日本の交通の大動脈を担う新幹線。
東京から東海・近畿・中国・九州へ、または東北・北海道・上越・北陸各方面へ。
陸路の公共交通機関における長距離輸送を担っていますよね。
速いし便利だし見た目もカッコいいけど、運賃も特急券も高額で気軽に乗れない……。
そう思っていませんか?
実は、新幹線には隣駅までなら安い金額で自由席に乗れる、新幹線特定特急券という特例があります!
特例を適用した特定特急料金は1,000円前後。
要所だけ新幹線を使う方法を知っておくと、金欠やフリーきっぷ使用中のワープなど、役に立つタイミングがあるかもしれません。
今回は、隣の駅(一部区間は2駅分有効)までなら安くなる新幹線特定特急料金のルールをご紹介!
私が特定特急券を長距離移動に組み込んだ実例もあわせて解説します。
急がないといけないのにお金がない……、そんな時の私もこれに助けられました。
もくじ
東海道・山陽新幹線の特定特急料金
改めまして、JR各社の新幹線には、新幹線特定特急料金が設定されています。
実質的に在来線特急となる山形・秋田新幹線にもそれに近い形態として、一応あります。
料金区分としては、営業キロ50.0km以内と100.0km以内。
1区間(一部区間は2区間)だけ利用する時の普通車自由席に自動的に適用されます。
ただし、それ以上離れたら通常料金に戻るので注意しましょう。
指定席も通常料金になります。
東海道新幹線で新幹線特定特急券が適用される区間と料金は以下の通り。
(全て大人料金で記載)
これらに乗車区間全体の普通運賃が加わります。
- 東京~品川~新横浜:870円
- 新横浜~小田原:990円
- 小田原~熱海:870円
- 熱海~三島:870円
- 三島~新富士~静岡:990円(新富士までは870円)
- 静岡~掛川~浜松:990円(掛川までは870円)
- 浜松~豊橋:870円
- 豊橋~三河安城~名古屋:990円(三河安城までは870円)
- 名古屋~岐阜羽島:870円
- 岐阜羽島~米原:870円
- 米原~京都:990円
- 京都~新大阪:870円

新大阪駅から西、山陽新幹線で新幹線特定特急料金が適用される区間と料金は以下です。
- 新大阪~新神戸:870円
- 新神戸~西明石:870円
- 西明石~姫路:870円
- 姫路~相生:870円
- 相生~岡山:990円
- 岡山~新倉敷:870円
- 新倉敷~福山:870円
- 福山~新尾道~三原:870円
- 三原~東広島~広島:990円(東広島までは870円)
- 広島~新岩国:870円
- 新岩国~徳山:870円
- 徳山~新山口:870円
- 新山口~厚狭~新下関:990円(厚狭までは870円)
- 新下関~小倉:870円
- 小倉~博多:870円
基本的には各駅停車型の「こだま」を利用することになります。
隣の駅に停まるなら「ひかり」も使えそうですね。
さすがに「のぞみ」はやめましょう。
また、利用者が多い時間帯やエリアでは、自由席の空きが少ない可能性もあります。
必ず座れる保障はない・隣に誰もいないとは限らないので注意してください。
九州新幹線はおれんじ並行区間以外で
九州新幹線は、新八代~川内(せんだい)間を除く1区間で普通車自由席を利用する場合に特定特急料金870円になります。
博多~新鳥栖~久留米間は2区間でも870円で乗れる一方、肥薩おれんじ鉄道との並行区間は通常料金のみなのに気を付けましょう。
特定特急券で乗るなら、各駅停車型の「つばめ」が最も利用しやすいでしょうか。
通過型の「さくら」も、博多~久留米間と川内~鹿児島中央間なら乗れそうです。
朝夕の速達型「みずほ」は諦めましょう。

