今回もまたまたNゲージ鉄道模型の動力ユニットを分解&メンテナンス!
ハセガワの鉄道模型ブランド・MODEMOで初期から発売されていた、名鉄モ510形をメンテナンスします。

長らく同社から鉄道模型は出ていませんが、MODEMO製品では、ほとんど他社と重複しない小型車両が数多く展開されています。
江ノ電を積極的に模型化してきたのもここです!
ただし、今回はボギー台車の単行車両です。連接台車はまた今度。

お手持ちのNゲージでこんなトラブルはありませんか?

  • 動力がギクシャクする
  • そもそも動力が動かない
  • ライト類がチラつく
  • 模型の車内から変な音がする

これらのトラブルは、分解・メンテ方法が分かれば自分で解決できるようになります。
もっとも、ライト点灯するMODEMO車両は少ないですがね。

しかし、MODEMOの動力ユニットは他社と明らかに違うところがありました。
これから分解手順の例をご紹介していくのでぜひお試しください。

※必ず自己責任でお試し願います


名鉄600V線区の丸顔電車

ということで、これが本日のお題の名鉄モ510形です。
車体が細い!顔が丸い!
おまけに戸袋窓も丸い!
上田以外にも丸窓電車はいたものですね。

10年以上前から自宅にあったのですが、しばらく走らせておらず、久々に出したらだいぶヘタってました。
電気は流れているのにほとんど動きません。
指でツンツンしてもギクシャク気味です。

なので、これをまた動ける状態に修理していきましょう!

ちなみに実車のモ510形は、名鉄の前身の一つ・旧美濃電気軌道が1926年に製造し、名鉄に統合後も2005年まで岐阜県内の600V線区で活躍。
晩年は岐阜市内線・揖斐線で運行し、約80年間もの長い現役に終止符が打たれました。
外観も美濃電時代のグリーンベースから、簡易急行カラーやスカーレット一色を経て、最終的には赤白塗装で運用を全うしました。

画像:写真AC

現在も車両は静態保存されているみたいで、モ513号車がJR岐阜駅前に、モ514号車が旧谷汲線終点の谷汲駅に保存されています。


ビス止めにご用心!

ということでモ510形のメンテスタート!

まずはいつも通り車体と床下を分解します。
車両により差はあると思いますが、モ510形の取付爪は窓ガラスの車端部寄りにありました。

初期のMODEMO車両は、ウォームギアカバーを覆うようにウェイトが載っています。
接着剤で留まっているので、動力ユニット本体を押さえながら外してください。
外すと片軸駆動の動力構造がよく分かります。

外したウェイトの裏側と、ウォームギアカバーの上面はレールクリーニング溶液(または無水エタノール)に浸した綿棒で拭きましょう。

今回はステップや排障器が付いているので、先にそれを外すほうが良いですね。
ステップを外側に広げながら上にずらすと外れます。

スカートはおそらくエッチングパーツで、ステップの下に隠れていた突起に固定されています。
ピンセットでずらしてやればあっさり取れます。
繊細なので折れ・曲げに注意!

密自連形カプラーとカプラー受けは、両側面を押しながら地面側に引き抜き。
これも割とすんなり外れてくれました。

これらのパーツは失くさないようによけておいてください。

したら、動力台車を外しましょう。
いつものように左右片側を押さえながら斜めに引き下げて外します。
締め付けが強くなかったようであっさり外れました。

動力台車の分解はまた後で詳しくやります。
次は付随台車なのですが、実は付随台車のギアボックス上半分はビスで固定されています!
しかも、台車を組んだままではビスを外せません。

そのため、付随台車を固定したままギアボックスカバーを外すことになります
前後の爪で留まっているけど、片側の爪が床下機器に阻まれてやりにくいです。
先に床下機器をプラスドライバーで外しましょう。

