトにもピッタリです!

305号でおなじみの江ノ電標準カラーと、今の江ノ電では見れなくなったチョコ電カラー、お好きなほうでお楽しみください。

今回はここまで!
ありがとうございました!

関連実績

鉄道チャンネル 2022年12月17日公開
江ノ電初の「鉄道コレクション」は800形、珍しい車種を模型化した理由とは

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