トラウマを抉ってしまったらすみませんが、2019年の「令和元年東日本台風」(台風19号)を覚えているでしょうか?

長野県上田市を走る上田電鉄別所線では、上田~城下間にかかる千曲川橋梁が被害を受け、一部崩落してしまいました。

わたしは大学時代、元・東急7200系「丸窓電車」のために別所線を訪れた経験があったので、当時テレビを見て愕然としました。
でも、だからこそ現地の状況を一度は目で見て知りたい!

上田電鉄別所線の千曲川橋梁で現在進められている工事の様子をほんの少しですが見てきました。

【2021/4/3追記】全線復旧しました!



元東急の電車が真田ゆかりの地を行く

別所線は、真田十勇士と縁の深い上田から、信州の鎌倉こと別所温泉までの11.6kmを結ぶ路線です。
前述の通り、上田駅から最初に通る城下駅までは雄大な千曲川に架かる長い橋を渡り、撮影の名スポットにもなっています。

運行している車両はどれも東急電鉄で活躍した車両。
2014年、大学時代の夏休みに初めて別所線を訪れた時、最初で最後に7200系「丸窓電車」に乗ることができました。
その時はもちろん電車に乗りながら橋を渡りましたよ。

しかし昨年、その橋は台風の被害を受けて崩れ落ちてしまいました。

画像:写真AC

しばらく乗れなかった間にこんなことになってしまうとは…。
テレビの前に言葉が出ませんでした。

では、2020年12月現在の状況はどうなっているのか…。

6年ぶりの信州上田

ということで6年ぶりに上田の駅に降り立ちました。
お城口温泉口がありますが、別所線の線路が伸びるのは温泉口で、千曲川もそちら側です。

駅前からまっすぐ進むとすぐに千曲川の堤防に突き当たるので、上がってみましょう。

崩れた橋梁は支保工で支えている

すると川の対岸(城下側)でクレーンが作業中でして、いかにも工事中という様子が遠くからでもわかります。

被災した城下側の橋梁は架け直され、支保工が組まれている状態でした。
また、城下側の欠損した部分の堤防では護岸工事が行われたようで、真っ白な護岸が上田側からもよく分かります。

上田側の、高架が地上に降り切った部分には踏切がありますが、電車が通らないので常時開きっぱなし。
鳴らない踏切に哀愁すら感じてしまいますが、また電車が走る日々は来年戻ってくるはず。
地元民じゃなくて恐縮ですが、その時を信じて待つのみです。

巨石水制を工事中

隣接する上田橋で工事中に関する看板を読んだところ、河岸に巨石を組み、そのすき間に小さな石を敷き詰める「巨石水制」というものを建設しているようでした。
後で調べたら、これがある事で洪水時に水の勢いを弱めることができるとか。

形の不揃いな巨石を見事組み合わせ、平らな面を形成していたところがすごい!

一方、橋梁の上田側には、さしたる問題は今のところありません。
川の流れはこちら側に寄っていますが、穏やかな水流に戻っています。

運休区間はバス代行

2020年12月現在、上田~城下間はバス代行になっています。
バスから電車に乗り継ぐ人、またその逆とも、混雑していない程度には人数がいたので、代行バスの重要性の高さを思い知りました。

なお、本来鉄道で運行する区間を代わりにバスに走ってもらうので、代行バス乗車には鉄道運賃を支払う必要があります。

国土交通省のウェブ公開資料を読んだところ、2019年10月13日より上田市諏訪形地区(別所線の線路が通る地区)の堤防欠損箇所の緊急復旧工事に着手し、11月3日に完了したとのこと。
それからも作業が進められ、2020年6月22日に諏訪形地区の護岸復旧工事の完了が発表されました。

つまりわたしが上田を訪れた時には、すでに護岸工事は完了していたわけですね。

最後に上田電鉄の公式サイトによると、千曲川の出水期となる10月までは工事が中断されていましたが、渇水期に入る11月から工事が再開され、別所線全線の運転再開は2021年3月28日を予定しているそうです。

さて、ここでのわたしは報道関係者でも工事関係者でもない一般男性ですので、これ以上写真を撮ってネットに上げまくるのは良くない。

工事に携わるすべての関係者にそっと「がんばれ!!」って思いながら、千曲川橋梁を後にします。

電車区間で元東急車に再開

2020年12月現在、城下~別所温泉間は通常通り電車による運行です。
元・東急電鉄1000系の、1000系6000系「さなだどりーむ号」が上田の町から塩田平へと走る!

朝のみ下之郷止まりの電車もありますが、それ以降は終日2編成の電車がひたすら往復する模様。
今回は1000系のノーマルカラーと「自然と友だち1号」が運用に就いていました。

市街地から温泉街へ急カーブとともに

乗ってて思ったのですが、別所線は急カーブが多いです。
「キィィィィ」とフランジの音を立ててキッツイ曲線を徐行しつつ単線をコトコト走る姿には、東急時代には無かった面白さを見出せると思います。

終点の別所温泉駅は、その名の通りの温泉街!
駅前に日帰り温泉お土産ショップがあったりと、日帰りでも楽しめる施設がありました。

もちろん宿泊で来ても存分に温泉を満喫できそうです。

駅から坂を上って徒歩10分程度のところには足湯もあります。
ガッツリ温泉に浸かるんじゃなくて、ほんの一息だけつきたいって時は足湯もアリですよね!

たまたま話をした地元のおばちゃんからも「またゆっくりおいで~」って暖かい言葉をもらいましたので、今度はゆっくり温泉に入りたいものです。

さいごに

今回は上田電鉄別所線の千曲川橋梁の現況を知りたくて、上田まですっ飛んできました。

欠損した護岸の工事は完成し、橋梁には支保工が組まれていました。
さらに今回見た限りでは、橋梁の復旧作業に加えて巨石水制の整備も進められていることがよく分かりました。

念のためもっかい言っときますが、
写真は全て立ち入り禁止区域に入らないで撮影しています。
短い時間でしたが工事の現況を知り、さらに別所線が確かに地域の足になっていることを6年ぶりに再確認できました。

がんばれ別所線!
がんばれ工事関係者の方々!

全線復旧したあかつきには、また上田を訪れたいと思います。

長くなりましたが今回はここまで!
長時間のおつき合いありがとうございました。