2021年3月に定期運用を離脱してからも、JR東日本首都圏エリアの臨時列車を中心に、国鉄特急形車両185系は活躍を続けています。
しかしもう2024年ということで、臨時列車への充当機会もだんだん減ってしまい、2024年秋の臨時列車予定表には「185系」の記載がありませんでした。

そんな中、2024年10月5日、旅行会社・クラブツーリズム鉄道部が主催する団体臨時列車として、185系が運行しました。
行き先はなんと静岡
しかも、「新幹線リレー号」カラーのC1編成が東海道本線のJR東海区間に入線!

これを逃せば次はないと見て、私ケンヤも東海道本線静岡エリアで185系を撮影してきました。
今回は、簡単にその時の様子をお伝えいたします。

※ケンヤは今回のツアー列車に乗車していません。乗車した人の感想が見たい場合は、大変恐れ入りますが他をあたってください



首都圏最後の国鉄特急形車両

特急形車両185系は1981(昭和56)年に登場し、特急「踊り子」や朝夕の「湘南ライナー」などで運行していました。
緑のラインが斜めに入ったストライプ塗装で、当時の他系列とは大きく異なる外観を有していました。
車内も国鉄のフォントや、指定席・自由席表示のプレートMT54形モーターと抵抗制御サウンドなど、今こそ貴重になった国鉄型の要素で多くのファンの人気を呼んでいます。

1982(昭和57)年には、寒地向けの個体として200番台も登場。
東北新幹線大宮~盛岡間暫定開業時、在来線区間の上野~大宮間を走行して新幹線に接続した「新幹線リレー号」で運行していました。
「新幹線リレー号」の役目を終えた後は、「あかぎ」「草津」「なすの」などに使用されました。
神奈川県民的には「はまかいじ」もありましたよね。

当初、185系は特急列車だけでなく、普通列車としても使用できるように設計されました。
ドアは片側2ドア、座席は転換クロスシート。
特急らしいリクライニングシートに更新されたのはJR化後だったそう。
実際に普通列車として運行することもありました。

後継車両への置き換えによって少しずつ運用を外れ、最後は「踊り子」「湘南ライナー」で残ったものの、2021年3月ダイヤ改正で定期運用から撤退しました。

完全引退というわけではなく、B6編成C1編成がそれぞれ6両編成で残り、JR東日本首都圏エリアの臨時列車や、有料撮影会のモデルとして引き続き活躍を続けています。
B6編成は200番台で緑ストライプ、C1編成は0番台で「新幹線リレー号」カラーになっています。
後者は前面下部にタイフォンカバーが増設されました(B6編成には元からある)。

しかし、直近の動向を見ていると表に出ているのはC1編成のみ。
今後の動向が気になります。

旅行会社の大人気鉄道ツアー

旅行会社のクラブツーリズムでは、鉄道に特化した人気ツアー商品を多数打ち出している、クラブツーリズム鉄道部という部門があります。

ファンに人気の車両を貸し切って、首都圏の貨物線を周遊する「貨物線ツアー」。
今は山陽新幹線「こだま」専用になった500系新幹線で、何年ぶりかの通過運転
などなど、「時刻表に載らないツアー」を軸に鉄道ファン精神をグッと唸らせるツアーを運営しています。

静岡までの185系運行もクラツー鉄道部企画によるものです。
その名も「またまた実現 185系で行く 品川⇔静岡 日帰りの旅」!
名前の通り、品川駅から静岡駅までの往路、静岡駅から品川駅への復路ともに、185系に乗って楽しむツアーとなっていました。

「またまた」ということは…、前回がありました。
前回は7月27日に開催「ついに実現!185系で行く 品川⇔沼津 日帰りツアー」です。
緑ストライプのB6編成がツアー列車に使用されました。

静岡までのツアーに私は参加していませんが、沼津までのツアーは「マイナビニュース 鉄道カテゴリ」として同行取材させていただきました。
本稿末尾にリンクを付けておきますので、当時の雰囲気をぜひ知ってください。

とにかく、3年ぶりの東海区間乗り入れを7月に成し遂げた185系が、今月はなんと沼津~静岡間に入線!
しかし185系の臨時列車がない今、同車がJR東海区間に入る機会はこれが最後になるかもしれません。



あの塗装を有名ポイントで

ということで、10月5日、沿道から撮影すべく私も静岡県に行ってきました!

往路の185系は、品川駅を8時50分に発車し、東田子の浦駅でドア開放を挟みつつ、静岡駅には12時15分に到着。
当日はあいにくすぎる天気模様でしたが、無事にツアー列車が運行されました。

これを私は、由比~興津間・興津川橋梁にて撮影しました。
興津川橋梁は、東海道本線静岡エリアの定番として有名な撮影スポットです。

実際に撮影当日も、川沿いには大変多くの撮影者が集結しました。
それが容易に予想されたのか、離れた位置で静岡県警が監視していたほど。
私が興津川橋梁前に到着した時点ですでにかなりの人数がいて、定番立ち位置には入れなかったため、少しずれた歩道上にスタンバイ。

11時57分頃、由比方から「ピィィィィ!」と警笛が鳴り響き、いよいよ185系が興津川橋梁を通過!
なんと、「新幹線リレー号」カラーのC1編成が来ました!

