東武鉄道は、2022(令和2)年11月1日をもって創立125周年を迎えました。
これにともない、通常は下今市~鬼怒川温泉間で運行している「SL大樹」の、東武鬼怒川線の終点にして同社最北端である新藤原駅への運転が11月23日に行われました!

利用者を乗せた営業運転として「SL大樹」が鬼怒川温泉~新藤原間に乗り入れるのは今回が初めてとのこと。
この時の「SL大樹」は東武トップツアーズ主催の団体専用列車として運行されたため、ツアー参加者以外は乗車できませんでしたが、SL列車運行開始5年目にして初の新藤原乗り入れを私も撮影してきました。

今回は、団体専用列車として運行された「SL大樹5・6号」の新藤原駅乗り入れの様子を追って行きます。

※ケンヤは新藤原駅に乗り入れる「SL大樹」に乗っていません。実際に乗車した人のレポートが見たい場合は、大変恐れ入りますが他の方をあたってください。



お昼のSL列車が新藤原へ

11月23日に行われた「SL大樹」の新藤原乗り入れは、10月13日に東武鉄道のニュースリリースにて発表されました。
ここで発表された、同駅に発着するSL列車は以下の2本。
発着時刻は鬼怒川温泉駅までのものです。

  • SL大樹5号(下今市13時1分発・鬼怒川温泉13時37分着)
  • SL大樹6号(鬼怒川温泉15時37分発・下今市16時14分着)

通常、「SL大樹」では蒸気機関車が先頭に立ち、補機としてディーゼル機関車のDE10形が最後部に連結されることがありますが、新藤原行き(下り)「SL大樹5号」に限り、DE10形が先頭に立った状態での運行になることも明記されました。

ちなみに、11月23日の営業運転に先立ち、同月16日・17日には新藤原乗り入れ編成で試運転も行われたそうです。
リリースによれば、「SL大樹5号」の鬼怒川温泉駅到着後、機関車の入れ換えを行わずに試運転に入り、鬼怒川温泉~新藤原間を試運転する(した)とのこと。

新藤原駅には転車台が無いので、機関車の向きを変えることができません。
そのため、新藤原方にディーゼル機関車を、下今市方に蒸気機関車を連結した編成で「SL大樹」として運転していたようです。

これが理由で、16・17日の「SL大樹5号」はディーゼル機関車が先頭になったものの、座席指定券料金はSL列車(大人760円・子ども380円)として扱われたといいます。

団体専用列車として運転

11月23日の新藤原乗り入れ「SL大樹」に乗車するには、10月25日11時より募集が行われた、東武トップツアーズ旅行商品への申込みが必要でした。

「SL大樹 新藤原駅初乗り入れ記念 日帰りツアー【浅草駅発着】」「SL大樹 新藤原駅初乗り入れ記念 日帰りツアー【下今市駅発着】」の2種類が用意され、どちらかに申し込んでツアーに参加すると、新藤原乗り入れ「SL大樹」に乗車できたようです。
ちなみに東武鉄道公式ファンクラブ会員を対象に、1週間早い先行募集もあったとのこと。

募集人数は180名(先行募集は50名まで)。
料金は、浅草駅発着が大人11,000円・子ども8,000円、下今市駅発着が大人7,000円・子ども6,000円でした。
東武鉄道公式ファンクラブ会員の先行募集は浅草駅発着のみ募集され、料金は大人10,000円。

「TOBU POINT」会員のポイント交換も浅草駅発着のみ受け付けられ、大人10,000ポイント・子ども7,000ポイントの引き換えで申し込み可能だったそうです。

雨の中、青いDE10が先頭に

さて、私も新藤原駅に乗り入れる「SL大樹」を実際に見てきました。
本来の「SL大樹」と、「リバティ会津」以外の特急列車は鬼怒川温泉止まりとなっていますが、この日、ツアー参加者を乗せたSL列車が初めて鬼怒川温泉以北に進みます。

あいにくの雨天でしたが、私は鬼怒川温泉~鬼怒川公園間に先回りして「SL大樹5号」を待っていました。
場所は「さくら通り」の、鬼怒川に架かる「ふれあい橋」付近。
ちょうど山の斜面が急接近し、木の葉が黄色く色づいたりすでに散ったりしていた地点を、「SL大樹5号」は13時45分に通過していきました。

