レールバスなるものをご存知でしょうか?
文字通りレールの上を走る、バスみたいな鉄道のことです。

Nゲージ鉄道模型においてレールバスは主にTOMIXから発売されており、何年か前に、私は南部縦貫鉄道キハ10形レールバスを中古で購入しました。
2両セットかつ、両方に動力が搭載されているので、これ1つ買うだけでレールバス同士の重連や行き違いを楽しむことができちゃう代物です。

しかし購入時から年月が経っており、さすがに動きが悪くなってきたところ。
そこで今回は、TOMIXから発売された南部縦貫鉄道キハ10形レールバスを例に、Nゲージ鉄道模型の2軸車両(動力車)のメンテナンスをやりたいと思います!

4軸車輪のNゲージの動力車に関しては、マイクロエースの国鉄151系を例にメンテナンスの様子をブログ化しましたのでそちらをご覧ください。




平成初期まで走った七戸のレールバス

というわけで、こちらがTOMIXから発売の南部縦貫鉄道・キハ10形レールバス!
通常の車両1両分のプラスチックケースに2両入っており、実車も2両だけの存在なので、これ一つ買うだけで南部縦貫のレールバスは揃います

カラーリングは、上半分がクリーム色で下半分が朱色、その境目に白いラインをあしらっています。
なんとなく京成電鉄3300形が思い浮かぶ色合いですねぇ。

見ての通り小型車両の中の小型車両で、車長はなんと約10m
現代の車両とは大幅に異なり、2軸の車輪と、機械式変速装置で走行していました。
バスと同じようにクラッチペダルを踏んでシフトレバーを動かしてギアを入れ替えていたそうです。

バスの部品を多用して製造されたため、正真正銘「レールバス」という言葉が似合いそうですね。

101号・102号とも車体は同じなので、違うのはナンバーくらいでしょう。
行き先サボは「野辺地 – 七戸」が印刷済みです。
ちなみに片側の側面には排気管があるため、窓の幅が若干狭くなっています。

このサイズでヘッドライト・テールライトとも点灯し、常点灯にも対応
車体が軽いので線路の状態によっては引っかかるところがありますが、それでも十分すぎる性能を有しています。

実物の路線は廃線になっていますが、南部縦貫鉄道線は1997(平成9)年まで、JR東北本線(現・青い森鉄道線)の野辺地駅から七戸駅まで20,9kmを結んでいました。
1997年に営業休止となり、正式な廃線は2002(平成14)年のこと。
しかし廃線後も旧七戸駅構内は残っておりキハ101号・102号とも、キハ104号(国鉄キハ10形気動車の譲渡車)とともに動態保存されているようです。

ちなみに東北新幹線の七戸十和田駅は、旧七戸駅から3kmほど離れた場所に位置しています。
七戸駅の2つ手前、営農大学校前駅のほうが近いらしいですよ。

上から順に動力を分解

私、この車両は何年か前に中古で購入しました。
何度か再生産されているものの新品在庫はもうない(2021年12月時点)と思いますが、中古品で時々見かけることがあります。

しかし、中古で買ってから結構時間が経っているので、最後に走らせた時には走行が安定しませんでした。
2両入っているうち、101号を撮影しながらメンテナンスします!

まぁまずは車体を取り外しましょう。
乗降ドアの足元の黒いステップや、車体と床板のすき間がとっかかりになりますね。
無理に力を加えず爪が「カッ」と外れるポイントを探って外しましょう。

床下が外れるといきなりライト基盤がむき出しになりますが、南部縦貫はこれで正解。
ライト基盤から下の部分が床下側として外れ、カバー(座席パーツ?)やテールライトプリズムが車体側に残ります。
カバーの上にはウェイトを置くことができますが、その工程はのちほど。

したら外れた床下パーツを順番に分解していきます。
最初はライト基盤。
4ヶ所の爪で留まっているので、マイナスドライバーで爪を一つずつずらしながら基盤を押し上げて取り外しましょう。
最初に見えていた面の反対側に集電部分があり、ここからチップLEDに電気が流れます。

その次は集電板を外します。
差し込まれている部分の先端が折れ曲がっているので、ピンセットでつまんで折れ曲がりを感じながら引っ張り出しましょう。
その折れ曲がった先端部はおそらくモーターの集電部分に接していると思われます。

続いてモーターカバーの取り外し。
左右の4ヶ所が爪で固定されているので、マイナスドライバーで端から順番に外していきます。
M社の動力車の座席カバーほどは硬くないけど、それでも爪を折らないように少しずつこじってみましょう。

モーターカバーを外した後にウェイトとモーターが外せるようになります。

モーターには直接ウォームギアが繋がれており、そのウォームギアはウェイトに覆われているので、先にウェイトを取り外さねばなりません。
といってもモーターカバーを外した後は固定するものが無くなるので、ピンセットで簡単に取り外しできます。
その後にモーター・ウォームギアを外しましょう。

ここまで分解してようやく車輪と台車集電パーツが外せるようになります。
床下のパーツを全て分解した様子がこちら。

4軸の車両に比べてパッと見単純構造のように見えますが、電気の流れ方と動力伝達の方法は全く同じ。
車輪から受けた電気台車集電パーツから集電板に流れライトを点灯させ、モーターを回転させます。
モーターが回転すれば繋がれているウォームギアも回転し、輪軸のギアに動力を伝達
そして車両が動き出すわけです。

今回もこれら電気や動力の通り道をきれいに掃除していきましょう。

部品を一つ一つ清掃!