西九州新幹線は武雄温泉~長崎間の全てで特定特急料金が870円となります。
新大村~諫早~長崎間は2区間利用でも870円です。
基本的に各駅に停まりますが、通過型も紛れているので注意しましょう。
東北新幹線(東京~盛岡)はやまびこ・なすの
東北新幹線は盛岡駅を境に新幹線特定特急券が適用される列車が異なります。
まず、東京~盛岡間は自由席のある「やまびこ」「なすの」で新幹線特定特急券が適用されます。
そこまでは全車指定席の新幹線には乗れません。
東京~盛岡間の隣駅と特定特急料金は以下の通り。
- 東京~上野~大宮:1,090円(上野までは880円)
- 大宮~小山:1,000円
- 小山~宇都宮:880円
- 宇都宮~那須塩原:880円
- 那須塩原~新白河:880円
- 新白河~郡山:880円
- 郡山~白石蔵王:880円
- 白石蔵王~仙台:880円
- 仙台~古川:880円
- 古川~くりこま高原~一ノ関:1,000円(くりこままでは880円)
- 一ノ関~水沢江刺~北上:880円
- 北上~新花巻~盛岡:880円

営業キロがギリギリ50.0kmを超える大宮~小山間のみ1駅間で1,000円ですが、他は880円です。
古川駅は陸羽東線、新花巻駅は釜石線との乗り換え駅でもあります。
そこから仙台駅・一ノ関駅・北上駅・盛岡駅へ抜ける手段としても使えそうです。
盛岡以北は指定席の空席に座ろう
続いて盛岡以北の東北・北海道新幹線ですが、現状、自由席のある列車がいません。
「はやて」「はやぶさ」どちらも全車指定席です。
ただし、普通車指定席の空席(座席指定はできない)に着席するルールで、新幹線特定特急券が利用できます。
盛岡~新青森間の隣接駅へは特定特急料金880円です。
北海道新幹線は以下の通り。
全体的に高めに設定されており、奥津軽~木古内間が最も高くなります。
- 新青森~奥津軽いまべつ:1,330円
- 奥津軽いまべつ~木古内:1,520円
- 木古内~新函館北斗:1,330円

津軽線(在来線)の蟹田以北はバス代行が続いています。
そのため、新青森~木古内間は無理せず奥津軽いまべつ駅を跨ぎましょう。
新青森~奥津軽・奥津軽~木古内で分割しても、新幹線料金は新青森~木古内間の通しと同額です。
上越・北陸新幹線の特定特急料金
上越新幹線は「とき」「たにがわ」どちらも普通車自由席で特定特急券を利用します。
東京~大宮間は東北新幹線と同じ。
大宮以北の特定特急料金は全て880円です。
間に本庄早稲田駅を含む熊谷~高崎間も2駅分で880円です。
ちなみに、越後湯沢~ガーラ湯沢間は特急料金100円です。
越後湯沢~ガーラ湯沢間を含んで上越新幹線に乗る場合は、越後湯沢駅までの新幹線特急料金に100円足した金額になります。

北陸新幹線は「あさま」「はくたか」「つるぎ」で新幹線特定特急券が利用できます。
東京~高崎間は東北・上越新幹線と同じ。
越前たけふ~敦賀間を除く隣駅間で特定特急料金880円が適用されます。
越前たけふ~敦賀間のみ1,410円です。

特定特急券で乗るなら、東京~長野間は「あさま」、長野以西は「はくたか」、富山以西は「つるぎ」を狙うと良いでしょう。
上越妙高~糸魚川間は、在来線だと直江津駅まで出なきゃいけないところを大幅にショートカットできます。
しかし、いずれも列車によって異なる通過駅が設定されています。
とくに熊谷駅・本庄早稲田駅・安中榛名駅は通過されやすいので注意してください。
「はくたか」の高崎~長野間は通過列車が多く、「つるぎ」も速達型がたまにいます。
山形・秋田新幹線は在来線特急に近い
山形・秋田新幹線の在来線区間は、特定特急料金の計算方法が在来線特急とほぼ同じになります。
在来線区間のみを特定特急券で利用する場合、乗車駅からの営業キロと料金は以下の通り。
- 営業キロ50.0km以内:760円
- 100.0km以内:1,130円
- 150.0km以内:1,580円
山形新幹線「つばさ」と秋田新幹線「こまち」は、どちらも全車指定席ですが特定特急券で普通車指定席の空席を利用できます。
座席指定を受ける場合は指定席の通常料金になります。
山形新幹線(福島~新庄間)の中で、最安の760円で乗れる区間は以下の通りです。
- 福島~高畠(49.9km)
- 米沢~山形(47.0km)
- 赤湯~天童(44.3km)
- かみのやま温泉~村山(38.5km)
- 山形~大石田(39.8km)
- 天童~新庄(48.2km)
板谷峠を越える福島~米沢間が1駅で40.1kmもありますが、それ以外は割とこまめに停まります。
ちなみに、「つばさ」の中には山形~新庄間を走らない列車もあります。
この場合は改札を出ないで当日中に乗り継ぎすれば通しの特急券で大丈夫です。