先述の通り、「SL大樹5号」の先頭に立っていたのは蒸気機関車ではなく、ディーゼル機関車のDE10形1109号機
かつての寝台特急「北斗星」を思わせる流れ星が側面に描かれています。

この日はボンネットの長いほうが先頭に立ち、ところどころ警笛を鳴らしながら迫力のある走りを見せてくれました。

じゃあSLはどこにいるのかというと、編成の最後部です。
今回のイベントに合わせて、SL前面に日章旗、ナンバープレートには赤地金色文字で「東武鉄道125」と掲出されました。
そのため元々のナンバーは隠れていましたが、前照灯の色と前面煙室扉のハンドルを見るに、車両はC11形123号機ではないかと思います。

SLは後ろを向き、赤い後部灯を照らしながらDE10形に引っ張られて遠ざかっていきました。
煙の流れ方に着目すれば、SLがバック走行をしていることが分かります。
通常運行の入れ換え時以外では、こういう走り方は珍しいのではないでしょうか。

その後、後続の普通列車で私も新藤原駅まで向かいました。
先に到着していた「SL大樹」は1番線(駅舎側)に停車しており、ツアー参加者向けに野岩鉄道が物販も行っていましたよ。

また、ツアー参加者と思われる人の中には、自由時間中に駅舎外から「SL大樹」を撮影している人も見受けられました。



SLが先頭!山間に汽笛響く

次は、「SL大樹6号」として団体専用列車が下今市方面へ折り返します。

今度は国道121号線沿いでカメラを構えて待ちます。
雨が降っていたにもかかわらず、私を含めて撮影者は6人ほどいました。
もっとも、私以外ほぼ全員車で来ていましたが…(たぶんそっちのほうが良い)。

新藤原15時3分着の普通列車が通り過ぎた後、15時12分、山間に蒸気機関車の汽笛がこだました!
営業運転で初めて新藤原駅に乗り入れた「SL大樹」が、いよいよ同駅を後にします。

今度は蒸気機関車が先頭に立ち、長く伸びた木々の間から姿を現します!
そして、急カーブを徐行で通過しつつ白煙を上げ、勇ましく、重厚な走りで山間部を通過していきました。
私がいた地点を通り過ぎた後もSLは汽笛をところどころ鳴らしており、その音はしっかり聴こえました。

「SL大樹6号」車内からは、手を振ってくれるツアー参加者が多数!
シャッターを切り終わった後はもちろん、私たち撮影者らも列車に向かい、手を振ってお見送り。
SLを通じたこの一瞬のやり取りも、鬼怒川温泉以北で見ることができるとはね。

ちなみに私、後続の東武日光行きの普通列車(新藤原15時22分発・日光16時10分着)で鬼怒川温泉駅に戻ったのですが、なんと先行していた「SL大樹6号」に追いつきました。

東武日光行きの普通列車は15時32分、「SL大樹6号」より先に鬼怒川温泉駅を発車。
それに続く形で15時37分、駅員や鉄道ファンに見送られながら、「SL大樹6号」も出発していきました。

あいにくの雨天、かつ団体専用列車だったとはいえ、これにて無事に「SL大樹」は新藤原乗り入れを果たしました。
今後の東武のSL運行に期待と妄想が膨らむ、有意義な企画だったのではないかと思っています。

さいごに

今回は、東武トップツアーズ企画の団体専用列車として、初めて鬼怒川温泉~新藤原間に乗り入れた「SL大樹5号・6号」を撮影して来ました。

下りはディーゼル機関車上りは蒸気機関車が先頭に立つことで、機回しを行わずしてSL列車の新藤原乗り入れが実現。
C11形123号機に掲出された赤い「東武鉄道125」のプレートも、いつもとは違う存在感を放っていました。

また「SL大樹」が新藤原駅まで運転されるのかは分かりませんが、次はぜひとも車内から同じ場所を眺めてみたくなりますね。
そんな淡い期待も持ちつつ、今後も引き続きSL列車を追っていきたいものです。

今回はここまで。
ありがとうございました!

参考

東武鉄道公式サイト ニュースリリース 10月13日
11月23日(水・祝)、東武鉄道創立125周年を記念し SL大樹が新藤原駅へ初めて乗り入れます!

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