そしたら前後の爪をマイナスドライバーなどでこじってください。
意外と固くなかったです。

これでギアボックス上面もプラスドライバーで外せます!
付随台車はスプリング集電なので、ビスもスプリングも失くさないようにしましょう。

台車以外の部品もほぼ全てビス止めされています。
これがMODEMO動力の最大の特徴と言っても良いでしょう。
複数のビスで強固に固定できていますが、取り外しに気を付けないとネジ溝が潰れて空回りしてしまいます。

ビスに無理な力を加えないよう注意しつつ、ウォームギアカバーと銅板をまとめて押さえている精密ビスを、合計4本外しましょう。

モーターホルダーを固定しているウェイトもこれで外れます。
床板にビス2本で固定されています。

モーター本体とホルダーもビスで固定されていますが、今回は分解しません。
不調の原因でモーターそのものでないなら分解しなくて良いです。

先にウェイトを外すとウォームギアカバーも外しやすくなります。
集電板(銅板)を上に持ち上げながらカバーをずらしましょう。

動力ユニット本体の分解はここまで。
実は、集電板は床板に焼き潰しで固定され、モーター端子もコードを介してはんだ付けされています。

一応、はんだ付けははんだごてで溶かせますし、焼き潰し箇所もカッターやニッパーで切除できます。
ただし、再はんだ・再固定の手間を考えるとやらないほうが無難です。
固定されたままでも集電板の接点は清掃できるので、MODEMO動力は銅板を外さない方針で続けましょう。

モーターに直接通電してちゃんと回るなら、不調の原因は接点汚れの可能性が高いです。

ティッシュや綿棒レールクリーニング溶液をご用意ください。
古いグリスを全て拭き取った上で、電気接点をレールクリーナー綿棒で清掃しましょう。
床板に固定されたままの銅板は、床下から台車と接する部分を拭くと良いです。


動力台車は意外と簡単

動力台車の分解方法です。
先に言っちゃうとTOMIXの動力構造が少し簡単になったようなものです。
固さも全然固くなく、分解しやすい部類でした。

付随台車と同じく、台車枠兼ギアボックスカバーは前後の爪2箇所で留まっています。
むしろ2箇所しかないのでだいぶ楽です。

これでギア付き車輪と集電板が離れたのでいったんよけておきます。

単体ギアも金属ピンを外から押し出して外せます。
これで分解は終わり!

ここまでできたら、古いグリスやホコリの巻き込みを全て除去しましょう。
その後、車輪や集電板、できたらギアボックス内も、レールクリーナー綿棒で徹底掃除してください。
私はさらに、台車集電板を感熱紙で軽く磨いておきました。


元の順番に組み直そう

全ての部品・接点から古いグリスを除去、汚れを拭き取ることができたら、部品を組み戻していきましょう。
動力台車からやっていきます。

ギアボックスに単体ギアを戻します。
大小2つ連なっているギアが中心で、その両隣が大きいギア。
金属ピンをギアの軸穴に通して固定しましょう。

続いて台車集電板を装着。
その後、単体ギアと車軸ギアが噛み合うように動力車輪をセットしてください。
ギアボックス自体には向きがなく、単体ギアが左右どちらに寄っているかで向きが決まります。

最後に、車軸ギアが穴から見えるように台車枠をセットすれば、動力台車の完成です。

ちなみに、台車を動力ユニット本体に戻す前に、KATOユニクリーンオイルを1滴垂らしておくとさらに効果的です。
下の写真は過去の例ですがやることは同じです。
グリスの場合は車輪取り付け前に単体ギアに塗布しましょう。

最終的に潤滑オイルはウォームギアまで伝搬され、摺動部品全体を保護してくれます。
車内からギリギリ異音が鳴るトラブルは、オイルの交換で解決する可能性が高いです。


動力本体を組み直して完成

最後に動力ユニット本体も元に戻します。
先にウォームギアにカバーを取り付けておきます。

ウォームギアカバーのビス止め部分を銅板の下に置き、カバー・集電板とウェイトをビス止め。
どっちが先でも良いですが、私はカバー・集電板を先にビス止めしました。
銅板をずらしたりめくったりするので変な折り目が付かないように要注意!

