今回もNゲージ鉄道模型の動力車を見ていきます。

先日のマイクロエース・国鉄151系特急「こだま」を皮切りに、買ってから時間が経っていたり、よく走らせる車両の点検をやっていました。
その中で、KATOより発売の「京急電鉄230形 大師線」を見ていたところ、動力台車のギアボックスから見える歯車に、何かが付着しているのが見えました。

これはおそらく、メーカーの製造時に塗られていたグリスかと思いますが、かなり多めにグリスが塗布されていたことが気になったので、自力でオイルを差し替えたくなりました。

今回はKATOの動力車(動力台車)を自力でメンテナンスする方法を紹介します!
本来の状況としては、車輪や線路を清掃しても車両が動かないという場合に参考にしていただければと思います。

※鉄道模型の動力を自力で分解することは、基本的に自己責任でお願いします



KATOから発売、赤い名車

というわけでこちらがKATOの京急230形!
ホビーセンターカトー前と、京急電鉄本社ビル1階・京急ミュージアムに静態保存されているあの赤い電車がこれです!

今年の2月に発売されたばかりで、発売時に購入レビューと、急行標識灯を点灯させるミニ加工を行いましたので、そちらもよかったら。

先述の通りたまたま動力車の動きを見ていたところ、動力台車の裏側、ギアボックスのギアが見える穴から、何かがギアに付着しているのが見えました。
なので今回は、動力台車のみ分解します。

他社とは異なる動力ユニットの構造

とりあえず車体と床下を分解するところからスタート。
いつものように車体と床下のすき間を少し広げ、爪が「カッ」と外れるポイントを探ります。

室内灯を取り付けている場合は、ライトユニット・プリズムとも必ず最初に外しておいてください。

KATOの京急230形は片軸駆動のため、連結面側のみが動力台車で、運転台側は通常の台車です。

一応、座席パーツも外してみます。
左右4ヶ所ずつ留まっている爪を、マイナスドライバーでずらして開けましょう。
本当はちゃんと4ヶ所爪があるんですが、前に左右1ヶ所ずつ折ってしまいました。
くれぐれも気を付けてくださいね。

座席を外すと一番上に組み込まれているのはライトユニット。
この時点では見にくいけど、その下に集電板があって、モーターや動力台車と続きます。

TOMIXやマイクロエースの動力ユニットとは構造が違いますね。
「どこが?」って思った場合は151系の記事を見ていただければ。

モーターカバーも外してみましょう。
マイクロエースと違って外側から爪で留まっているので、これもマイナスドライバーで外します。

モーターの隣に金属のリング(フライホイール)が取り付けられており、それと動力台車のウォームギアがシャフトで繋がっているのが分かりますね。

ちょうど良い嵌まり方でも無理なく外そう

では、動力台車を外します。
台車の一番上に取り付ける、円形パーツの爪が、側面の穴からみえますね。

台車の片側に力をかけ、動力台車を外してください。
その際、動力台車を取り付けている床板パーツが外れないように、床板を押さえながら動力台車を引き下げると良いかも。
KATOの京急230形は緩すぎず硬すぎずのちょうど良い塩梅でパーツが噛み合ってくれています。

外した動力台車を上から見てみると、若干顔を出している台車集電パーツの内側に、ギアボックスの爪があります。
マイナスドライバーでギアボックスの爪を内側に向かって押し下げれば、台車とギアボックスを分解できますよ。

ギアボックスと台車を分けることができたので両者を見てみますが、なんだこれは…。
正体はグリスだと思いますが、結構鮮やかな黄色のグリスなので見た目が気になってしまった。
それがギアだけでなく可動部でないギアボックス自体にも付着しており、正直ちょっと塗り過ぎでは?と思ってしまいました。

分解した後の台車には車輪が残っていますので、台車集電パーツごと台車から引き抜いて分解しましょう。

動力台車を全て分解するとこんな感じ。
ギアボックスのギアが分解しきれていませんが、外せなかったので、大事をとってこのままメンテナンスします。

可動部だけでなく、可動部を覆っている部分にも大量のグリスが見えました。
購入からギリギリ1年経っていないほど新しいので、本来は今日やるメンテナンスは必要ないと思います。
しかしグリスがたっぷり塗られていたので、何年か経ってグリスが劣化した場合に、ギアの動きを阻害してしまう可能性を危惧しました。

