ここ最近の鉄道を見ていると、子どもの頃の憧れだったり、特に気にしないまま乗っていた鉄道車両が次々引退しているように思います。

自分に近い大手私鉄、京急電鉄を見ていても、2018年には2000形、そして今年は800形が相次いで運行を終えてしまいました。

この2車種はどちらも界磁チョッパ制御という制御方式を使用した車両でした。
彼らの引退により、京急で残っている界磁チョッパ車両は、1500形の4両編成のみになっています。

ということで今回は、京急電鉄の界磁チョッパ制御車両を800形→1500形→2000形の順番で取り上げていきます。
ゆるっとご覧くださいませ。



界磁チョッパ制御とは

そもそもの話なんですが界磁チョッパ制御とは何ぞや?と。

電車の制御方式の中で、チョッパ制御では、主電動機(モーター)の回路に1秒間に何百回の超高速でオンオフを切り替えるスイッチのようなものを取り入れ、そのオンオフの間隔を利用して主電動機の回転を制御しています。

界磁チョッパ制御は、基本的には抵抗制御と似つつ、主電動機の界磁制御にチョッパ制御を利用した方式で、ブレーキで発生した電気を架線に戻す「回生ブレーキ」も併用できるようになります。

京急に限らず私鉄の多くでこの制御方式が導入され、製造コストが安いけど保守が大変という面があるようですよ。

つまるところ、わたしたちが何も気にせず電車に揺られている中、電車の床下では超高速スイッチオンオフが行われていることにもなりますね。

ちなみに界磁チョッパ制御の近縁として電機子チョッパ制御というものもあり、国鉄(JR)の201系と203系に導入されたことは有名かと思います。
が、サイリスタが高額だったらしく、資金難だった国鉄でチョッパ制御の導入はその2車種にとどまったんだとか。

京急最後の片開き通勤車「800形」

では、まずは800形から。
京急電鉄(当時は京浜急行電鉄)800形は1978(昭和53)年に登場した車両で、普通車を中心に活躍しました。

当時の京急でおなじみだった「片開き乗降ドア」「1灯式ヘッドライト」を維持しつつも、右手操作のワンハンドルマスコンガラス繊維強化プラスチックなど新設計も加えられ、伝統と新技術を同時に体現した車両だと個人的には思います。

見出しの通りなんですが、京急800形首都圏大手私鉄の片開きドア通勤型車両では最後の生き残りでした。

823編成にはリバイバルカラー

最近の鉄道情勢に合わせて京急でもホームドアの導入が進んでいますが、800形は4つドアゆえホームドアに対応できず、老朽化も相まって2011(平成23)年から廃車が始まり、2019(令和元)年6月に最後まで残った823編成が引退となりました。

なお最後まで残った823編成は2016(平成28)年11月に、窓周りが白く塗られた登場時のカラーリングが復刻されて引退までこの色で走り続けてました。

バレンタインシーズンには「KEIKYU LOVE TRAIN」ラッピングも施されていました。
窓周りの白地がハートのラッピングに活きてますね!

初期編成では中間化改造も

ところでこの京急800形、良く知っているのは6両編成でしたが、実は810編成までは3両編成で落成していたようです。

リニューアル時に3両編成だった編成は全て2編成つなげて6両化され、その際中間車になった先頭車両は乗務員室が撤去されました。
乗務員扉サイズの窓が2枚連続しているところにその痕跡が現れていました。

上の写真はわたしが高校生だった時に偶然ケータイで撮ったものかと。
よくぞ撮ったなぁ~と我ながら思います。

何でもこなす万能車種「1500形」

それでは次は1500形。
1985(昭和60)年に運転開始した車両です。
こいつは運用がかなり多岐にわたっていて、6両編成は普通車やエアポート急行で運行し、8両編成は都営浅草線方面へ直通し、4両編成は大師線をひたすら走っています。

写真は6両編成、日ノ出町(ひのでちょう)駅にて

もっと細かく言うと編成組み換えや車番変更なども行われたんですが、2019年12月現在、4両編成のグループ(1501番~1528番)が界磁チョッパ制御で残っています。

他の編成にも界磁チョッパを積んでいた編成は多数いましたが、現在の4両編成以外は全てVVVFインバータ制御に変更されました。

京急では最後の界磁チョッパ

大師線運用を中心とする4両編成は現在、京急の界磁チョッパ制御車両では最後のグループになりました。

写真左:800形、右:1500形、京急ファミリー鉄道フェスタにて

800形とは微妙に違う音色の渋い音を奏でるんですが、今からそれを聴くならぜひ大師線に乗りましょう。

ちょうど年末年始は川崎大師に参拝する人が多数いるでしょうから、その時に乗れる機会があるかと!
そうでない時期でも、記録はお早めに…。

昭和を駆けた先代快特「2000形」

最後に2000形です。
同車は1982(昭和57)年に登場しました。

当時は片側2ドアで特急快速特急(快特)を中心に走った、今の2100形の先輩にあたる車両ですね。

8両編成と4両編成が製造され、柔軟な運行が可能に。
こいつも界磁チョッパ制御の車両ですが、ここまでの2車種と比べ、低音が利いてより深みのある音でした。

後輩に座を譲って通勤型に

登場当初こそ2ドアの特急型車両だったものの、1998(平成10)年に登場した2100形に特急型の座をゆずり、自身は通勤型に改造されました。

片側2つドアから3つドアになり、窓周りにアイボリーラインから、窓下に白いラインに変更されています。

それでもなお、晩年は新逗子(しんずし)側のエアポート急行を中心に走ったのがケンヤ的には印象的でした。

音と見た目と座り心地が気に入りすぎて京急に乗るけど特に急がない時は2000形を待つこともありましたよ(笑)

リバイバルが最後を飾った

気づけば2000形も次第に数を減らしていったわけですが、2013(平成25)年にトップナンバーの2011編成が窓周りアイボリーラインの登場時カラーにリバイバル!
懐かしい色の復活に自分も含めて思わずうなった人は多数いることでしょう。登場時にわたし生まれてないけど

同編成は引退までリバイバルカラーを継続。
最後の1本になるまで残り、2018(平成30)年3月に引退記念イベントが行われた後に引退しました。

いなくなられた直後は相当なロスを感じてました…。

さいごに

今回は京急の車両の中から、界磁チョッパ制御の800形・1500形・2000形のお話でした。

見て来たとおり、800形と2000形はすでに引退してしまいました…。

京急に残る界磁チョッパ車両は4両編成の1500形
今が記録のチャンスかもしれませんよ。

今回はここまで!
ありがとうございました。