裏返して次は台車を戻します。

台車を戻す前に、床板から見えてる集電板にタミヤ接点グリスを塗っても良いでしょう。
その場合、つまようじですくってごく少量を塗布してください。
台車集電板・スプリングとの電気接点を保護します。

動力台車は押し込むだけですんなり入ります。
ギアボックス底面の矢印が外側を向くように戻しましょう。
付随台車は、先にギアボックス上面だけを嵌めてビス止めしてください。

スプリングを飛ばさないように注意しながら、集電板・スプリングをセットし、次いで車輪も嵌め込んでください。
付随台車の車輪には向きはありません。

そしたら台車枠・ギアボックスカバーも戻しましょう。
ギアボックスの爪は奥まで噛み合わせてください。
両方の台車が正しくセットできたら、床下機器もビス止めで戻します。

ここまでやれたらあと少し!
両前面のカプラーを軸に通し、カプラー受けを装着。
側面の爪を床板に噛み合わせます。

排障器、ステップの順に取り付けましょう。
取付穴に合えば無理なく固定されます。

最後に、ウォームギア上のウェイトを接着。
私は細く切った両面テープを使いました。

車体を被せればメンテナンス終わり!
お疲れさまでした!

ライト付き・両軸駆動の場合は

モ510形とは少し違うパターンで、ライト付き単行車両も見ておきます。
箱根登山電車のモハ108号車を開けてみました。

これは両軸駆動になっていますが、動力台車の固さや、床板集電板の構造も焼き潰しもほとんど同じです。

動力台車の構造もほっとんど同じでしたが、唯一、大小ギアの軸はギアに直接モールドされていました。
ギアボックスを押し開けば外れますが、とくにベッタリしていなければ無理に外さなくて良いかと。

また、ライト付き車両ならライトユニットへの通電部品もあるので、その接点も清掃しましょう。
ライトのチラつきも接点汚れを清掃すれば大体の場合は改善するはずです。
それでもダメだったら集電板の位置や、ライトユニット本体もご確認ください。


FWなし片軸駆動でも全然動ける

さて、動力ユニットを修理した名鉄モ510形の走りは修理前よりずっと良くなりました!

この動力はフライホイールなしの片軸駆動です。
重量もNゲージの中では軽めなので、あの妙に大きなウェイトがないと安定しません。
おまけにモ510形はライトも点灯しません。

ところにより引っ掛かりがあるとはいえ、動力性能は間違いなくよみがえりました!
やはりグリス・オイルの交換と電気接点の清掃が要かなと。

同じ要領で、箱根登山電車の108号車もメンテしておきました。
こちらもモ510形と同水準に復活し、ライトも安定して点灯します。
それに加えて両軸駆動なので、フライホイールなしでも純粋にパワーが高くなっていると思います。

動きがギクシャク、ライトがチラつく、異音が鳴るというトラブルの大部分は、ここまで紹介したやり方で解決できると思います。
モーター本体がダメになっていた場合はさすがにモーター交換になりますが。

なんにせよ、MODEMO製品は鉄道模型大手に比べれば数少ないNゲージです。
自力でメンテナンスできればそれだけ長持ちするので、自己責任の範疇をお守りの上、実践ください。


さいごに

長年持っていたけど全然出していない間に動きが悪くなってしまったモ510形。
無事復旧できたのでまた存分に走れるでしょう!

メンテナンス実演では毎度の話ですが、重要なのは古い油やゴミ・ホコリの除去接点の清掃オイルの差し替え
ただし、MODEMO動力は大半の部品がビス止めされていたので、留まっている部品とその位置をよく確認しましょう。

冒頭の通り、2026年4月現在、都電7000形・7700形を最後にMODEMO新製品の更新は止まっています。
都電・江ノ電のほか、嵐電やモ510形以外の名鉄600V車両なども出ていたことがあり、新品はまだしも、中古品だと状態不良があるかもしれません。
メンテナンス術が定着すれば中古品でも手に取りやすくなるので、ぜひご参考になさってください。

今回はここまで!
ありがとうございました!