東急電鉄で2023年1月まで運行していたステンレス電車、8500系を覚えていますか?
前面に赤帯をあしらいつつ、コルゲート板で波打った無塗装の外観が、令和の東急ではかえって目立っていましたね。
直流モーター車ならではの豪快な走行音も鉄道ファンに愛されていましたが、新型車両への置き換えにより2023年1月に引退しました。
それが3年の時を経て、なんと動態保存車として復活!
ゴールデンウィークの2026年5月2~6日、こどもの国線の臨時列車として運行しました。
こどもの国へ遊びに行くファミリー層に加えて、8500系を一目見に来た多くの鉄道ファンも相まって、今年のGWのこどもの国線は大盛況でした。
私もGW中にこどもの国線に行って来ましたので、今回は動態保存車として復活を遂げた東急電鉄8500系(8637F)について、撮影写真を交えて見ていきましょう。
半蔵門線・東武線乗り入れ車両として活躍
東急8500系は、当時すでにいた8000系をベースにしつつ、1975(昭和50)年に登場した車両です。
新玉川線(現・田園都市線渋谷~二子玉川)・営団地下鉄(現・東京メトロ)半蔵門線の相互乗り入れ車両として導入されました。
当初は4両編成だったそうですが、輸送力増強にともなって延長され、最終的に10両編成になりました。
1976(昭和51)年には東急で唯一のローレル賞(鉄道友の会)も受賞しています。
運行範囲は、当初の田園都市線・半蔵門線に加えて、2004年からは東武線の久喜駅・南栗橋駅へ。
一部車両は大井町線・東横線で運行したこともあります。
1都2県を日々行き交いながらも5000系・2020系導入で少しずつ数を減らし、2023年1月に8637Fが運用を離脱して全車引退となりました。

外観は、前面窓下に赤帯をあしらった以外はステンレス無塗装のオールステンレスカー。
側面には外板のゆがみを隠すためのコルゲート板が使用されています。
ラインには一部例外があって、側面にも赤帯を巻いた編成や、伊豆急行8000系(元・東急8000系)と同じカラーリング「伊豆のなつ号」もいました。
何より、今回取り上げる8637Fは青帯です。

大井町線用車両は前面グラデーション帯でした。

界磁チョッパ制御を使用し、直流モーターを豪快に唸らせて走る姿や音は、多くの沿線住民・鉄道ファンの記憶に残ったと思います。
その直流モーターは日立・東洋・東芝の3社が製造し、3種類とも違う音を発します。
唯一、ラストナンバー・8642Fの中間車両のみVVVFインバータ制御でした。
そして、一部編成は長野電鉄と秩父鉄道に譲渡され、2026年5月時点でどちらも運行中です。
どちらも自社カラーに帯色を変更、3両編成に短縮化され、東急時代ほどの速度も出しませんが、なお地域の足として頑張っています。
こうして8500系の全車引退により、東急は自社車両のVVVF率100%を達成!
……したように見えました。
8637Fを動態保存へ
全車引退から約1年半が経過した2024年8月2日、東急電鉄は、引退した8500系を4両編成化し、本線走行可能な動態保存車として使用することを発表しました!
動態保存車として改造されたのが8637F。
最後まで残った青帯編成です。
二子玉川・大井町方から1号車「8637」、2号車「8797」、3号車「8980」、4号車「8537」となりました。
「8637」は前面青帯のままで、長津田・こどもの国方「8537」は前面赤帯に変わりました。
後で気づきましたがスカートが黒色に変更されています。以前はグレーだったはず。

側面も2種類の外観になりました。
長津田・こどもの国方に向かって左側が側面青帯、右側が無塗装です。
8637F特有の青帯を残しつつ、元々の8500系の外観も再現しており、保存車両らしい外観になりました。

東急電鉄は、同リリースで動態保存の経緯も掲載していました。
ポイントはこの3つ!
- 8500系の引退を惜しむ声が利用者・鉄道ファンから多数寄せられた
- 東急最後の直流モーター車として、社員に技術を伝承できる
- 多客・イベント時にも活用できる
これらが主な理由となり、VVVF率100%だったところに直流モーター車両1編成が復活、ということになったそうです。
2024年のニュースリリース時点での運行予定は、こどもの国線、大井町線、田園都市線(二子玉川~長津田間)となっています。
その際は、東急電鉄公式ホームページで告知されるとのこと。
田園都市線の渋谷~二子玉川・長津田~中央林間には入らなそうです。
本当にハチゴーが走ってた!
ということで私もこどもの国線へ行って来ました。
例年こどもの国線ではゴールデンウィークの休日に臨時列車を運行しており、定期列車も4両編成に増結しています。
「うしでんしゃ」「ひつじでんしゃ」がガッチリ連結していました。