この30分くらい前まで雨が降っていましたが、ツアー列車通過時には止んでおり、なんとか雨にやられることなく写真は収まりました。
7月の沼津行きツアーも含め、185系がJR東海区間の三島~静岡間へ乗り入れるのは、夜行列車「ムーンライトながら」が2021年1月に正式廃止となってから約3年半ぶりです。

大雨をかき分け東に進む品川行き

ツアーの復路は静岡駅を14時57分に発車し、品川駅には18時2分着。
原駅でドア開放が行われます。
静岡駅周辺で参加者各自の自由時間が設けられた後、お昼過ぎに同駅を発つ行程となっていました。

復路のツアー列車を私は富士川駅付近で撮影しましたが、往路撮影時に止んでいた雨が激化し、185系を待っている間に凄まじい大雨に。
雨の勢い衰えることなく、ツアー列車は富士川駅付近を15時21分に通過。
「新幹線リレー号」カラーの185系は大雨をかき分け、東に走り去っていきました。

後で調べたところ、ドア開放する原駅で普通列車を待避していたそうですね。
通常の営業列車を先に通した上で他の駅を通過・運転停車というのも珍しい機会だったと思います。

ちなみに、あの豪雨は私が富士川駅に戻った16時前後にだんだん弱まっていきました。
たぶん、ツアー列車が神奈川県に入って以降の天気模様はいくらかマシだったんじゃないかな。

2024年10月時点の情報は

ツアー参加者はもちろんでしょうし、沿道の撮影者的にも大変貴重な機会となった、185系「新幹線リレー号」カラー(C1編成)の熱海~静岡間乗り入れ。
天候に振り回されたとはいえ、私もそれなりに楽しく撮影・街歩きさせてもらいました。

2024年10月時点で判明している185系の運転計画は、10月19日に吾妻線万座・鹿沢口駅で開催予定「吾妻線EXPO×つまごいきゃべつふぇすた!」にあわせ、団体臨時列車として吾妻線へ。
11月10日には、ツアー商品「東海道線を駆け抜けた往年の列車」(主催:JR東日本びゅうツーリズム&セールス、現在キャンセル待ち)が品川~小田原間で運行予定とのこと。
前日の9日には、185系C1編成E257系2000番台・5000番台E261系「サフィール踊り子」を並べた早朝撮影会が東大宮操車場で開催されるそうです。

しかし、それ以外で発表されている計画は今のところありません。
JR東日本公式サイトに掲載されている秋の臨時列車予定表を見ても、使用車両欄に185系の記載がありませんでした。
公式から情報が出なければ何とも言えませんが、臨時列車・各種イベントで変わらず活躍してきたとはいえ、185系が本当に役目を終える時はすぐそばまで近づいているのでしょう。

乗れるうちに乗っておく、撮れる時に撮っておく。
185系を見ているとそれを強く再認識させられます。



さいごに

今回は、クラブツーリズム鉄道部が10月5日に開催した「またまた実現 185系で行く 品川⇔静岡 日帰りの旅」の185系C1編成を、静岡県内で撮ってきたお話でした。
天候に振り回されましたが撮らないよりは撮って良かった。

7月27日開催の品川・沼津間往復ツアーに続き、185系が今度は沼津~静岡間にも約3年半ぶりに入線!
沿線にも多くの鉄道ファンが待っており、なんなら駅の清掃員さんにも知れていたほどでした。
それが緑ストライプでなく「新幹線リレー号」カラーだったことで、いっそう貴重な機会に立ち会えたのではないでしょうか。

今回は沿線からの撮影とお見送りだけでしたが、7月には品川~沼津間日帰りツアー(B6編成)、昨年7月には広島電鉄・銚子電鉄100周年バトンリレー(C1編成)の同行取材も担当したため、両方の185系に取材で携わることもできました。
このあとリンクを貼りますのでそちらもぜひご覧ください。

ということで今回はここまで!
ありがとうございました!

参考

クラブツーリズム公式サイト クラブログ
2020年12月23日 クラブツーリズム鉄道部のご紹介
クラブツーリズム鉄道部公式X

JR東日本公式サイト ニュースリリース(PDF)
2024年10月10日 サフィール踊り子号と新旧踊り子号(185系、E257系2000代/5000代)を並べた秋の早朝撮影会を東大宮操車場にて開催します!
2024年9月30日 「吾妻線EXPO×つまごいきゃべつふぇすた!」を開催します!

JR東日本びゅうツーリズム&セールス「日本の旅、鉄道の旅」
【ネット限定】東海道線を駆け抜けた往年の列車

関連実績

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