【2024/9/10 本年版発売に合わせて大幅更新しました】
JRグループは、毎年10月14日が鉄道の日であることにちなみ、旅を楽しむためのおトクなきっぷ「秋の乗り放題パス」を例年発売しています。
2024年も「秋の乗り放題パス」の発売が発表されました!
価格は大人7,850円・子ども3,920円。
発売期間は9月13日から10月18日まで。
これを利用可能な期間は10月5日から10月20日までの連続する3日間です。
春・夏・冬休みの定番「青春18きっぷ」に似ていますが、それとは違うところもあります。
2024年3月16日ダイヤ改正で北陸新幹線が金沢~敦賀間延伸を果たしたことで、第三セクター通過利用特例にも変更が加わっています。
本稿ではそれらもふまえて、「秋の乗り放題パス」の使い方を解説します。
もくじ
連続3日間で普通列車乗り放題
改めまして「秋の乗り放題パス」は、鉄道の日の前後を利用期間として例年9~10月に発売される企画乗車券です。
2024年版の発売期間は9月13日~10月18日。
利用可能期間は10月5~20日までの連続する3日間です。
価格は大人7,850円・子ども3,920円。
全国のJRの主な駅や、JR旅行センターおよび主要旅行会社にて購入可能です。
駅の自動券売機での買い方だと、紫色の指定席券売機で「おトクなきっぷ」「フリーパスタイプ」「秋の乗り放題パス」の順にボタンを押して行けば精算できるはずです。
発券すると、「秋の乗り放題パス」本体と説明書が発券されます。
3日間使い終わるまでは捨てずに持っていましょう。
大型連休に発売される「青春18きっぷ」と同じように、日本全国のJR線普通列車・快速列車の普通車自由席や、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーを自由に乗り降りできます。
宮島では、宮島訪問税100円が別途必要になります。
普通・快速列車の普通車指定席と首都圏近郊の普通列車グリーン車(グリーン車自由席)には、別途追加料金を支払うことで乗車できます。
また、別途ライナー券を購入すれば「ホームライナー」にも乗れます。
朝夕の東海道本線静岡地区などを楽に移動できますよね!
特急やグリーン指定席はNG
一方で、在来線特急列車と新幹線には、後述する特例を除き乗車できません。
その場合は全乗車区間の乗車券と特急券を買わなければならないので、やむを得ない時以外は避けるほうが無難でしょう。
また、快速「マリンライナー」一部座席にあるようなグリーン車指定席も「秋の乗り放題パス」では乗れません。
この場合も全乗車区間の乗車券・グリーン車指定券が必要になります。
一例として、首都圏近郊から出発する場合、早朝の始発で東京駅・横浜駅を出られれば、その日のうちに大阪駅・神戸駅・姫路駅などにたどり着くことができます!
豊橋~大垣間および米原~大阪間では、追加料金不要・転換クロスシート完備の新快速に乗りましょう。
東京駅から大阪駅まで、在来線オンリーだとだいたい9~10時間ほどかかります。
青春18きっぷとの違い
しかしながら、「青春18きっぷ」とは似て非なるのが「秋の乗り放題パス」。
利用する上で気を付けなければならないことがいくつかあります。
乗り放題パスは一人1枚
「青春18きっぷ」の場合は、1枚のきっぷで5回分(一人1日で「1回」とカウント)の利用ができました。
これにより、一人で5日間「青春18きっぷ」を使うのも、2~5人一組で1日JR線を乗り回すのもできるようになっていました。
1枚の「青春18きっぷ」を複数人で利用する場合、常に同じ人数で行動しなければなりませんが。
しかし、「秋の乗り放題パス」は一人分のみ有効になります。
きっぷ1枚につき一人だけが3日間乗り降り自由になるので、1枚のきっぷを複数人で共有することはできません。
また、そうそういないとは思いますが、大人用の乗り放題パスを1枚購入し、それを子ども2人で利用するのもダメ!
「秋の乗り放題パス」を使って複数人で旅をする時は、必ず一人1枚、自分のきっぷを買っておくようにしましょう。
「青春18きっぷ」についてはこちらもご覧ください。
子ども料金の設定アリ
「秋の乗り放題パス」には子ども料金が設定されています。
前出の通り、大人7,850円・子ども3,920円です。
しかし「青春18きっぷ」は、大人・子どもに関係なく1枚(5回分)12,050円かかります。
有効期間が短いことと、一回使ったらそこから3日続けて利用しなければならないとはいえ、子ども用の値段が設定されているのは、特に家族旅行には嬉しいポイント!
