都内から日光・鬼怒川エリアへ、大手私鉄の東武鉄道が運行している特急に特急リバティという列車があります。
こいつは起点となる浅草駅から、伊勢崎線方面の「リバティりょうもう」、東武日光行きの「リバティけごん」、鬼怒川・会津方面の「リバティきぬ」「リバティ会津」に分かれているのですが、「リバティ会津」で鬼怒川温泉駅から北の区間のみを利用する場合に限り、特急券なしで乗ることができるんです!
逆に考えれば、特急券を買わずに乗れるのに、「見た目が明らかに特急電車だから…」と乗車をためらい、逃してしまう可能性があるかもしれない…。
それに加えて2022年3月12日のダイヤ改正により、特急リバティにも大きな変化が生じました。
2022年3月のダイヤ改正に合わせて、今回は東武鉄道から野岩鉄道・会津鉄道に直通する特急「リバティ会津」で、鬼怒川温泉以北で特急券を使わずに利用する方法を解説したいと思います。
この記事は2022年3月12日のダイヤ改正に伴い、掲載内容を一部変更しております。
もくじ
3+3で6両になる特急
改めまして、東武鉄道では浅草駅から発車する特急リバティが2017(平成29)年4月より運行中です。
伊勢崎線方面に向かう「リバティりょうもう」、東武日光行きの「リバティけごん」、鬼怒川・会津方面の「リバティきぬ」「リバティ会津」に分かれています。
このうち「リバティけごん」「リバティきぬ」「リバティ会津」は、浅草駅から下今市駅までは連結して走行しています。
(連結しない列車もあり)
3両は東武日光行き、もう3両は鬼怒川温泉行き、または会津田島行きとなっており、下今市駅で分割併合を行う運行形態です。
下今市以北では、「リバティけごん」は東武日光駅へ。
「リバティきぬ」は鬼怒川温泉行きとなり、「リバティ会津」は野岩鉄道・会津鉄道に乗り入れ、会津田島駅まで直通します。
シャンパンベージュの車体に窓周りのブルー・グリーンのラインと、連結時に通り抜けができる貫通扉が備わりつつも流線形の前面を持つ外観ゆえ、今までの東武特急にはなかった雰囲気を醸し出していますね。
座席には電源があり、車内はWi-Fi利用可能となっているので、移動中のPCワークもアリ。
2号車・5号車に車いす対応トイレが設置されてます。
スペーシアと比べてしまうと観光特急の趣きはありませんが、現代向けの設備を活用しながら快適に移動するには向いていると思いますよ。
そのまま乗って空席に座ろう
では本題、鬼怒川温泉駅から北の区間だけで乗り降りする場合の特急リバティの利用方法です。
というか方法も何も、特急リバティが到着したらそのまま乗り込むだけでOK!
ただし特急券を持たずに乗ることになるため、必ず空席に着席してください。
また、そうそういないと思いますが、自分の座った席がすでに予約されており、予約した本人が後から現れた場合、その席を譲ることになるのにも注意。
過去に訪れた駿豆線内の特急「踊り子」と同じで、元から特定の座席を指定してチケットを取った人に優先権があるのです。
また、鬼怒川温泉駅から新藤原駅までは東武鉄道の区間なので、ICカードに対応していますが、新藤原以北の野岩鉄道・会津鉄道ではICカードが利用できません。
この場合は現金で精算することになるので、お金の用意を忘れずに!
浅草~鬼怒川温泉間は特急券必須
一方、浅草~鬼怒川温泉間で特急リバティを利用する場合、および鬼怒川温泉駅をまたいで「リバティ会津」に乗車する場合は特急券が必要になります。
もっと言うと、浅草駅、とうきょうスカイツリー駅、北千住駅、春日部駅、板倉東洋大前駅、栃木駅、新鹿沼駅、下今市駅、新高徳駅、東武ワールドスクウェア駅、鬼怒川温泉駅の間を特急「リバティ会津」で移動する場合、逆に鬼怒川温泉駅以北からこれらの駅まで乗車する場合は必ず特急券を買わなければいけません。
(板倉東洋大前駅にはごく一部のみ停車)
浅草を起点にすると、特急券は東武日光・新藤原間で大人1,470円となります。
野岩鉄道会津鬼怒川線・会津高原尾瀬口駅までは大人1,850円。
会津鉄道線・会津田島駅までは大人2,160円かかります(いずれも子どもは半額)。
浅草~鬼怒川温泉間のみ特急券を利用し、その先は乗車券だけで…、という乗り方や、浅草に向かうのに鬼怒川温泉駅までは乗車券だけで乗って、特急券はその先の分だけ購入、という乗り方はできないので注意が必要です。
なお乗降とも鬼怒川温泉以北で完結する時でも、着席を確実にしたい場合は特急券を買ってOKです。
「ある駅から電車に乗って、目的の駅で降りる」その両方が鬼怒川温泉駅とそれより北の駅で完結する場合に限り、特急「リバティ会津」に乗車券だけで乗ることができるのです。
鬼怒川温泉駅をまたぐ乗車時は特に気をつけましょう。
かつての快速の後継か
なぜ鬼怒川温泉以北では「リバティ会津」に特急券を持たずに乗れるかというと、ただの憶測ですが、特急リバティは過去に浅草始発で走っていた快速・区間快速の後継にあたるからだと考えられます。