ので、べったりしすぎたグリスを取り除き、ユニクリーンオイルに差し替えたいと思います。



綿棒とティッシュでお掃除モード

やることはマイクロの「こだま」やTOMIXの南部縦貫鉄道とほぼ変わりません。

綿棒ティッシュの類を用意!
レールクリーナー(または無水エタノール)を綿棒やティッシュ類に付け、古いグリスを徹底的に拭き取ります。
車輪の踏面は全部、1周きちんとレールクリーナー綿棒を通してやりましょう。

台車集電パーツに関しては、レールクリーナー綿棒で車輪の軸受け部分を拭き取り、黒い汚れを取り除きます。
走らせていくにつれて集電パーツの軸受けは汚れていくので、気が付いた時にレールクリーナー綿棒でお手入れしてあげてください。

ウォームギアにはらせん状の歯がついています。
無理に力を入れず、歯や溝の流れを感じながら綿棒やティッシュを沿わせ、油汚れを取り除きましょう。
半透明のワッシャー(?)は意外と取れやすいので絶対なくさないように!

今回KATOのギアボックスは分解していないため、ボックス内の余分なグリスが取り除ければ良しとします。

ウォームギアから順に組み立て

一通り各パーツの清掃が終わったら、それらを元に戻していきます。
しかしKATOの動力台車は他社と異なり、ウォームギアも一体的に組み込む構造になっています。

なので裏返しにした台車にウォームギアを先に取り付け、その上で車輪と集電パーツを組み込んでください。
車輪はトラクションタイヤ(ゴム付き)なので、ゴムが前後の台車で点対称になるようにセットすべし!

そしたら裏からギアボックスをはめ込みます。
車体側に出た爪が集電パーツと並び無理なくはめ込まれているか必ず確認しましょう。

この時点で全てきちんと噛み合っていれば、細長いシャフトを手で回すと車輪が回転するようになっています。

シャフトを手で回せるこのタイミング、もしくは動力台車を組み直した後に、必ずユニクリーンオイルを差しておいてください。
ギアボックス裏側の歯車が見える穴1ヶ所に1滴ずつ、ごく少量のオイルを垂らせば、後で車輪が回った時に全体に馴染んでいきますよ。

ユニクリーンオイルではなくタミヤ等のグリスを使用する場合は、動力台車組み立て前に適量を塗っておきましょう。

シャフト取付時は噛み合わせに注意

最後に、動力台車を床板に嵌め直しましょう。
フライホイールにシャフトを取り付ける穴が開いているので、まずシャフトをフライホイールに嵌め込み、その次に動力台車上部の爪を床板に差し込んでください。

シャフトの先端には小さな突起があるため、適当にぶち込むと正しく入りません。
シャフトかフライホイールを少しずつ回転させ、無理なく噛み合う箇所を探しましょう。
ちゃんと噛み合えばすんなり嵌まります。

この後に床下機器や座席パーツも嵌め直し、室内灯も元に戻して車体をかぶせれば、再組み立て終了!

今回は片軸駆動の動力だったので動力台車が1個で済みましたが、両軸駆動の場合は同じ作業をもう1回やることになります。
面倒臭がらずに、しっかり汚れや古いグリスを除去して中からきれいにしてあげてください。

さいごに

今回はKATO「京急電鉄230形 大師線」の動力車のうち、動力台車を分解・清掃し、新たにユニクリーンオイルを滴下してメンテナンスを行いました。

正直、買ってからまだ1年経ってないので本当はやらなくても良かったのですが、デフォルトの黄色いグリスが妙に気になったため、潤滑剤をユニクリーンオイルに差し替えてしまいました。

後日この230形は至極快調に走ってくれたので問題ありませんが、基本的には動きが悪くなってきた頃合いを見計らってメンテナンスしてあげてください。

また、自力でNゲージの動力を分解・清掃するのは基本的に自己責任と考え、心配ならば購入店やメーカーに相談・修理依頼をするほうが的確です。
無理して分解して直せなくなってしまったら本末転倒ですからね。

慣れるまでは大変かもしれませんが、動力構造や動力・電気の流れ方を理解し、知識・技術を正しく、謙虚に学ぶ姿勢があれば、おのずと鉄道模型への愛情は深まるはずです。
そのヒントとして今日のメンテナンス話が参考になればうれしいです。

今回はここまで!
ありがとうございました!