臨時列車は、長津田始発は8時18分~17時03分発まで、こどもの国始発は8時30分~17時14分発まで走行し、そこに8637Fが充当されました。
これで、臨時列車の運行時間帯はおおむね10分間隔になります。
8500系は行き先のLEDが「臨時」となっており、助士側窓に「長津田-こどもの国」の表示板を出していました。
長津田~恩田間は横浜市内にしては珍しい田園地帯。
こどもの国方面に向かって、長津田駅直後の急カーブが終わると、畑のド真ん中の築堤に出ます。

長津田2号踏切付近は見通しも良く、ここから撮影する人はやはり多かったです。
5月上旬ということで、レンゲソウも紅紫色に色づいていました。


恩田~こどもの国間はまた雰囲気が変わり、生活感が強くなります。
恩田駅ですれ違いながら、うし・ひつじペアと交互に往復していました。

恩田駅すぐ横のインカーブも撮影スポットとして有名です。
スペースの都合上、長津田行きを撮る人のほうが多いですが、長津田4号踏切からこどもの国行きを撮っても町の感じが分かりやすいです。

こどもの日には限定HM
5月5日・こどもの日も8500系8637Fは臨時運転で大活躍。
ですがなんと、この日限定(おそらく)のこいのぼりヘッドマーク!
「8537」は赤色、「8637」は青色のこいのぼりを背景にした「こどもの国線」表示を助士側窓に掲出していました。


こどもの日HMはY000系にも掲出されました。
カメラ構えて待っている鉄道ファンを部活帰りと思われる学生らが物珍しそうにしていましたね。

私は4・5日で撮影に訪れましたが、その2日間も多くの鉄道ファンが訪れていました。
元から土日にあたる2・3日はそれ以上にすごい人数だったのでしょう。
今後も運行が決まった場合は、撮影者同士や駅構内などでトラブルにならないように各自ご配慮願います。
2020系との違いも広告で解説
写真がなくて恐縮ですが、動態保存車8637Fの車内は基本的に10両現役時代と変わっていませんでした。
ドアステッカーのクマも健在です。
車内広告では、動態保存について(前出の内容と同じ)と、最新車両・2020系との違いが解説されていました。
広告で解説されていたのはこの3つ!
- VVVFインバータ制御装置と三相交流モーター
- 保存車以外、東急車両はシングルアームパンタグラフに統一
- フルフラットな外観

8500系以外のすべての東急車両がVVVF車両ということで、電車線から取り入れた直流1500VをVVVF装置で交流電気に変換し、それを使って交流モーターを動かしています。
2020系はSiC(炭化ケイ素)のVVVFインバータ制御を搭載しており、変換ロスを低減したことで消費電力は8500系の約半分になったそうです。
パンタグラフも8500系のひし形に対し、現役車両は全てシングルアームパンタ。
文字通り、パンタグラフの腕が片腕だけになったので、軽量化、そして雪にも強くなりました。
車体は8500系も2020系もステンレス製ですが、2020系は総合車両製作所のレーザー溶接技術により、フルフラットな外観が実現しています。
2020系以外も総合車両製作所の「sustina」車両はみんな外板が平滑になりましたよね。
他にも、内装の変化や案内表示の充実度など、本当にいろいろ進化しています。
また8500系が運行する場合には、現役車両たちとの違いもぜひ探ってみてください。
さいごに
こんな感じで、2026年のゴールデンウィークは、こどもの国へのおでかけ客と8500系8637Fに会いに来た鉄道ファンで、こどもの国線沿線は大にぎわいでした。

前面赤帯&青帯、側面無塗装&青帯の保存車らしい外観になりつつ、車内は3年前までとほぼ同じ。
まさか8500系が動態保存車として復活だなんて、3年前は予想もしていませんでした。
一鉄道ファンとして嬉しいだけでなく、東急の社内にもメリットがあるようなので、できる限り保存を続けてもらえたらと思いました。
今後の8637Fの運行情報は、大型連休が近くなったあたりで東急HPをチェックしてみましょう。
手っ取り早く8500系・8000系に乗ってみたくなったら、長野電鉄・秩父鉄道・伊豆急行のいずれかを訪ねてみてください。
特に伊東線・伊豆急行線は、区間によっては割と速度出ます。
今回はここまで!
ありがとうございました!
参考
東急電鉄公式ホームページ
東急電鉄からのお知らせ
2026年4月21日 ゴールデンウィーク期間中、こどもの国線で臨時列車を運転します
2024年8月2日 引退した8500系が4両編成になって復活します!