さぁ、Nゲージの南部縦貫鉄道キハ101号に本格的にお手入れします。

レールクリーナー(無水エタノールもOK)綿棒ティッシュ・キムワイプ・ウェス・ショップタオルなどのいずれかを用意します。
レールクリーナーに綿棒などを浸し、車輪の踏面、台車集電パーツの軸受け部分ウォームギアなど、ありとあらゆるパーツから汚れや古い油(グリス)できる限り全て拭き取ってください。

今回も軸受け部分には黒い汚れが溜まっており、古いグリスは黒みがかった黄色で綿棒やティッシュに付いてきました。
これらを溜めてしまうと集電不良や、ギアがうまく動かないなどの不調の原因となります。

また、取り外したウェイトの裏側を見たところ、ウォームギアを覆っていた部分に油汚れを発見。
いろいろパーツを点検して、汚れや古グリスが残っている部分は全てきれいに掃除してしまいましょう。

台車集電パーツに関しては、軸受け部分の清掃ができたらタミヤ接点グリスを少量差しておくと良いですよ。
下の画像は爪楊枝にたっぷり取っていますが、これを軸受け一つ一つに塗り分けていくところ。
つけすぎたと思ったら後で調節しましょう。

集電板が台車集電パーツやライト基盤と接する点、ライト基盤の中央4ヶ所の接点はクリーナー綿棒で軽く拭いておきましょう。




分解と逆の順に組み立て

分解したパーツ全ての清掃ができたら、今度は車輪と集電パーツから順番に動力を組み直していきます。

ボギー台車と異なり、車輪両端の軸に集電パーツを当て、まっすぐ下に降ろして集電パーツごと車輪を嵌めます。
これも結構てこずる作業ですが根気よく頑張りましょう。
ボギー台車の時よりは幾分か楽ですので!

したらモーター・ウォームギア、モーターカバー、集電板と戻します。
集電板を差し込む前に、台車集電パーツの丸く突き出た部分にも接点グリスをごく少量付けておくと良いでしょう。

ライト基盤をはめ込み、車体をかぶせれば、メンテナンスは終わり!

動力を組み終わった後、台車の裏のギアが見える穴に1ヶ所1滴ずつユニクリーンオイルを差しておくと潤滑化ギアパーツ保護につながります。

ウェイトを使いたいとき

TOMIX「南部縦貫鉄道キハ10形レールバス」には、補助ウェイトも同梱しています。
そこで補足として、ウェイトを組み込み方をお見せしておきます。

動力ユニットを外してた後の車体を見てください。
まずテールライトプリズムをピンセットで外しましょう。

プリズムがなくなれば座席パーツを外すことができるので、空いている穴にマイナスドライバーを通し、カバーの4ヶ所の爪を外してください。

これでウェイトを積むことができます。
こうすることで他の車両を連結する場合にレールバスのけん引力を上げることができます。

とはいえレールバスの単行程度なら、今回みたく動力状態を整えれば十分です。
またウェイトを搭載することで客室部がシースルーでなくなってしまうので、よほど他車とのけん引で困ることが無ければウェイトは使わなくても良いんじゃないでしょうか。

小型レールバスが復活!

さて、メンテナンスも終わったことですし南部縦貫鉄道レールバスをレールに乗せましょう。
こうして見ると本当にこぢんまりしていますよね。
その小ささゆえ、スーパーミニカーブ・C103も通過できます(その場合は単行のみ)!

そして、メンテナンスを施した甲斐あって動力状態が改善しました。
ヘッドライト・テールライトの点灯具合も大幅に向上
元々ちょっと暗いですが、それでも全然チラつかずに光ってくれるようになりました。

車重の軽さや線路の状態・相性もあってか、もともと少々引っかかりがありましたが、それをふまえてもメンテナンスの効果はあったと言って間違いないでしょう。
何度か動かすうちにユニクリーンオイルも馴染んでいくので、補助ウェイトを積まなくても安定して走ってくれるようになります。

実車であったかどうか分かりませんが、キハ101号・102号同士での重連もできます。

単行でも小さくてむしろ存在感のあったレールバスをもう1両繋いだら、可愛さは維持しつつも迫力が増したような気がしませんか?

これをやる場合は101号・102号で動力状態に差が出ると良くないので、手間はかかりますが両方の個体を手入れしてやってください。
私はキハ102号は撮影外でメンテナンスし、そちらもなんとかなりました。

この製品1つ買うだけで、レールバス同士でのすれ違いや重連が楽しめちゃう上に、ミニレイアウトとしてもおすすめの、南部縦貫鉄道のキハ10形レールバス。
中古ショップで見つけたらぜひとも手に取ってみて、そしてお手入れをしてみてはいかがでしょうか。

さいごに

今回は、TOMIXから発売「南部縦貫鉄道キハ10形レールバス」のうち、キハ101号にメンテナンスを行いました。

やることは先日のマイクロエース・国鉄151系特急「こだま」と変わりません。
動力ユニットを分解して、汚れや古グリスをきれいに掃除して、接点グリスやユニクリーンオイルを差しながら組み直していく流れです。

その実践で撮影した車両がレールバスというのは、需要がだいぶニッチな気がします(笑)
が、大事なのはお手入れの重要性と、動力の構造や動力・電気の流れ方を理解し鉄道模型にさらに愛着を持って楽しむこと。

2軸の車両も、製品次第で細かな違いはあれど、全体的な構造は今日の南部縦貫と変わらないはずなので、参考になれば嬉しいです。

今回はここまで!
ありがとうございました。