最後に、秋田新幹線「こまち」で、特定特急料金760円で乗れる区間と営業キロは以下の通り。
- 盛岡~田沢湖(40.1km)
- 雫石~角館(42.8km)
- 田沢湖~大曲(35.5km)
上記3区分はだいたい2駅くらい移動できますが、大曲~秋田間は話が変わります。
この1駅だけで距離は51.7km、特定特急料金は1,130円です。

岩手・秋田県境を越える雫石~田沢湖間の普通列車は1日4往復、とんでもなく少ないです。
それ以外は盛岡~雫石・赤渕、及び田沢湖・角館~大曲間の区間列車が中心。
しかも、田沢湖駅の1つ手前の赤渕駅で盛岡方面に折り返す列車が紛れている上に、赤渕駅で新幹線のドアは開きません。
そのため、普通列車だけで雫石~田沢湖間を抜けるのは至難の業です。
ここだけでも新幹線を使うほうが、追加料金はかかるけど移動しやすさが大幅に上がると思います。
横浜~静岡間で三島から新幹線を使った例
私が特定特急券を利用して新幹線利用したケースもご紹介しましょう。
東海道新幹線での例になります。
前日にガッツリ経費を使った後、急遽、諸事情で静岡へ行かないといけなくなった時がありました。
本来は新横浜駅から新幹線を使うべきでしたがそんな余裕はありません。
だからと言って全区間在来線だと時間がかかりすぎる。
特に沼津駅を出てから。
だからこそ新幹線の短距離利用!
三島駅までは在来線だけで進み、三島~静岡間は「こだま」自由席で移動しました。

前出の通り、三島~静岡間は新富士駅を挟みながら新幹線特定特急券の対象です。
この駅間だけで新幹線自由席を使う場合、特定特急料金は990円。
在来線も含めた利用区間全体で行くと、横浜~静岡間の普通運賃は2,710円、三島~静岡間の新幹線特定特急料金は990円。
合計3,700円でした。
新幹線の新横浜~静岡間が5,170円(乗車券2,640円・自由席2,530円)となるので、なんと1,470円もの節約です!

この時はお昼の移動で、乗車した列車は以下の通り。
全体的な所要時間は2時間23分でした。
- 横浜11時29分発→小田原12時16分着(湘南新宿ライン 小田原ゆき 特別快速)
- 小田原12時26分発→熱海12時54分着(東海道本線 熱海ゆき 普通)
- 熱海12時54分発→三島13時9分着(東海道本線 浜松ゆき 普通)
- 三島13時25分発→静岡13時52分着(こだま825号 名古屋ゆき)
三島駅で新幹線に乗り換えるのに時間が開き、13時25分時点で浜松ゆきの普通列車は原~東田子の浦間を走行中だったと思われます。
熱海12時54分発の浜松ゆきにそのまま乗っていた場合、所要時間が20分伸びて静岡到着は14時12分でした。
なお、11時29分と近い時間に新横浜駅を出る新幹線としては、「こだま819号」(新大阪ゆき)が新横浜11時15分発・静岡12時22分着。
1本後の「こだま821号」(名古屋ゆき)でも新横浜11時45分発・静岡12時52分着です。
新横浜駅から「こだま」に乗れていれば、静岡駅には1時間以上早く到着できていたでしょう。
なお、その日の帰りはさすがに在来線だけで横浜に帰りました。
フリーきっぷと併用する時の乗り方
交通費節約だけでなく、新幹線特定特急券はフリーきっぷを使っている時にも併用できます。
まずは、特急料金は別途必要だけど乗車券部分は有効なケース。
JR東日本の首都圏近郊で使える「休日おでかけパス」などが該当します。

この時は特急券だけ新たに購入し、お持ちのフリーきっぷと一緒に使いましょう。
フリーエリア内で大きく移動する場合に使えるテクかもしれません。
次はそもそも新幹線・特急列車を利用できないフリーきっぷの場合。
例年の長期休暇時期に発売されている「青春18きっぷ」や「秋の乗り放題パス」がまさにこれです!

