マイクロエースから2003年に発売されたNゲージ鉄道模型「国鉄151系特急『こだま』」のメンテナンスを進めているところです。
前回はその手始めに、車両を分解しなくても日常的にできる、車輪のお掃除方法をご紹介しました。

今回は動力の入っていないトレーラー車を分解し、床板の集電板と、台車の車輪・集電パーツを点検していきます!

マイクロエースの151系は18年も前の製品なので、見た目は大したキズ・汚れが無くても、中の部品に汚れや錆びがある可能性は否定できません。
東京方から2両目(11号車)に動力が入っているので、それ以外の7両を順番に点検・整備していきましょう。

今からやるメンテナンスは、他社製品のNゲージにも十分通用するかと思います。
参考になれば幸いです!



パーラーカーでメンテ実践

今回はメンテナンス例として、大阪方先頭車両(1号車)を撮影しました。
大きな客室窓を有した展望車・パーラーカーの存在感が非常に大きい!
現行車両の個室やグリーン車も十分快適ですが、在来線時代の「こだま」の展望車はどんなものだったのか、タイムスリップして見に行きたくもなります。

前回も軽く触れた通り、この「こだま」は親戚からのいただきものです。
ほとんど動かしてないと聞いていましたが、これを受け取った時点では、あいにくヘッドライト・テールライトともチラつきが…。
モーターもほぼ動かず、そのままでは走れそうにない状態でした。
発売から18年も経っているんだから、まぁしょうがないですよね。

だから!モーター車は後日やるとして、今からトレーラー車を点検して直しましょう!

車体から床下を外す

それでは、車体と床下パーツを分解!
車体側面の下部、床板に接している部分を広げて車体を外します。

製品によって差があるでしょうが、マイクロの151系は床板と車体側(窓パーツの爪)の噛み合いが強いように思いました。
しかし決してムリヤリ外そうとせず、窓パーツの爪が外れるポイントを慎重に探りましょう。

なお、今回の151系では先頭車の連結器カバーが別パーツになっていました。
マイナスドライバーかピンセットで爪を押し出し、先に裏から連結器カバーを外しておきます。

ビス留め台車をドライバーで

したら次に、台車を外しましょっか。
裏からビスで留まっているので、プラスドライバーでビスを外し、台車を床下から離します。
ビスは絶対なくさないように!

台車を外した後の床下には、集電板がむき出しになっている穴があり、台車側から伸びる集電バネが集電板に当たることで、線路から車輪、車輪から室内灯とヘッドライト・テールライトに電気が流れる仕組みです。

両方とも台車を外したら次に進みます。
なお、車体・床板・台車の向きを統一しておくと、組み直すときに分かりやすくなりますよ。

製品によっては台車がビス留めではなくピンやスナップ式で留まっているものもあるので、その場合はピンを折らないように注意して対応願います。

座席取り外し、順番に注意

台車を床下から離したら、次は座席パーツも取り外しましょう。
座席と床板で噛み合っている爪を、マイナスドライバーでこじって外します。

車両によっては、先に台車を外さないと座席を外せないので要注意!
逆に座席を先に外す車両の場合は、その通りに対応しましょう。

それにしても、展望車というだけあって、座席が窓側を向いていたり、やたらゆったりした座席が乗務員室の後ろに鎮座していたりした様子が模型でも再現されていますね。
しかも枕カバーの部分は白く色分けされてます。
パーラーカーすげぇな。

さて、台車、床板、座席の3つに分解できました!
固定されていた座席パーツの下から集電板が出て来ました。

順番はお好みでかまいませんが、今回は台車からやっていきましょう。

 

踏面とピボットにレールクリーナー

台車のメンテナンスにあたって、さらに車輪集電パーツに分けます。
上から車輪を押しつつ、台車を広げてやれば車輪が外れます!

ところがマイクロエースの151系は集電パーツごと車輪が外れることのほうが多かったです。
無理に車輪だけ外すのではなく、まず集電パーツごと車輪を外し、その後で車輪と分けるのも手かも。

車輪だけの状態になったら、レールクリーナーを綿棒に含ませ、踏面を1周拭いてやりましょう!
この時の綿棒は、耳かきに使う普通のものか、模型用に先端が細くなったものがベターです。

また、車輪を台車に嵌める突起(ピボット)もレールクリーナー綿棒で拭いておきましょう。

集電パーツの軸受けも綿棒でグリグリ拭きます。
車輪のとがった部分が集電パーツのこのくぼみに嵌まり、転がり抵抗を低減しながらレールからの電気を床下の集電板に送っています。

軸受けに接点グリスはいかが?