自動改札機を通れる
「青春18きっぷ」は、その日の利用開始時に駅で押印してもらい、下車時にそれを降車駅の駅員(車内精算のワンマン列車では運転士)に見せる必要があるため、自動改札機は使えません。
これに対して、「秋の乗り放題パス」は自動改札機で入場・出場できます。
指定席券売機での購入時「自動改札機を通れます」と表示されるので覚えておきましょう。
車内精算ワンマン列車での扱いに関しては「青春18きっぷ」と同じだと思います。
窓口に寄る必要が無く、自分と近い位置の改札機にきっぷを通して入出場できるのは、「青春18きっぷ」との大きな違いですよね。
それでも何か心配なことがあれば、窓口で相談してみてください。
発券時に利用開始日を設定
「秋の乗り放題パス」は連続する3日間で有効ということで、発券時に利用開始日を指定する必要があります。
「青春18きっぷ」は有効期間中の好きなタイミングで利用できるので、発券時に利用日を指定しなくて良いのですが、「秋の乗り放題パス」ではそうはいきません。
発券時に利用日の1日目を決めて購入しなくてはなりません。
行き先にもよりますが、特に土休日は鉄道ファン以外の旅行者も多く、宿泊先の確保がしにくくなると予想されます。
「秋の乗り放題パス」で鉄道旅に出る場合は、できればきっぷ購入前に宿泊先を確保しておくと焦らなくて済むかもしれません。
私もこれまで、先にホテルを予約してから乗り放題パスを買っていました。
青春18きっぷと共通の注意
その他、利用上の注意事項は「青春18きっぷ」とほぼ共通しています。
公式のリリースを参考に、以下に書き出していきます。
第三セクターの通過利用
「秋の乗り放題パス」では基本的にJR線以外は乗れませんが、例外として、JR線に通過利用する場合に限り以下の第三セクターに乗車できます。
2024年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸にともない、第三セクター通過利用特例が一部変更されました。
- 青い森鉄道:青森~野辺地~八戸
- あいの風とやま鉄道:富山~高岡~倶利伽羅
- IRいしかわ鉄道:倶利伽羅~津幡
- ハピラインふくい:敦賀~越前花堂
青森駅、野辺地駅、八戸駅、高岡駅、富山駅、津幡駅、敦賀駅、越前花堂駅で途中下車ができます。
しかし、上記駅以外の第三セクター線内で降りた場合、全乗車区間の運賃を別途支払うことになります。
青い森鉄道を例にするなら、津軽線・奥羽本線から乗り換えて野辺地駅で途中下車、野辺地駅からJR大湊線に乗り継ぐ、八戸駅まで乗り通す、JR八戸線に乗り継ぐことはOK。
これらの状況では追加料金はかかりません。
しかし浅虫温泉駅で降りるのはNG。
青森~浅虫温泉間の運賃を別途支払うことになります。
また、青森駅・野辺地駅・八戸駅から青い森鉄道線に乗車する際も、JR線に入るまでの運賃を支払うことになります。
他の第三セクターも同様でしょう。
IGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道、北越急行、えちごトキめき鉄道、しなの鉄道、伊勢鉄道、京都丹後鉄道、智頭急行、土佐くろしお鉄道、肥薩おれんじ鉄道など、上記特例が適用されない他社線にはそもそも入れません。
別途その他社線の乗車券が必要になります。
ただし、JR線に乗り入れている他社線車両にJR線内のみで乗車することはできます。
常磐線各駅停車(小田急4000形・千代田線16000系が乗り入れ)や伊東線(伊豆急行8000系・3000系が乗り入れ)などであり得るパターンなので、越えちゃいけないライン()をちゃんと見ておきましょう。
乗り放題パスの期間ではないけど、JR伊東線内だけで伊豆急行8000系を満喫した過去記事もありますので、よかったらぜひ。
特急列車に乗れる特例
「秋の乗り放題パス」では特急列車には乗れませんが、特例として、以下の区間の相互発着に限り「秋の乗り放題パス」だけで特急列車の普通車指定席の空席(奥羽本線は普通車自由席)を利用できます。
- 奥羽本線:新青森~青森
- 石勝線:新夕張~新得
- 室蘭本線:東室蘭~室蘭
新青森~青森間では、全車指定席の快速列車の空席に乗車することもできます。
JR九州の以下の区間では、特急列車の普通車自由席に乗れます。
普通車指定席には指定席券が別途必要ですが、乗車券自体は「秋の乗り放題パス」でOK!
- 佐世保線:早岐~佐世保
- 宮崎空港線:宮崎~田吉~宮崎空港
ここまでの5路線全て、グリーン車は利用不可です。
万が一特例区間を越えて特急列車に乗ってしまった場合、全乗車区間(佐世保線・宮崎空港線は特例区間外)の運賃と特急料金が必要になりますのでご注意!