2両編成の6050系が3本連結した6両編成で快速・区間快速を名乗り、下今市駅まで走行し、下今市駅にて東武日光方面の2両と新藤原方面の4両に分割。
新藤原駅にて当駅止まりの2両を切り離し、最終的に2両だけで会津田島駅まで向かう、なかなか面白い列車が運行していたんですよ。
もちろん快速・区間快速に特急料金は不要。
乗り換えなし・追加料金なしで遠方へアクセスできる列車として、旅行者や鉄道ファンに人気の電車だったかと思います。
なお私は乗れなかった…。
しかし2017年4月21日の特急リバティ運行開始にともない、浅草からの東武日光・鬼怒川方面の快速・区間快速は廃止。
この時に浅草駅から会津田島駅への直通列車が「リバティ会津」に引き継がれたものと思われます。
そうでないにしても鬼怒川温泉以北は本数が減るので、「リバティ会津」の特急券不要区間はかなりありがたい存在だと、乗った時に実感しました。
ダイヤ改正でリバティに起きた変化
2022年3月11日まであれば、下今市~東武日光・鬼怒川温泉間においても、乗車・降車ともその範囲内で完結するならば、「リバティけごん」「リバティきぬ」「リバティ会津」で特急券を購入せず(座席の指定を受けず)に乗車することができました。
しかし2022年3月12日のダイヤ改正をもって、特急リバティの日光・鬼怒川エリアの特例が改訂され、以降は、下今市駅から東武日光駅まで、または鬼怒川温泉駅までの乗車であっても特急券の購入が必須に。
これにより、リバティの特急券を買わなくても良い区間は、「リバティ会津」鬼怒川温泉~会津田島間に縮小となってしまいました。
「リバティけごん」「リバティきぬ」は全区間で特急券が必要になります。
もう一つ、特急リバティに起きた変化として「リバティ会津」停車駅の統一化があります。
「リバティ会津」では1日4往復ありますが、今までは、3往復が下今市駅から野岩鉄道の上三依塩原温泉口駅まで各駅に停車し、残り1往復が一部駅を通過していました。
が、2022年3月12日以降は「リバティ会津」全列車が、東武鬼怒川線の大谷向駅、大桑駅、小佐越駅、野岩鉄道会津鬼怒川線の男鹿高原駅、会津鉄道線の七ヶ岳登山口駅、会津山村道場駅、会津荒海駅、中荒井駅を通過するように統一されました。
速達型の1往復が通過していた野岩鉄道の川治温泉駅・中三依温泉駅にも全列車停車するようです。
この要因としては、ほぼ間違いなく新型コロナウイルスの影響が挙げられるのではないでしょうか。
2021年12月10日に発表された東武鉄道のダイヤ改正のリリースにも、「新型コロナウイルス感染拡大によるお客様の行動変容及び将来的な輸送需要を踏まえ」と記載されていました。
日光・鬼怒川エリアでも混む時は混雑していたんですよ。
でも、その程度の実体験では把握しきれないくらい多大な影響が鉄道会社に及んでいることは想像に難くありません。
そりゃ収益は大事ですもの……。
日光・鬼怒川に関係するその他改訂
その他、東武の日光・鬼怒川エリアでは、鬼怒川温泉発着の上下各1本を除くすべての普通列車が、20400型系列によるワンマン運転に統一。
事実上、旧型車両の6050系が運用を離脱することとなりました。
また、上下各1本の普通、特急「リバティ会津」、快速「AIZUマウントエクスプレス」以外の全列車が新藤原止まりとなり、同駅での乗り換え発生率が高まりました。
乗り入れ相手の野岩鉄道では、1日の運行本数が上下各10本(リバティ会津、AIZUマウントエクスプレスを含む)に減便され、特急「リバティ会津」快速「AIZUマウントエクスプレス」以外は全て会津高原尾瀬口止まりとなった模様。
会津鉄道では、「リバティ会津」を除く全列車が気動車での運行になるため、尾瀬口~会津田島間の気動車普通列車が設定されました。
また、快速「AIZUマウントエクスプレス」が1日1往復(1号・2号)に減便となり、合わせて鬼怒川温泉~東武日光間への直通が取り止めとなりました。
鬼怒川線内の特急券不要区間が狭まったり、野岩鉄道でとくに深刻な減便が起こったりしてしまったものの、「リバティ会津」の特急券不要区間は残されています。
鬼怒川温泉以北の少なくなる本数を自在に乗りこなしましょう。
さいごに
今回は東武鉄道の特急「リバティ会津」に「鬼怒川温泉以北では特急券を買わずに乗っても良い」ということについて解説してきました。
乗車・降車とも鬼怒川温泉以北で完結する場合に限り、「リバティ会津」に特急券を持たずに乗っても良いということになります!
その場合は誰も座っていない、予約していない座席に着席しましょう。
鬼怒川温泉駅をまたいで「リバティ会津」に乗車・降車する場合は、従来通り特急券を買わねばなりません。
東武鬼怒川線・野岩鉄道・会津鉄道は全線単線なので、電車の本数もかなり減ってしまいます。
なので今回紹介したことが分かっていれば、より鉄道利用がしやすくなるはず!
今回はここまで!
ありがとうございました!
参考
東武鉄道 車両のご紹介
特急リバティについて