車輪と軸受けの清掃ができたら台車をもとに戻していきますが、その前に集電パーツに一手間かけてみたい!
そこで、タミヤ接点グリスを使ってみましょう。

接点グリスはもともと、RCカーの機械式スピードコントロールスイッチのように激しいスライドを繰り返す部分に使われ、火花の発生を抑えて接点不良を防ぐらしいですが、トレーラー車の車輪にも使えます。

これを爪楊枝で少量取り、集電部分のくぼみに少しずつ付けていきます。

そしたら集電パーツに車輪を嵌めて、台車に戻しましょう。
まず集電部分にピボットを嵌め、その後車輪ごと集電パーツを台車に戻す順番で進めるとやりやすかったです。
製品によって違いがあると思うので、やりやすい順番で進めてください。

集電板も拭いたり磨いたり

続きまして集電板のお手入れ。
座席パーツを外した後の床板に、左右1枚ずつ仕込まれていますね。

天井側は、座席パーツに開けられた穴から室内灯の集電バネを通し、室内灯に電気を送ります。
地面側は、車輪・台車の集電バネから電気を取り込み、室内灯に電気を繋ぎます。

これらを1枚ずつ、裏表ともレールクリーナー綿棒で濡れ拭きしましょう。
今回「こだま」基本セットの7両分を拭いてたところ、1枚1枚の汚れは大したことなかったけど、何両もやってくうちに綿棒もさすがに黒く染まりました…。

余りにも汚れや錆びが目立つ場合は、目の細かい紙やすり感熱紙のレシートで軽く磨いても良いと思います。

お手入れした後の集電板も元の位置に戻してやりましょう。
マイクロ151系の場合は集電板に取り付け穴が開いていました。



集電金具はちゃんと集電板にあてよう

先頭車両においては、ライトユニットの集電部も気にすべきところ。
マイクロエースの151系は、淡緑色のライトユニットカバーから針金のような集電部分が伸びており、床板の集電板に接することで電気を得る仕組みでした。

パッと見ではこれの向きがあまり良くなく、ライトのチラつきになり得るので、ちゃんと集電板に接するように修正しておきました。

といっても下手に力を入れず、少しの力を加えて曲げ癖をつける程度ですけどね。

元に戻すよ!台車の向きを見て!

台車と集電板の手入れ、先頭車はライトユニット修正(必要なら)が全部終わったら、いよいよパーツを元の状態に組み直します!

組み直すときは分解した時と逆の手順で戻しましょう。
今回は集電板を床板に嵌め、次に座席パーツを床板に嵌め、その次に台車をビス留めして最後に車体をかぶせました。

台車には向きがあります
かならず、アーノルドカプラーの取り付け部が外側(前面・貫通扉)を向くように留めてください。
マイクロエース151系の場合、輪軸の上に乗っている四角い枠のようなものが前面・連結面側を向くように取り付けます。

これでメンテナンス完了!
本記事では「クロ151形」のみ撮影していますが、撮影外で残りのトレーラー車6両も全部メンテにかけました。

ライトの調子も、まだちょくちょくチラつくものの、譲受時よりは改善できたと思います。
でも中間車は室内灯を入れないと分かりませんね…。
お金に余裕ができた時に買い足しておきます。

さいごに

今回はマイクロエース「国鉄151系 特急『こだま』」を例に、トレーラー車のメンテナンスを行いました。

レールクリーナー綿棒車輪集電パーツ軸受け床板の集電板を清掃!
あまりにも汚れ・錆が落ちなければ目の超細かい紙やすりや感熱紙のレシートも手です。

ピボットの受け部分には接点グリスを使うのも良いですよ。
そして何より、分解したものは正しい向きや順序でもとに戻しましょう。

全てが上手く行けば、集電が改善されてカッコいい走りをまた見せてくれるはず!

さて、残るはモーター車。
これもガチ目にメンテナンスしなければなりませんが、ひとまず今回はここまで。
閲覧ありがとうございました!