最終日に0時を過ぎた場合は
有効期間最終日(3日目)に翌日にまたがって乗車する(乗車中に午前0時をまわった)場合、乗っている列車が0時を過ぎて最初に停車する駅まで「秋の乗り放題パス」を使うことができます。
東海道本線の静岡県区間で例えて、静岡23時18分発の浜松行き(浜松0時27分着)に乗るとしましょう。
その場合、0時2分に到着する掛川駅まで「秋の乗り放題パス」が有効です。
東京・大阪の電車特定区間内では終電まで使えますよ。
とはいえ、万が一これほど遅い時間まで電車に乗らなければならない場合、宿泊予定のホテルや、駅まで迎えに来る家族には事前に連絡を入れましょう。
絶対に事前連絡しましょう。
家族が相手なら怒られるだけで済むかもしれませんが、ホテルの場合はドタキャンと見なされ、泊まらなくても宿泊料金を全額請求されます。
自分も相手も良い思いをしないこと間違いないので、予定の時間に遅れそうなら事情の説明を絶対に忘れずに!
本州・北海道間はオプション券で
本州・北海道間を鉄道で渡る場合、北海道新幹線しか使える手段がありません。
渡ったところで、並行在来線である木古内~五稜郭間は道南いさりび鉄道の管轄に。
そのための救済措置として「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」があります。
2024年版の発売期間は年9月13日から10月20日まで。
値段は大人2,940円・子ども1,240円。
全国のJRの主な駅や旅行センター、主要旅行会社で購入可能です。
これを「秋の乗り放題パス」と併用することで、北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間と道南いさりび鉄道(木古内~五稜郭)に、片道1回ずつのみ乗れるようになります。
この時、木古内駅・五稜郭駅でのみ下車が可能になりますが、北海道新幹線で木古内駅に着いた後、いさりび鉄道に続いて乗車することが条件となります。
北海道新幹線では普通車指定席の空席に座りましょう。
奥津軽いまべつ駅との在来線の乗換駅は、津軽線の津軽二股駅です。
津軽線で青森駅から北上し、蟹田駅で三厩行きに乗り換えてアクセスします。
が、蟹田~三厩間は上下線とも1日5本しかなく、新幹線との接続は良いとはいえないと思ってください。
北海道新幹線で奥津軽いまべつ~木古内間を越えたり、木古内駅と五稜郭駅以外で降りたりした場合は、新幹線または道南いさりび鉄道の全乗車区間の運賃・特急料金がかかるので注意してください。
過去2年間はどう使った?
最後にもう一つ、過去2年間の私が「秋の乗り放題パス」で旅行した過去記事も紹介させてください。
2022年秋は鉄道開業150周年ということで、本稿を公開しつつ、私は高山本線を旅してきました。
岐阜駅から富山駅まで、全長225.8kmを誇る、飛騨路の長大ローカル線です。
初日は横浜市内を始発で出て、要所要所で写真を撮りつつ、一気に高山駅まで。
2日目は高山市内で撮影もしていました。
そして3日目は、高山~富山間を乗り通しました!
2023年秋は、北陸新幹線金沢~敦賀間延伸直前ということで、湖西線・北陸本線を見てきました。
1日目は横浜市内を始発で出て、米原駅付近や、大津・大津京~山科間の有名な跨線橋で列車を撮影し、宿泊先のある近江今津駅へ。
2日目は、鉄道模型ジオラマの題材にしたくて、北小松~近江高島間にある白鬚神社を訪問しつつ、列車の撮影もしてきました。
降ったり止んだりの天候の急変化に振り回されました…。
そして3日目は、北陸本線(現ハピライン区間)の芦原温泉駅まで、撮影しながら途中駅を転々とし、芦原温泉駅から念願の特急「しらさぎ」に乗車!
いずれの旅行も、普通列車は全て「秋の乗り放題パス」で乗車しました。
乗り放題パスが使えない特急列車では、正規の乗車券・特急券をその都度購入していました。
「青春18きっぷ」と違って3日間連続で使用しなければなりませんが、行き先は自由自在!
ぜひ当ブログの過去記事も参考に、鉄道旅をお楽しみください。
さいごに
今回は「秋の乗り放題パス」のルール・使い方を詳しく見てきました。
発券時に指定した連続する3日間で、JR各線の普通・快速列車に乗り放題!
連続する3日間の利用、子ども用の設定あり、自動改札機を通れる。
それらの違いこそあるけど、基本的には「青春18きっぷ」に近い要領で活用できそうですね。
一部第三セクター区間、特急列車の一部区間に乗車可能な特例や北海道新幹線のオプション券もありますが、区間外乗車には十分注意しましょう。
今回はここまで!
ルールとマナーと安全を守って、鉄道旅を楽しみましょう。
ありがとうございました!
参考
JR西日本(JRグループ) 2022年9月6日
PDF 「秋の乗り放題パス」及び「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」の発売について