このタイプのフリーきっぷで入場すると、特急券を買っても新幹線・特急列車に乗れません。
新幹線に乗る区間だけ乗車券・特急券を買って入りなおすようにしましょう。
フリーきっぷ利用を少しだけお休みすることで、普通列車だけでは移動しづらい線区を抜けやすくなります。

普通列車しかいなくて時間のかかるエリアは、部分的に速く楽に抜けられます。
また、普通列車の本数があまりにも少なく、その普通列車に乗れない時間帯のリカバリーもできます。
何らかの理由で予定ルートから遅れてしまった分を回復するのにも活用できるでしょう。
注意すべきこと
部分的に新幹線を使うにあたって、注意しないといけないこともあります。
何よりまずは乗り越し・寝過ごし絶対注意!
続いて、各駅停車型の新幹線の本数。
東京駅・新大阪駅・博多駅・仙台駅などで見れば新幹線は多いように見えますが、意外と各駅停車型の新幹線は本数がありません。
臨時列車がない限り基本的に1時間に1本程度。
「こだま」の東京~名古屋間でも1時間に2本です。
通過型の新幹線が隣の駅に停まってくれれば良いですが、それでも新幹線への乗り換え時間を考えて動きましょう。

最後に、在来線・新幹線で乗り換える時、列車によっては待ち時間が開く可能性もあります。
新幹線を待っている間に普通列車が先に進む分、追い抜くまでに少々時間がかかります。
逆に、新幹線から在来線への乗り換え間隔が開いて、だいぶ後だった列車に追い付かれる可能性も。
余裕があれば事前に時刻表で調べておきましょう。
過度に時短効果を期待するより、少しの速達と節約の両立や、少しの課金で混雑を避けるなど、変わった目的で考えるほうが良いかもしれません。
さいごに
正直、新幹線が通っている経路なら最初から新幹線に乗ってるほうが圧倒的に速いし楽です。
でもお財布事情や青春18きっぷ使用中など、そうはいかない状況もあり得るでしょう。
だからこそ、1~2駅だけ新幹線を使う方法はどこかで役に立つと思います。
実際に私は良い経験になりました。

新幹線の普通車自由席を1区間だけ(一部は2区間まで)の利用で、特定特急料金がおもに870~1,000円。
普通運賃と合わせてもあまり負担をかけにくい出費で新幹線に乗れます。
新富士駅や本庄早稲田駅のような新幹線単独駅へも、最小限の追加料金でアクセスができるんじゃないでしょうか。
ただし、新幹線乗りっぱなしよりも時間がかかるので、出発タイミングもおはやめに。
ご自身の状況にあわせた鉄道利用の選択肢にご活用ください。
今回はここまで!
ありがとうございました!
参考
『交通新聞社の小型全国時刻表』発行:交通新聞社 2026年3月
『鉄道手帳 東日本編』監修:今尾恵介 東京書籍 2009年9月
JR東日本公式ホームページ
きっぷあれこれ
奥羽本線(福島~新庄間)および田沢湖線・奥羽本線(大曲~秋田間)の特急料金
旅客営業規則
第2編第2章・乗車券類の発売 第7節 急行券の発売 第57条・急行券の発売のニ「特定特急券」
第2編第3章・旅客運賃・料金 第7節 急行料金 第125条・大人急行料金(1)特別急行料金のニ「特定特急料金」
ロ「新幹線以外の線区」 i 奥羽本線中福島・新庄間並びに田沢湖線及び奥羽本線中大曲・秋田間の停車駅相互間に発売する特別急行券
(第2章・第3章を照合しながら読むことをおすすめします)